84-6 クライマックス!! 『みずおと』第二話第五幕!(終)
ページ戻したら作成途中のここのデータが消えたんですがなぜ……?
活動報告もページ戻したらデータが消えました。
全体的にいろいろアヤシイ。
そんなわけで、二重投稿になっていたらごめんなさい。
『そりゃあたしかに今のでダメージいただきましたよアリガトウゴザイマス。
けどそんなもん、オレにとってはへッでもネェんだよ!!』
掲げる右手の上に姿を現すのは、バチバチと赤い火花を散らす不気味な光球。
『これなーんだ?
こたえは、今のダメージでっす!!』
ぽんっとサクラさんに投げつければ、赤くダメージポップアップが上がる。けっこうバカにならない数値だ。リンカさんのヒールが飛んだ。
『オレはさァ? オレにきたダメージとか攻撃な、こうしてタメとくことができんだよ。つまり、一撃でブッ飛ぶレベルじゃねえとオレは倒せねえ。でもってレイジごときにゃそれはできねえ。チェックメイトだ。
どうする? 今ならちっとは優しく』
『待て、魔神!!
おふたりとも、こちらです!!』
再び飛び込んできたのは、ハルキ君。
そしてその後ろにいるのは、豪奢な装備に身を包んだ、若き国王と王妃。
そう、トラオとサリイさんである!
『みんなよくやったな!
まったく、せっかくの新婚旅行に水を差しやがって。
俺たちに変わってお仕置きだな!!』
『えっ、新婚旅行っ?!』
トラオが華やかにばさり、マントを翻す姿はまるっきり白馬の王子様だが、内容が問題だ。
別の国の王弟という役どころのハルキ君がえっ? えっ? と視線を左右する。
すなわち、国王王妃コンビと、その娘であるはずのサクラさんを見比べる。
サクラさんがあははーと気の抜けた様子で解説するには。
『あー。
あのね、うちのパパとママはいまだにラブラブで、今回300回目の新婚旅行なの』
『ええっ……』
一体全体どんなペースで旅行しまくればそうなるのか。深く考えてはいけない。
『チッ、色ボケ夫婦め。
今更遅いわ。年端もいかねえ娘に国を任せてフラフラしてッからこういうことになるんだよ!!』
『そうともかぎらねえぜ?
今回はナイスなおみやげがあるからな!!』
ラブラブ夫妻がしゃきーん! と左手をかざせば、薬指に輝くのは、そう。
『『シャスタのエンゲージリング』。こいつがあれば、どうだろうな?』
『えっ、エンゲージリング……?』
『もう、アイテム名につっこまないっ』
ハルキ君がまたしても疑問を口にして、サクラさんにわんわんにくきゅうぱんちをいただいた。ちょっとしあわせそうに見えなくもない。
一方グリードは狼狽した様子だ。
『なんだと? シャスタの……
てめえらなんだって女神のアイテムなんざ持ってやがる!!』
『聞きたいか?
だったらおとなしく捕まってもらおうか! サリイ!』
『ええ!』
始まる覚醒変身。ただしいつもと違うのは、指輪からあふれ出る水流が、小さな水竜のカタチをしていることだ。
豪奢な装束を惜しげもなく覚醒衣装に変えると、トラオが抜刀。サリイさんがその背に抱き着き、翼を広げる。
トラオが地をけりサリイさんが羽ばたけば、二人は女神シャスタの水龍を小さくしたような龍形の水に包まれる。
『コメットブラスト・アクア!!』
炎をまとってぶちかましをかける『コメットブラスト』、その発展技。
自らをも焼く炎のチカラから身を守るために、『シャスタのエンゲージリング』のチカラを使っていたのが、ぜんぶ水だけにスッパリ集中したものが、これだ。
『チッ!!!』
はじけた、必殺のぶちかまし。
だが、そこにはもう、グリードはいなかった。
場面変わって謁見の間。
ふたたび王と王妃の衣装に変わったトラオとサリイさんが、騎士装束でひざまずくユキさんから報告を受けている。
『おそらく、ですが。
前大臣クレイマンは、グリードに乗せられていただけのオトリ。
グリードが本当に狙っていたのは、クレハ殿かと存じます。
手口はまず、クレイマンをあやつってずさんな不正を行います。
真面目なクレハ殿がそのしりぬぐいで疲労困憊となったところにあらわれ、取りつく、という手口だと考えられます』
『なるほどな……』
『さらに出現の時期からして、サクラ様や多数の令嬢を操った『虚飾』についても、彼と共犯関係にあると疑われます』
『俺たちの留守に、そんなことが……
苦労を掛けちまったな、お前たちには』
『いいえ。
お二人が女神シャスタ様より加護の指輪をいただいていなければ、あたしたちはオシマイでした。感謝よりほかはございません』
『すまねえな。
これからしばらくは、俺たちはここに残る。
お前たちの仕事はしっかり引き継ぐから、ゆっくり休んでくれ』
『えっ……どうしてそれを……』
トラオがイケメン全開で言えば、ユキさんは驚いた様子で顔を上げる。
優しい微笑みで返したのはサリイさんだった。
『クレハ君はここまでの激務、くわえてグリードに好き放題利用されたことで、休養が必要な状態だわ。
愛する人のそばについていてあげたいのでしょう、ユキ。
ふたりでゆっくりと休んで、元気になって戻ってきてちょうだい』
『……はい!!』
それから王と王妃は、改めてコトハさんにお詫びをし、何かあったらいつでも言ってくれと握手を交わした。
そうしてハルキくんの提案で、せっかく一緒に国を訪ねることができたのだから、と歓迎の宴に相乗りさせてもらうことになった。
以前の『虚飾』の件で、みんなコトハさんを好きになっていた。さらに彼女は『わたしは何もできなかったから』とみんなに『スイート・ミルキィ・レイン』でみんなにあまーい全員回復をプレゼントしたことで、みんな大喜び。
『もうコトハちゃんが聖女でいいよっ!』とみんなが口をそろえることとなった。
それでもコトハさんは、それをお断りした。
『いいえ、わたし、ほんとになんにもできませんでした。
みんなが戦っているのに、守られているばかりで。
それよりは、聖なる力をつかって戦って、ちゃんと大切な人を守れる、リンカさんや王女さまのほうがよほど、聖女にふさわしいです。
それにわたし、これから旅に出るんです。
七つの魔神は、乱れる世への警告を込めて現れる存在だと聞きました。
それでもかれらは、わたしたちとおなじように、優しい心をちゃんと持っていることも、わたしは知っています。
だから、旅をして残りの魔神たちをみつけて、話をして……その心をほぐし、かれらが現れなければいけなかった原因を解決したい。
この国の聖女になることは、だからできないんです。ごめんなさい』
コトハさん、渾身の長台詞。ぺこりと頭を下げつつも、ちょっとほっとした感じがしないでもない。かわいい。
はいはいっと手を上げるハルキ君もまたかわいいけれど。
『でしたら、コトハさん。
神聖ウサネ公国の教主さまにお会いになってはいかがでしょう。
教主様のことは、俺たちもよく存じ上げています。
そんな素晴らしい志のためになら、必ずやお力をお貸しくださるはずです。
神聖ウサネ公国は我が国の隣、海を挟んでむこうがわにあります。
兄に頼んで、船を出してもらいましょう!』
『よろしいのですか? でしたら……おねがいします!!』
この様子を見ていたみんながわああっと歓声を上げ、めでたいムードでパーティーが始まった。
しばし、にぎわうお城の各所が大画面に映し出される。
そのあと、ぐぐっとカメラがひいて、高台からお城を見下ろす二つの影が。
月明かりの下、それぞれ黒と青のクロークをかぶり、その顔はよく見えない。
『取り逃がしたか……』
『たぶんあらかじめ、避難用のなにかを準備してあったんだ。
ほかの魔神もかれらに一枚かんでいることは、ほぼ確定といっていいね』
『だな。
まずは急いでもどろうぜ』
『うん!』
まあ、声でバレバレといっちゃバレバレなんだけど。
踵を返すと、風でクロークが払われて、一瞬だけ白リボンのおれたちの顔が明らかになり、画面暗転。
まるで映画のようなエンドクレジットが流れだし、ランチ会会場はいっぱいの拍手に包まれた。
腕の腫れがまだ引きませんorz
次回、新生魔王軍の旗揚げとステラ杯開催予告と水面下の闘争の予定です!
どうぞ、お楽しみに!!




