Bonus Track_85-1 ひさしぶり! 再結集オンラインライブ!!~ミライの場合~
ほんとはおれたちも、あの島にからだごとぽんっと瞬間移動できる。
でもそれは、ないしょにしとかなきゃいけないことだ。
だから、おれたちの共演はオンラインでになった。
日曜日。ミズキといっしょにみじたくをして、ごはんを食べて、かるく自主トレをして。
お兄ちゃん、もとい、先生に『行ってまいります』を言って、スタジオに向かった。
今日は、新生魔王軍の旗揚げを祝うお祭り。そのステージで、おれたちも歌うのだ。
『ミライツカナタ』『うさもふ三銃士』でのライブ。なんだかすごく久しぶりな気がしてドキドキだ。
ホントのことを言うと、おれは不安だった。
動画を使って合わせたりはしてたけど、おれはもともとどんくさいほうだ。みんなの足を引っ張っちゃったりしないか、それがどうしても心配だった。
けれど、ヴァルハラフィールドの会場にインして、みんなと顔を合わせたら、ふしぎと緊張は凪いでった。
「なんかなつかしいかもー!
ほら、ミライが学園はいれて、学園生の制服きれたとき、こんなかんじしたから!」
「えへへ! そうだね! なつかしい!」
今日の衣装は、学園アイドルグループふたつの再結集を強調するため、高天原のブレザーを思わせるデザインラインで統一されてる。
シオンとわいわい言い合っていると、ソーヤにまとめてぎゅーっとされた。
「うああかわいい! かわいいいっ!!
もうっほんとなんでこんなにかわいいのこの子たちーっ!!」
「やっぱりふたりそろうと尊さ二乗だよね♪」
ミズキもニコニコ頭をなでてくれる。
「そのうち二人でお揃い衣装とか着てもらいたいかもね?」
「いっそシャッフルユニット組んでもよくね? んで、扇風機に向かって歌ったりして!」
「せんぷうきっ!! それいいっ!!」
「いやイツカそれなんのネタ? かわいいけど!!」
カナタもイツカも、たのしいアイデアを出してくれて、おれたちはさらに盛り上がった。
「おそろいー! いいかも!」
「そうだあとでさ、こっそり衣装とっかえっこしてみよっか?」
「さんせーい!!」
あのころ『うさもふ』のなかでいちばんなかよしだったのは、何を隠そうシオンだった。
なんというか、ふしぎと馬が合って、イツカとカナタの試合のお出迎えの時も、しょっちゅうご一緒してくれたりしてたものだった。
「ほんとに、早くリアルでこうできるようになりたいね。
ティアブラのなかも、オレたちにとってはリアルみたいなものだけどさ」
「ほんと、すごくリアルだよね。
味もするし、においもするし……手触りだってちゃんとあるし」
シオン、ソーヤ。イツカ、カナタ、それにミズキ。
ここにいるのはアバターのはずなのに、みんなぜんぜん、ほんものとかわらない。
それだけ『ティアブラシステム』が、それをうごかす『マザー』がすごいものだということなのだけれど、それでもときどき不思議な気がした。
一緒に歌ったリハーサルは問題なし。
まるであの頃みたい、とみんなに太鼓判を押してもらえた。
だいじょうぶ。おれの不安はもう、かけらもなくとんでった。
さあ、お祭りのはじまりだ。
今日の一番手は、おれたち『ミライツカナタ』。
魔王島のビーチをイメージしたセッティングのステージに飛び出して、おれたちはおっきく手をふった。
せん○うきチューン、癖になります。
次回、掲示板回(ライブ衣装まとめ)の予定です。
どうぞ、お楽しみに♪




