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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_85 『魔王軍』活動再開~そして開始、『ステラ杯』!

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85-1 夜明けの執務室で待ってて? うさぎと竜の小さな約束!(1)

「右っ、左、上っ!」

「あたり!!『0-G、エクストラ』!!」

「エクストラでいいのかよっ! 辰・地・斬っ!!」


 海上や空中に浮かぶフロートを次々飛び移りながら、イツカがタクマに仕掛ける。

 肉眼で残像が見えないレベルの速さに、タクマはもう完全についてきている。

 イツカの動きを読み切って構え、瞬時にパワーチャージ。女神の手になる防護絶壁アルテマリジェクターさえブチ砕く強烈な斬撃を、真っ正面からはじき返す。

 どうっ、と全周に衝撃が散った。

 この威力。もしもシミュレーションモードでなければタクマの立つフロートはぶちわれていた。漁礁なんかもただでは済まず、大量の魚たちが浮いてきたことだろう。

 やっぱりこいつらはヴァルハラフィールドにしまっておかなければ。けっしてけっして、外の自然に放し飼いにしてはいけない。

 拍手と歓声の上がる中、おれはそう確信したのであった。



 ステラ杯に対する態度はあちこち様々だ。

 おれたちが有利になることを避けるため、もしくは、単純におれたちが嫌いだから味方が増えてほしくないと、開催をつぶそうとしている人たちは今もいる。

 かと思うと、宿敵ソリステラスと手を取り合いたくないから魔王の味方になっちまってくれという考えから、防衛を行っている人々もいる。


 テロ的なやり方での妨害、ならびになりすましでのヘイト稼ぎをすこしでも抑えるためにと、ステラ領はこう発表した。


『今回のステラ杯、その求めるものに対しては、さまざまな考え方があることをよく承知しています。

 そのため、それに関するいかなるパフォーマンスも、ステラ領は批判しません』と。


 対しておれたちのしたことはというと、それをたたえつつ、敵対者に余計なことを考えさせないレベルのパフォーマンスを披露することに注力した。

 すなわち、イツカとタクマ、白リボンのおれとエルマーでの特訓を沿岸から見えるところで行い、なおかつ動画も公開したのだ。


 島への環境負荷やメンテの手間もあり、バトルはシミュレーションモードでやっているけれど、評価は上々だ――『もはやボスキャラ超えて戦略級の人材』『なんだこの地獄は』『月萌杯のバトルが可愛く見えてきたんだが』――等々。

 おかげさまで沖合での攻防はほぼほぼ、こちらに波及しては来ない。

 夜間もその安全を確保するため、寝起きのサイクルを補完しあい、魔王ズかタクマ、エルマーのうちの誰かひとりは常に起きている状態を作り出すことにした。


 そんなわけでおれは向こう三日、白リボンのおれを昼間にトレーニングさせてやるため、夜間活動することになった。

 もともとうさぎは薄暮性の動物であるためか、昼間たっぷり寝たためか。夕方起きる生活は、意外なほど負担感がないと感じた。


 ともあれ白リボン組と引継ぎをしつつ、食堂でご飯をいただく。

 その後、イツカは外へ。

 おれはアルムさんからお譲りいただいた執務室にて、まおネットと『卯王の(ラビット・)聖地(サンクチュアリ)』で島のようすをチェック。

 その間にも、おれと直に話してうちあわせをしたいひとが部屋にやってくる。

 シオンとまおネットの仕様調整について。ルーレアさまや地の民たちと坑道開発のスケジューリング、ついでに新型ボム試作ができたと聞いて、地下試験場で効果確認。

 こうしてみると、現状みんな、意外なほど夜間も動いていた。

 島に来たばかり、あまり人手もない頃は、夜に動いているのは哨戒や、農場の見張り番くらいだったのだけれど。


「ソリスの民は、わりとふつうに、夜も動いてるよ。

 僕もけっこう、夜におしごとしたりするし」


 エルマーが言う。結構いい時間だが、眠そうな感じはない。


「もしかして留学してるときとか、しんどくなかった?

 学園ってとりあえず昼型だしさ」

「ううん、僕はそこのところはだいじょうぶ!

 地竜は一週間くらい、寝なくても大丈夫なんだよ。

 でもそれするとあとで一週間寝ちゃうから、規則正しい生活を心掛けてるの!」


 そうしてエルマーはいたずらっぽく笑うと、こんなことを耳打ちしてきた。


「……あのね。

 明け方近くに農場いくとね、クローネさんとクロートーさんによく会えるよ。

 ふたりとも、うさぎだから、早起きなんだよ」

「ちょ、あの、……あ、アリガト……」

「どういたしまして♪」


 クローネさんとクロートーさんは、かわいい。ぶっちゃけいるだけでうれしいし、話をすると元気づけられ癒される。

 だがちがう、ちがうのだ。

 これはただ単に、うさぎどうしの親和感と仲間としての感情で、ライムへのきもちは一ミリたりとも揺らぐものではないのである。


 だがエルマーはひたすらピュアな笑顔だ。それを前に『いやおれにはライムがいて』とかなんとかは言えず。

 頭をひねっておれはこういった。


「えーっと、じゃあ時間が合うとき、いっしょに農場に話にいこっか」

「うん♪」


 エルマーは明日、夜遅番だという。

 それじゃ帰りがけに執務室で待ち合わせね、と約束し、その日はそれで解散したのだった。

なんかかわいいお話になってますが、沖合の人々の思惑は穏やかじゃござんせん。

そんなわけで、次回はもうひとつの島が乗っ取られたみたいだよ! なおはなしです。(予定)

あたまつかいすぎてゆげでそうです。

どうぞ、おたのしみに!!

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