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青森紫苑

俺も、漫然とレベル上げをしていた訳では無い。

ちゃんと、部員の候補には目をつけていた。


青森(あおもり)紫苑(しおん)

眼鏡をかけ、長髪、口調は同級生に対しても敬語。

クラス委員長でもないのに、積極的にクラスの用事に手を出し・・・欠席者がいれば掃除の手伝い等に手を出す事も。

控え目な性格で、いつもニコニコしている。

男女共に人気が有る。


だが・・・俺が見た彼女は・・・『悪』だ。

きっとあの微笑の裏では、世を恨んだ様な歪んだ心が・・・有る筈。


もう一人は、遠藤(えんどう)宿名(すくな)

運動も勉学もパッとしないが・・・恐らく、ブラフ。

しかも、彼は恐らく・・・


普段から、邪眼がどうこう、封印された腕が云々言っているが・・・俺が見た正体は・・・全て嘘だ。

決して、魔王の生まれ変わりでは無い。


2人とも帰宅部、というのも、条件にあっている。

その話を茜に伝えたところ・・・


「何でその2人を選んだの?!」


あまり良い反応が帰って来なかった。


「いや、こう・・・ぶわっと、オーラを感じると言うか」


「先輩・・・おかしいっすよ・・・」


茜が半眼で告げる。


「具体的には、茜と同じくらいのDDS力を感じる」


「私にもオーラを感じるの?!」


茜が少しも嬉しく無さそうに叫ぶ。

何故。


「青森先輩は良く知りませんが・・・遠藤先輩って・・・その・・・やばい方ですよね。1年生でも噂になってるんすけど・・・」


茜の発言に、俺は苦笑して告げる。


「茜、大丈夫だよ。遠藤君のアレは──魔王の生まれ変わりって言うのは、嘘だ」


「そこ信じてる訳じゃ無いっすからね?!」


じゃあ何処に引っ掛かるんだ?


「ともかく・・・誘ってみようと思う。遠藤君は何時も、放課後はダッシュで帰るので・・・掃除の手伝いで残っている、青森さんから。行くぞ!」


「超嫌なんすけど・・・」


茜が呻いた。

俺と2人きりが崩れるから、だな。


--


「青森さん!」


「貴方は・・・朱智君、ですね。何か用ですか?となりの子は・・・下級生さんかな」


青森さんは、俺を見て微笑む。


「初めまして。鷺谷(さぎや)(あかね)っす」


「鷺谷さん、よろしくね。青森紫苑です」


良い笑顔だ。

さて。


「鷺谷さん・・・君にお願いがあってね」


「私に・・・ですか?内容によりますが・・・」


困惑した様な顔を浮かべる鷺谷さん。


「俺達の同好会・・・だんじょんぶに入って欲しい」


「だんじょんぶ・・・DDSの同好会ですか?申し訳有りません・・・DDSはほとんどやっていなくて・・・」


「そう言わず・・・今なら、加入特典で鉄のインゴットを1つプレゼントするよ」


「安いですわね?!」

「安いよな?!」


青森と茜が叫ぶ。


「先輩・・・物で釣るのも良くないっすけど、プレゼントも安すぎっす」


「レア装備なんて無いんだから、仕方ないだろう・・・始めて1週間だぞ?」


青森さんは溜め息をつくと、


「分かりました。同好会には入りませんが、時間が合う時に数合わせに参加、くらいなら良いですよ。私はディガーなので、戦力は期待しないで下さいね」


「ふふ。俺には分かる。その手は、DDSに染まった手・・・DDSから離れる事はできない。一度経験すれば、後は下り坂さ」


うん。

それで十分だよ。

有難う・・・恩に着るよ!


「ええ・・・」


青森さんが、茜が、微妙な顔をする。

おっと、顔に出てたか。


「では、早速これから」


俺が言うと、


「ごめんなさい。今日は用事があるから・・・」


青森さんが苦笑い。


「用事って・・・DDSでソロをしつつ、PTプレイの動きをちょっと思い出す慣らしプレイとか、そんな感じだよな?」


「・・・朱智君、とりあえずDDSから離れませんか?」


「先輩・・・」


茜までジト目。


「分かった・・・明日、遠藤君も誘うので、4人で行こう」


「え、遠藤君・・・?」

「先輩・・・本気なんすか?」


青森さんと茜が微妙な反応をする。

だから、魔王の生まれ変わりって言うのは嘘だってば。


「明日が楽しみだ」


俺は、青森さんと茜に、そう告げた。


本体の申請もあっさり通ったし・・・今後、学校としてDDSの本格的な部活が開始したら、本体は学校に返却する約束だけど。

1つの学校につき、無料で貸与されるDDS本体は、1台だけなのだ。

部活を統合するか、自前で用意しろ、とのことだった。

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