Bonus Track_85-3 もうひとつの独立島<ハナレジマ>~とある月萌軍人の場合~
まとめ:べつのしまに、つくもえのはぐれ部隊がやってきたよ!
いずれ、どくりつせいりょくになるよ!(たぶん)
2022.06.10
二つ目の『講和が成立するほうが』→『講和が成立せぬほうが』
すみませんでした!!
いくら『第四覚醒』を成し遂げかけているといったって、たった二人の子供なのだ。一国の軍が総力を挙げて狩れないわけなど、ないはずだった。
『それをしてしまえば、この戦いがゲームのイベントなんかでないことが、β居住区の人間にバレ、月萌は大混乱に陥る』
『それをしてしまえば、魔王を倒した我らが次なるターゲットとなり、国家間戦争に突入する』
そう説かれたが、納得はできなかった。
ゲームのイベントでないことがバレる? それこそ、情報操作で何とでもなるところだ。
そもそも我らはずっと、ソリステラスのターゲットだったではないか。
我らはずっとずっと、戦い続けてきた――なにも、新たな不都合などはない。むしろ魔王から得た経験値で、ソリステラスを制することだってできる。
そうすればより早く、より少ない損害で、世界の成長は成し遂げられ、平和が来る。それこそ我らの求めてきたことではなかったのか。
こんなのはおかしいのだ。
『魔王』たちは早々に狩るべき『世界の敵』。
なのに、わざわざ武器や味方、土地までもを進呈する。
あまつさえソリステラス・ステラ領は、女神杯を開催。挑戦者が勝てば、魔王らとの和睦を目指すなどと言い出し。
さらに議会は、ステラ杯は開催させる、その防衛にあたるようにと命じてきた。
わけがわからない。狂っているとしか言いようがない。
どいつも、こいつも。
そんな我々にささやいた者がいた。
『我らも同じ気持ちだよ。
ソリステラスを味方とは思えない。魔王たちはそうそうに倒すべきものだ。
彼らをもろともに狩りたいとは思わないかね?』
『思います!』
『ならば、いい方法がある。
むしろ、ステラ杯を開催させてしまうのだ。
挑戦者が勝てば、ステラは魔王の味方、すなわち世界の、我らの敵。
いくらでも遠慮なく叩いてやることができる。違うかね』
『それはそうですが、両者が結託してしまえば、より危険度が増してしまいませんか?』
『そこは、タイミングだよ。
まずは『ステラ杯』を開催させる。そしてその直後、かの島をたたくのだ。
兎魔王が消耗しており、挑戦者どもがステラに戻り、かつ、ステラの手勢が島に到達していないタイミングで。
ステラ杯さえ終わってしまえば、もはや遠慮はない。ソリス領もこのタイミングを利用して仕掛けるつもりでいる。ステラが講和を決めてしまえば、もはやそれをむげにはできぬからね。
そのタイミングで魔王島の近くにいるために、君たちはステラ杯を守りに行くのだ。
味方の顔をしておるものを撃っては来ない。あやつらはそうしたモノたちだ。
大丈夫。ステラ杯までの間、君たちの本当にしたいことを、代行してくれるものたちがいる。
かれらは君たちの味方だよ。月萌の旗を掲げ、『ステラ杯』の妨害を行ってくれるのだからね』
わからないわけがなかった。
それが、月萌との開戦を望む、ソリステラス人だということは。
もはや、笑わずにはいられなかった。
ソリステラスのあいつらは、月萌と戦うために、ステラと魔王軍の講和を妨害する。
講和が成立するほうが、彼らの有利となるにもかかわらず。
我ら月萌の開戦派は、ソリステラスと戦うために、ステラと魔王軍の講和を妨害させまいとする。
講和が成立せぬほうが、我らの有利となるにもかかわらず。
一手先の立ち位置を得るため我々は、互いに真意と裏腹の位置につく。
しかしまあ、悪くはない。
今戦っているあいつらは、そもそも我らが討ちたい者たちだったのだから。
それに。
この、嘘まみれのミッションを受け入れたことで、我らは貴重なものを得ることができた。
今我らのいる、この小さな防衛拠点だ。
知らないわけもなかった。
我らは疎まれていること。
我らの蓄積した、強い恨み。そこからくる言動が、行動が、御しがたいものだと。
そのために、この戦いを利用していずれ、切り捨てられることを。
この小さな島は、そんな我らを隔離し、いずれ切り離すときのために与えられたもの。
帰還が命じられることもないだろうし、するつもりもない。
だが、ならば、好都合。
我らはこの拠点を我らが王国として、我らの戦いを続けるまでである。
かくして『知らざりし者』は『知る者』になっちゃいました。
ソリステラス開戦派と対称の立ち位置にいる人たち。
敵の敵は味方とかそう簡単にゃーいかないってことよ←
ここまでまとめるのほんと難易度高くて頭ボン。
そもそも需要あるのかわかんないのにもうっ( ノД`)シクシク…
次回、うさ姉妹にこき使われゴホンゴホン、ダブル農作業☆癒されでーとの予定です。
どうぞ、お楽しみに!!




