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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_86 ステラ領のゆく道は! 決勝、『ステラ杯』!

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Bonus Track_86-2 決勝戦!『魔王』VS『雪狼』!~シグルドの場合~

 カナタさんのあらたな戦装束、今日のためにあつらえられた最高の逸品は、容赦なくこの心をつらぬいた。

 美しい。

 計算しつくされたひとつひとつのドレープが語る。このお方こそが、われらの王なのであると。

 風をうつし天を切り取る絶妙なペールブルーのグラデーションが、空色の御髪に、アメジストの瞳に、あさく日焼けした白い肌にしっくりと調和する。

 実に、実に美しい。

 柔らかなほほえみとともにこちらに歩を進めてくる、それを目の当たりにしただけでこの場にひざまずいてしまいそうになった。


 今日、いま、この場に立てて、わたしは何という幸せ者なのか。

 そう、思わざるを得ない。

 せっかく、守りの傘を抜けてきたというのに。


 この方とステラ様が、われら民の心に差し掛けてくれた、自由を守る優しき守りを、わたしは自らの意思で抜けてきた。

 なぜって、そうでもしなければきっと、戦わずして骨抜きにされてしまうだろうと思ったから。


 わたしにはやらねばならぬことがある。

 国内の同志たちを代表し、この場にて善戦すること。


 すでに、われらが悲願はこの水底で、秘密裏に叶っている。

 けれど、それを、知らぬ顔して。私はこの方のまえに、立ちはだからねばらない。

 同志たちの熱情を、スペルに乗せて。

 この世の終わりかと思わせるほどの激闘を演じ。

 作り上げねばならない。これぞ戦いの神の託宣と、万人が認めざるを得ぬほどの一幕を。


 そのために私は、あえてこの心に導きいれた。大女神グランドマザーの思し召しを。この方を敵として狩れ、全力で打ち倒せ、その身も心も完膚なきまでに蹂躙しつくせと命じる劣情を。


 いけない、いまはまだ、抑えねば。

 差し伸ばされた尊き手を、精いっぱい優しく取った。

 そうして麗しき薬指、神の傑作たるそれに、敬意をこめて歯を立てた。

 ほんの一呼吸だけ気持ちが漏れてしまったが、まあそれはノーカンとさせていただきたい。

 静かに、静かに身を離すと目を閉じ、一つ息を吐き、今度こそ暗き想念を解放した。

 呼応しじわりと息吹くは、3Sフラグメント『色欲ラスト』。

 身の奥から、歓喜のさざ波が聞こえはじめた。



 清冽なる大星霊『天狼フィル』のチカラは、暗き想念を源とする3Sとは特に相性が悪い。

 だが、そこは組み立てだ。

 喚びおろした『天狼フィル』のチカラは、身に降ろさずに、技に乗せればいい。そうすれば、フラグメントを食われずに済む。

 その運用法と召喚術は、相性がいいのだ。 

 私は最大限にブーストした魔力でもって、雪狼の群れを召喚。縦横に、あるいは宙へも走り回らせ、凍てつく足跡でもって強化の陣を描かせた。

 カナタ殿はといえば、やはり三次元的に強化の陣をめぐらせていた。

 フロートの向こう半分に茂った豊かな森。よく見ればその枝ぶりは、ことごとくが森の王の強化を導くカタチを示している。

 無知な猪武者ならばともかく、すこしでも覚えのあるものならば、絶対にこの中に踏み入るような愚行はしないだろう。


「おや、奇遇ですね。貴方もそれを習得なさいましたか」

「ええ。これを教えてくれた方には、まだまだ及びませんが」


 たおやかな微笑みが心いざなう。

 大丈夫だ。今日の私は、貴方を下す力を持っている。


「それはまた、素晴らしい師に巡り会われたようですね。

 もっと見せていただけますか、その素晴らしい御業を。

 戦いの神に愛されし知略を。力強く麗しき戦いぶりを。

 王としての矜持に満ちた振る舞いを。

 そしてそれらがすべて地に堕ちる瞬間を!」

「いいですよ――最後のひとつはごめんこうむりますけれど!」


 気の強いうさぎの王は堂々と、わが挑戦を受けてくれた。


「『泡雪崩狼の騎行エキュム・アバランシュヴォルシ』!」


 私は雪狼の群れを森へとむけて解き放つ。

 風をはらみ、舞い散る粉雪でできた雪狼は互いにぶつかり合い、まじりあい、ひとつの集合体を形成した。

 あたかも山肌を穿ち、すべてを飲みつくす、巨大な雪津波のように森へと迫る。


 加速する暗き想念が、つぎつぎと力に代わる。

 轟く歓喜が鼓動となって、この体を駆け巡る。

 これでいい。燃やし尽そう。

 いまこのときを。貴方のために。


泡雪崩ほうなだれ

雪崩の一種。ホウ雪崩とも表記する。大規模な煙型乾雪表層雪崩を指し、新潟県や富山県では単にホウとも呼ぶ。


通常の雪崩のような雪塊の落下とは違い、雪崩を構成する雪煙が最大で200km/h以上の速度で流下する。その衝撃力は数百キロパスカル(建造物などを破壊するほどの力に相当する)に達し、大きな被害をもたらすと考えられている。


(Wikipediaより)


ho<つまりとってもやばいってことだニャ!


ルビ機能の10文字制限ってルビを振られる側のほうのですね。エキュム・アバランシュヴォルシをさらっと降らせてくださって大感謝感激なのです;;ホント途方に暮れていましたので!


次回、続き!

激闘……激闘……ニャー!!←暑すぎて壊れている

どうぞ、お楽しみに!!


☆彡「おこんがー!」のお話、三部構成で固まりました。

第一話が書きあがりましたので、今日明日に上梓いたします!!☆彡

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