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第五話 「おい主人公そこ変われ。お願い変わって」

 ――――――そして翌日


 「⋯⋯⋯⋯ふっ、ついにこの日が来たか」


 この日とはそう、読者の皆様もお待ちかねの妹とのデートの日だ!


 ⋯⋯⋯⋯読者ってなんだ?


 「そんなことより今の時間はっと」


 時刻はまだ七時半だった。

 目覚ましを八時半にセットしていたので予定より一時間も早く起きてしまったらしい。


 ⋯⋯だって仕方ないじゃん、妹と遊びに行くんだよ、デートなんだよ!

 妹って言ってもただの妹じゃなくて心なんだよ!

 あんなにかわいい妹とデートできる俺ってなんて幸せ者なんだ‼


 それに何より⋯⋯⋯⋯


 (心と遊びに行くなんて、いつ以来だろうなぁ)


 前はよく二人で遊んでいたのだが、心が中学生に入ったころから二人で遊びに行くことはなくなってしまった。

 まあ兄妹とは言えど、年頃の男女が二人で遊ぶことに抵抗を覚えたのだろう。


 ――――あの頃のお兄ちゃんは寂しかったんだぞ、心

 そう!だからこそ今日は全力で妹とイチャイチャするんだ‼


 ――――――――――ん?シスコンだって?ふっ、褒め言葉よのう。


 「さて、そろそろ朝飯かな」


 そう言って俺は妹がいるであろう食卓へと向かった。




※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




 「お兄ちゃーーん、早く行こうよーーーー!」


 「わかったわかった、今行くよ」


 朝飯を食べ終わった後、予定より少し早いが俺たちは遊びに行くことにした。

 どうやら妹も遊びに行くことを楽しみにしていてくれたらしい。

 お兄ちゃん感激っ!


 「それでお兄ちゃん、どこに行こうか?」


 「ううん、そうだなあ⋯⋯そうだ、カラオケなんてどうだ?」


 「あっ、いいねそれ。そうしよー!」


 そう言って俺たちはカラオケへと向かって歩き出した。


 「それにしてもまさかお兄ちゃんがカラオケって言いだすとは思わなかったなぁ」


 「どー言う意味だよ、それ⋯⋯」


 ――――歩くこと十五分、俺たちはカラオケについた。


 「お部屋は二階の26号室です。ごゆっくりどうぞ」


 「はい、ありがとうございます」


 会計を済ませて俺たちは案内された部屋へと向かった。


 「へへへー、おごってくれてありがとう、お兄ちゃんっ」


 「ああ、これぐらいいいよ」


 カラオケの代金は俺がまとめて払った。

 お兄ちゃんですからねっ!


 「さあー、今日は歌うぞ!」


 「おー!」


 兄妹の、兄妹による、兄妹のためのカラオケ大会が幕を開ける。


 「先に歌っていいぞー」


 「うん、何歌おうかなー。⋯⋯これにしよっと」


 そう言って入れたのは最近流行りの曲だった。


 「さて、お手並み拝見と行きましょうか」


 「ふっふっふっ、望むところです」


 やっぱりカラオケってテンション上がるよね!


 ――――心が歌い終わった。


 「ふー、疲れたー」


 「お、おう、お疲れさん」


 まああれだ、一言で言ったらだな、上手すぎるだろっ‼


 なんだあの透き通るような声は、採点の音程バーを外したのなんて片手で数え切れるほどだった。

 歌詞の意味を考えて歌っていたのか、ノリのいい曲だったからなのか、すごく楽しそうにしていた。

 そして何より、なんとかわいらしい表情!

 もう俺の語彙力(ごいりょく)じゃそれ以外に言葉が出てこない。

 あの素晴らしさを読者に伝えることができないとは、作者の無能さを感じるぞ全く。


 ⋯⋯朝もそうだったが読者とか作者ってなんだ?


 そんなことを考えてたら、点数が表示されていた。

 その点数は、


 「きゅ、97点だとっ!」


 「やったやったー!」


 まさかここまでとは、なんで俺の妹はこんなにも完璧なのだろう。


 「じゃあ次はお兄ちゃんの番だよ」


 「あ、ああ、まかせんしゃい!」


 果たして俺にあの点数を超えることができるのだろうか、いや無理だな、絶対無理だな。


 (ならもう開き直って好きな曲を歌うだけだ!)


 「よし、これだっ!」


 そう言って俺が入れたのは、有名ロックバンドの曲だ。


 「お兄ちゃん、これって相当難しい曲だよ」


 「いいんだよ心。俺は点数なんて気にしない。ただ歌いたい歌を歌うだけだ!」


 「おっ、お兄ちゃん⋯⋯っ!」


 ふっ、決まったぜ。

 俺が心とカラオケに行ったら言いたかった言葉だ。

 ちょっとはかっこよく見えたかな?


 「がんばって、お兄ちゃん!」


 「おう、まかせろ」


 心からの声援があれば俺は神にだってなれる‼


 ――――そう思っていた時期が僕にもありました。


 「きっ、キッツ⋯⋯」


 「お疲れー、お兄ちゃん」


 いやー、なんで人間にあんな高音が出せるんだろうと俺はいつも思う。

 だからと言って俺はキーを下げたりはしない。

 まあそのせいで一曲でこの疲労感なのだが。


 「よし、どんどん歌おうじゃないか」


 「うんっ!」


 そうして俺たちは全力で歌いだした。


 ――――俺の点数は察してねっ!




※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




 ――――――それから三時間ほどして俺たちはカラオケを後にした。


 「いやー、楽しかったね、お兄ちゃん」


 「ああ、カラオケなんて久々だったしな」


 ちなみに俺たちは今、某有名イタリアン料理レストランで昼飯を食べている。


 「この後何かしたいことあるか?」


 「うーーん、⋯⋯そうだ、私服が見たい」


 「服か、ならデパートにでも行くか」


 この後の予定を決めた俺たちはそれぞれ注文したものを食べ、デパートへと向かった。



※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 「――――と、言うわけでやってきました。デパートですっ!」


 「いえーーい!」


 急な俺の謎なテンションにもノッてくれる妹ってどう思いますか皆さん。

 最高でしょう?最高ですよねっ‼

 ああ、もう心さえいれば俺には何もいらない。


 「何ぼーっとしてるのお兄ちゃん?早く行こーよ」


 「ああ、すまない。じゃあ行こうか」


 いざ、洋服屋さんへっ!


 ⋯⋯最近俺のキャラ変じゃないか?


 「この服かわいいなー、あっ、こっちの服もいいなー」


 心はどうやら服に夢中なようだ。

 俺は服についてはよくわからないので、心に着いて見ているだけだった。


 「ねーねー、お兄ちゃん。この服どうかな?」


 「待て待て、お兄ちゃん服のことなんてわからないぞ」


 「ならちょっと待ってて。試着してみる。」


 そう言って妹は試着室に入っていった。


 ――そして、


 「どうかな、お兄ちゃん?」


 なんということでしょう。

 ただでさえかわいい妹が、さらにかわいくなったじゃありませんか。

 服のことがよくわからないから説明ができないけど、とにかくかわいいのだ。


 「お、おう、よく似合っているぞ」


 「本当?ならこれ買ってくるね」


 そう言って心はレジへと向かった。


 「おまたせ、お兄ちゃん」


 「ああ、それじゃあ次はどーする?」


 「うーーん、それじゃあさ、ゲームセンター行かない?」


 「ゲーセンか?別にいいぞ」


 ということでこのデパートの四階にあるゲームセンターへと向かった。


 「それで、何かやりたいゲームでもあるのか?」


 「ゲームじゃなくてさ、プリクラ撮ろうよ」


 「ぷっ、プリクラ?」


 プリクラ、プリント倶楽部の略。


 基本的に男子禁止のイメージがあり、男はそこに入ることを許されていない地だと思っていたのだが、どうやら男でも入れるらしい。


 「でっ、でもなあ、あそこに行くの恥ずかしいというかなんというか⋯⋯」


 「お兄ちゃんと今日遊んだんだっていう思い出がほしいの。ダメ、かな?」


 ――――――妹のおねだり来たああああああああああああああああああああああああああ!


 心が俺に何かお願いをするときは上目遣いで首をこてっとするのだ。

 かわいい、かわいすぎる!

 もう俺は心のかわいさに一生服従してしまうのではないのだろうか。


 ――――それはそれであり!


 「まあそこまで言うのなら撮ってやるよ」


 「やった!ありがとうお兄ちゃん!」


 プリクラを撮るだけでこんなに嬉しそうな心を見れるのなら、何万枚でも撮ってやるぜ!




※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




 プリクラを撮ってからいろいろなゲームで遊び、そして今は家へと帰宅中である。


 「あー、楽しかった――」


 「そうだな、久々にはしゃいだよ。夜飯もどこかで食べてくか?」


 「ううん、家に帰って私が作るよ」


 「そうか?別に今日くらいいいんだぞ」


 「ダメだよ、お兄ちゃん。デートの最後はやっぱり手料理じゃないと」


 「――――デート?」


 「あっ⋯⋯!」


 やばいぞ、全く理解ができていない。

 そりゃ俺はもちろんデートだってはしゃいでたけど、まさか心もそうだったのか?


 「べべべ、別にデートだとかそんなこと思ってたわけじゃないんだからねっ!勘違いしないでよねっ‼」


 「そ、そうか⋯⋯」


 いったいどっちなんだ?


 「ま、まあとにかく帰って夜ご飯にしよ、お兄ちゃん」


 「ああ、そうだな」


 こうして俺たちのデートは幕を閉じた。


 ――――――――やっぱり妹は最高だぜっ!

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