85-3 見守る者としての決意! ステラ杯開催!
2022.06.20
いきなり呼び捨てでした^^;(された本人は喜びそうですが)修正いたしました!
それを受けたシグルドにも、→それを受けたシグルドさんにも、
心強かったのは、タクマとエルメスさんのおつきの人たちが、二人を追ってきてくれたことだ。
彼らだからこそ知っていること、わかることもいろいろあったし、彼らの経験に学ぶことはいっぱいあった。
おかげで、準備は順調。
白リボンのおれ、タクマとエルメスさんのコンディションも最高。
天気までもが味方してくれて、『ステラ杯』はすっきりと晴れた青空の下、開催されることとなった。
近距離で聞いてもやわらかなポフ音を発する、特製の昼玉花火がはじける下、開会式が始まった。
『みんなー! おまたせー!!』
会場となる沖合のフロートのうえ、笑顔で手を振り、空から舞い降りるのは、主催者である女神・ステラさま。
透明感のあるサマードレス風のお召し物は、南国の風に涼し気にたなびき、まるで天使のようである。
臥せっていた当時のはかなさを知っているおれたちからすれば、本当に元気になってくれたんだな、と感慨もひとしおだ。
手筈通り、ファンファーレを鳴らし、代表者のおれとイツカがエスコート。
出場者たちが壇上に並び、壇の下ではメディアと島のみんなが拍手して華やかにお出迎えだ。
ステラさまはかわいらしく咳ばらいをし、マイクを手に取ると、シンプルな開催の辞を述べ始めた。
『ではこれより、『ステラ杯』を開催します。
挑戦者は、ステラ領皇女エルメス、元六柱タクマ、そしてわれらが英雄にして魔王カナタ。
かけられる願いは、『ステラ領が魔王軍との講和を目指すこと』。
試練を与えるは、『狼牙』ベルナデッタ、『涙硝』サクヤ、そして新たなる六柱『雪狼』シグルド。
女神のもとにある子らは、みないとしき我が子。その子らの奮闘をわたくしは、ひとしく愛を持って見守りましょう』
本当のことを言えば、ステラさまはこの大会において中立ではない。
というのは、告げてしまったためだ。タクマとエルメスさんに、『わたしにその願いをかけてください』と。
もとは、彼女を支える者たちからの発案だというが、それに同意し、頼みとして口に出してしまった以上、それはステラさまの意志となる。
もちろん、それは極秘中の極秘。その場にいた者たち以外は、おれとイツカ、そしてアスカたち軍師チームだけしか、そのことは知らない。
『タクマの後釜に』という話の使者となったレムくん、それを受けたシグルドさんにも、それは明かされていない。
おれも、そのことは意識から抹消し、拍手を送った。
今日のおれとイツカは、これまで通り昼起き生活にサイクルを調整した。
現地代表として『ステラ杯』を見守るため、そして、最速で閉会式終了と同時に始まる猛攻に備えるためだ。
島の守護神たる四女神&神獣たちは、現在本業のほうで挑戦者ラッシュに見舞われており、身動きが取れない状態なのだ――これまで別の任務についており、ミッドガルドから離れて久しい高天原のαたちが、任務として隠しダンジョンアタックに派遣されているのだ。
しかしこれは、じきに終わることとわかっていた。
一般的なαがなしとげているのは第一覚醒まで。女神・神獣は第三覚醒者。
強さの桁が違うボス戦を短期に連戦するのは、過酷なものだからだ。
だが一方で、これまでド暇だったのに急に連日ボス業をしなけりゃならないというのも、絶対にラクなものではないはずだ。
みんなのがんばりを無駄にしないためにも、おれたちはこの後の守りをしっかりとやりぬかなければ。
決意をあらたにおれとイツカは、盛大に拍手を送るのだった。
運動会の合図として打ち上げられる花火『昼玉』。
このところは廃止の方向に向かっているので、入れようかどうか迷ったのですが、そこはクラフトの力を借りました^^
次回、タクマVSベルナデッタ! 同じ剣の師に学んだ姉弟子・弟弟子による対決となります。
どうかお楽しみに!!




