Extra Stage of 1000!! ツクモエもりと、にじのかけはし~くろねこイツカと、『つゆ』のおはなし~
ついにきました!
・これは、1000ぶぶんきねんのおいわいにかいた、べつのせかいのおはなしです。
・もりのどうぶつたちが、げんきのでるおまつりをします!
・とちゅう、ちょっとおおあめがふるけれど、だいじょうぶです。
・つゆのにがてな、みなさんも、くもとあめがすきになれたら、うれしいです!
それは、『かり』にでかけるとちゅうのこと。
くろねこイツカのはなさきに、ぽつん、つめたいものがおちてきました。
ざわざわ、かぜがざわめくと、みるみるおそらが、くもってきます。
こうしてことしも、『つゆ』がやってきました。
いつもだいたい、おてんきのいいツクモエもりですが、このときだけはそうもいきません。
だいたい、つきがいっかい、めぐるあいだ。
いつもとはぎゃくに、おそらがどんより、してしまうのです。
いつも「おはよう」とあいさつしてくれるおひさまが、くものむこうでみえません。
それだけで、イツカはしょんぼりしてしまいます。
それでも、あめがふっていなければ、みんなとかりにいくのですが……
そんなひのイツカは、どじばかり。
えものをにがしてしまったり、ころんところんでしまったり。
「まるで、ミライがこいぬのときみたいだね」
「そうそう!」
「おもいだすなあ、かわいいなあ」
みんなはほんわかしちゃうのですが、とうのほんにん (ほんにゃん?)はそうもいきません。
いつもは『うできき』のかりうどにゃんこなのですから、その『ギャップ』も、おおきくなるのです。
イツカははずかしくって、にゃーん、とあたまをかかえてしまいました。
ちょうしがわるいのに、むりをして、けがをしたらたいへんです。
イツカはしばらく、しばいぬミライのおてつだいをすることになりました。
もりのはたけをみまわって、やさいのおせわをするのです。
ですが、ここでも、うまくいきません。
くさむしりをしようとしたら、ねこじゃらしをはっけん!
ついつい、ちゃいちゃい、あそんじゃいます。
ちょうちょをみつけてかけだして、ころんところんでしまいます。
あっ、しまった。やっちゃった!
イツカはにゃにゃーん、あたまをかかえます。
「しかたないよ、なれないおしごとだもの」
「おてつだいにきてくれるだけで、うれしいよ!」
ミライたちはやさしくいってくれます。
それでもイツカは、しょんぼりしてしまいました。
いつもなら、イツカはすぐにげんきになります。
おひさまがにこにこと、くろいけなみをてらしてくれれば……
イツカはすぐにポカポカ、ピカピカです。
そうして、『まっ、いいか!』とわらうのです。
けれど、おてんきがどんよりすると、イツカはしょんぼりです。
あめのふるひは、いちにちまるくなって、うとうとです。
そんなひが、いっしゅうかん、にしゅうかん。
イツカはすっかり、げんきをなくしてしまいました。
「ああ、なんだか、げんきでないなあ」
「イツカがげんきじゃないと、ぼくたちもげんきがでないよね」
「なんとか、なんとかならないかなあ?」
「どうにか、おそらがはれてくれたらなあ」
いつものあかるいイツカがいないと、みんななんだか、げんきがでません。
イツカのおうちのほうをみては、ためいき。そらをみあげては、ためいきです。
「なあ、ミソラ。なにかいいほうほうを、しらないか?」
イツカたちのおにいさん、とってもつよーいきつねのノゾミさんも、おそらのくもはどうにもできません。
もりいちばんのものしり、シロフクロウのミソラさんも、うーんとうなってしまいます。
「そうだね……
『てるてるぼうず』はもう、つくってみたし。
あとは、『はれごい』のおどりでも、するしかないのかなあ」
そのとき、ぱっとたちあがるものがいました。
『はつめいか』のたれみみうさぎ、カナタです。
「そうだよ、『はれごい』のおまつりをしようよ。
みんなでげんきにおどったら、おひさまだって、でてくるよ。
イツカもきっと、げんきになるよ。
だいじょうぶ。とっておきの『ひさく』があるから!!」
そうときまったら、さっそくじゅんびです。
なつまつりの『やぐら』を、ちからをあわせて、くみたてて。
きれいな『いしょう』も、きれいにあらって、つくろいます。
いろとりどりの、ごちそうをつくって。
こどもたちには、くだものジュース。おとなようには、おさけもだします。
もちろん、やさしいもりのめがみさま『マザー』にもおねがいして、おまつりをみににきてもらうことにしました。
これまであめのひは、おうちでじいっとしているほかなかったみんなも、これならつまらなくありません。
おうちどうしをつないだトンネルで、あっちにこっちにいききをしながら、わいわいがやがや、じゅんびをします。
いちにち、ふつかとがんばって……
みっかめのよる、ようやくじゅんびがととのいました。
みんなは、イツカのおうちをたずねます。
「イツカ、イツカ!」
「おまつりしよう、『はれごいまつり』!」
「うたっておどって、ごちそうたべよう!」
「う~ん、むにゃむにゃ……ごちそうあるなら、いこうかな……」
イツカはちょっぴり、ねぼけまなこ。
けれど、ごちそうときいて、きてくれました。
よぞらはどんより、くもりぞら。
けれど、きょうは『ひさく』があります。
それは、おっきなおっきな、おっきな『かさ』です!
『はれごい』のおまつりをしよう、ときめたみんなですが、あいてはおてんき。
せっかくごちそうをだしてきても、あめにぬれては、だいなしです。
そこで、カナタがくふうをしました。
なつまつりのやぐらをちょちょっとかいぞう、おっきなかさにしたのです。
まずは、かさの『ぬの』をつくりました。
てさきのきようなどうぶつたちが、じょうぶな『ぬの』をもちよって、せっせ、せっせとぬいあわせます。
かさのかたちができたなら、みずをはじくあぶらをぬって、かわかします。
そのあいだに、かさの『ほねぐみ』もつくります。
ちからもちのどうぶつたちが、もりのひろばのまんなかに、やぐらをくみます。
そらをとべるどうぶつたちで、やぐらから、もりのきのえだまで、ちょうちんをつるす『つな』をのばして、しっかりとくくりつけます。
さあ、そうしたら、しあげです。
おおきなかさの『ほねぐみ』に、かさの『ぬの』をくっつけるのです。
みがるなどうぶつたちが『つな』をつたって、じょうぶなひもで、ぎゅぎゅっとむすびつけていきます。
そうしてちょちょっと『びちょうせい』したら、おおきなかさのかんせいです!
もりのひろばのまんなかに、どーんとおおきい、かさがたちました。
これならちょっとくらい、あめがふってもだいじょうぶ!
あかるいちょうちんをいっぱいつるした、おおきなおおきなかさのしたは、はれのひみたいにあかるくなりました。
「さあみんな! たのしくうたって、おどりましょう!」
「おいしいごちそう、もりもりたべて!」
「おひさまでるまで、あそびましょう!」
さあ、おまつりのはじまりです!
うでによりをかけたごちそう、おとっときのおさけとジュース。
がんばってれんしゅうした、うたにおどりに、てじなもあります。
たのしいたのしいおまつりに、イツカもえがおになった、そのときでした!
ざざ――――――――――――!!
とつぜん、あめがふりだしました。
それもまるで、たきのようなおおあめです!
ざあざあ、あめのいきおいに、おおきなかさも、たわんでいます。
「これは、あぶない!」
「みんな、もてるだけのものをもって、ひなんしよう!!」
こんなこともあろうかと、ひなんようのあなも、いくつかほってありました。
みんなは、もてるかぎりのごちそうをもって、あなのなかににげこみました!
たきのようなあめは、すぐにあがりました。
ひなんようのあなからそうっとかおをだすと、もりのひろばはすっかり、あらいながされておりました。
やぐらはなんとか、ぶじでしたが……
みんなでつくったかさはこわれ、もちきれなかったごちそうも、ぺろっとなくなってしまってます。
「ああ、こんなことになるなんて」
「ごめんねイツカ。かなしいおまつりになっちゃった」
がんばってじゅんびしたみんなは、しょんぼりです。
でも、イツカはいいました。
「なにいってんのさ。
おまつり、だいせいこうじゃん!
ほら、あれ! みてみろよ!!」
イツカがぴん、としっぽでさしたのは、もりのひろばのうえのそら。
どんよりぐもは、どこへやら。キラキラのほしたちが、わらっています。
「わあ……」
「はれた!」
「はれたね!」
「すごい! だいせいこうだー!!」
やった、やった。
みんなでよろこびあっていれば、ひがしのそらがあかるくなってきます。
「あ!」
「おひさまだ!」
「おひさまがでるぞー!」
みんなもう、うれしくてたまりません。
でも、うれしいことは、それだけじゃありませんでした。
「ねえ、あれ!」
「にじだ!」
「にじがでたよ!」
「うわあ、きれい!」
「きれいだね!」
なんと、おひさまのはんたいがわに、きれいなにじもでています。
もりのめがみさま『マザー』が、やさしくほほえみます。
「なんて、きれいなにじでしょう。
くもとあめの、おくりものですね。
きっと『ごちそうをたべちゃって、ごめんなさい』と、いってくれているのですね」
するとイツカが、いいました。
「あめも、くもも、おまつりにきたくなったんだな。
なんかおれ、すきになっちゃった。
あめも、くもも、おいしいものや、たのしいことがすきなんだ。
おれたちとおんなじ。ともだちなんだ!」
イツカはすっかり、いつものえがお。
それをみているとみんなも、ニコニコ、えがおになりました。
それから、ツクモエもりのみんなは、つゆのおわりに『はれごいまつり』をするようになりました。
おおきなおおきなかさのした、うたっておどって、ごちそうたべて。
そのうち、がまんできなくなったくもとあめが『どどどっ』とふりそそぎますが……
そのあとにはかならず、ぴかっとはれて、きれいなきれいなにじもでます。
そうして、ツクモエもりのつゆはおわり、たのしいなつが、やってきます。
『つゆびより』のひがにがてだったイツカは、どうなったでしょう。
じつは、あんまりかわらないのです。
くもりのひには、ちょびっとどじになるし、あめのひには、ねぼけちゃいます。
それは、ねこだから、しかたありません。
それでもイツカは、あめとくもを、おともだちとおもうようになりました。
はれごいまつりのおしまいに、『どどどっ』とくもとあめがふってくると……
イツカはそれはそれは、うれしそうにかんせいをあげます。
そうやって、そらのおともだちをかんげいするようになったのでした。
おしまい!
『あめのひのにゃんこは、とことんねむい』のです。=^_^=ニャー
今回ついに1000部分目到達ということで、ささやかな企画もございます!
ご興味お持ちいただけました方は、活動報告をのぞいてみてくださいませ!
さて次回投稿は、明日ワクチン三回目接種のため、一日お休みをいただきまして明後日となります。
『みずおと』第二話クライマックスです。
どうぞ、お楽しみに!




