Bonus Track_86-1 見守る者としての決意! ステラ杯・決勝直前! ~ノゾミの場合~
見守るラブラブ軍師ーズのひとまくです。
短いですm(__)m
イツカとカナタのことは、チビのころから知っている。
ミライが見つけた、スターシードの子供たち。
まだ体格もミライとそんなに変わらず、大きな瞳に無垢な顔つき。
なによりも、幼いながらに妹を守り、懸命に明るく生きている姿に胸を打たれた。
守ってやらなきゃ、そう強く思ったものだ。
ともするとつい、そのころのつもりで見てしまう。
だから立ち上がりかけた。フィル=シグルド=シルウィスが、カナタに向かって親指を突き上げた時には。
貴様命拾いしたな、心の中で呼びかける。
もしも中指だったら、試合の前にボコボコだったぞと。
大きく息を吸い、眼鏡を直し、息を吐く。
「大丈夫だよ、ノゾミ」
すると、ぽんと肩を叩かれた。
ミソラが笑っている。それだけで、すっと凪ぐ心。
「あの子はカナタのことが大好きだから。
いまは悪ぶって見せてるけれど、たとえ勝ったとしても、悪いようにはしないはずだよ」
「……そうか?」
たしかにあの男は、自らの失策で女神ステラを消滅させかけていたく反省し、日々、社会奉仕活動で償いを重ねていたということだが……
さきほどの奴からはそんな殊勝さを一ミリも感じなかった。
むしろこの月萌で、イツカとカナタへの憎悪を募らせ、陰ひなたに悪意を吐き散らかしている奴らと同じに見える。
女神ステラは、魔王軍エンブレムを受け取っている。その力を用いて、国民の心を守っている。というのに、なぜ。
まさか、あの男。
「おそらくそうだね。
勝利のためなら、すべてを使い尽くす。自らの心でさえも。
ちょっと敬意を覚えちゃうかな。おなじ軍師として、さ」
ミソラは冗談めかせて言う。
以前見た動画のなかのあいつは、カナタに負けるまで、完っ全に悪人だった。
仲間を容赦なく騙し、切り捨て、気持ちよさそうに笑っていた。
それでも確かにあいつは、自ら危険を冒し、カナタとの戦いの場に立った。
事態の収拾のために、デモ隊の怒りを一心に受ける決意のもと、外に出て説得を行った。
「まあ……確かにあいつは、自らを賭ける気概のある男だ。
そのことは認めるが。……」
それでも眉間にしわが寄ってしまう俺に、ミソラは笑ってささやいた。
その内容。言われてみればその通り。
大きく大きく、息をついた。
「そうだな、ミソラ。
ありがとう。
本当に、ミソラには世話になりっぱなしだな」
「どういたしまして。
ノゾミが怒りに流されかけたら、わたしが止める。
逆にわたしが調子に乗りすぎたなら、ノゾミが止める。
わたしたちは、バディだからね。いままでも、そして、これからも」
「……違いない」
笑って軽く、こぶしを打ち合わせた。
そうだ。この試合も、今後のために大切な情報源。
しっかりと見て、備えなければ。
来るべき、その日のために。
遅くともこの月内には来るだろう、高天原の決戦。
イツカとカナタを疎むやつらが、全力を尽くして負け――
ここに『正義の魔王』を迎えられるように。
そこからが俺たちの、本当の戦いとなるのだから。
余計な情報切るのに慣れてきたのはいいのですがそうするとどんどん短くなる(爆)
ミソラさんの言った言葉は、いずれ出します!
次回、試合開始。の予定。
どうぞ、お楽しみに!




