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第四話 「これでキャラは全員かな」

 四月某日、今日は土曜日だ。


 「おはよー、お兄ちゃん」


 「おう、おはよう、心」


 今日は朝からギクシャクすることもなく、平和な一日になりそうだ。



※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 ――――そして俺たちが妹の作った昼飯を食べている時だった。


 「ねえねえ、お兄ちゃん」


 「ん?どうした?」


 「今日家にさ、友達呼んでもいいかな?」


 「友達?まあ別にいいけど⋯⋯まっ、まさか、男じゃないだろうな!?」


 「ちっ、違うよ!普通に女の子の友達だよ」


 「そっ、そうか⋯⋯」


 これでもし来るのが男だったら、俺は間違いなくその男の身ぐるみを剥がせて外に放り出すことになっていただろう。


 それはやりすぎだと思ったあなた、考えてみてください。


 妹ですよ、心ですよ!


 あんなにかわいい妹がいて心配しないお兄ちゃんがいるだろうか、いや、いない!

 変な男につかまってないだろうかとか、心に本当にふさわしい相手なのかとか、いろいろ考えるでしょう‼


 できれば彼氏なんてできてほしくないが、それは不可能だろう。


 だって心だよ、かわいいかわいい心だよ!


 あんなにかわいい子ならクラス中、いや、学校中の男子が狙っているだろう。

 だからこそ、いつか心が彼氏を連れてくる日がやってきてもおかしくないだろう。


 ⋯⋯⋯⋯心に彼氏ができたら、俺はどうすればいいんだ。


 「お⋯⋯ちゃん、お兄ちゃん!」


 「っ!す、すまない。お兄ちゃんちょっと考えたくないことを考えていたよ」


 「大丈夫?お兄ちゃん最近なんだかぼーっとしてること多いよ。ちゃんと寝てる?」


 「ああ、俺は大丈夫だよ。心配させて悪いな、心」


 「小説書くのもいいけど、体は壊さないでね」


 「ああ、わかったよ」


 妹が優しすぎてお兄ちゃんもう泣きそうです!


 やっぱりこんなかわいくて優しい妹は誰にもやれないな⋯⋯。


 もし男を連れてきたらそいつは問答無用で追い出そうそうしよう。


 「まあ俺は自分の部屋で小説書いてるから何かあったら呼んでくれ」


 「うん。ありがとう、お兄ちゃん」


 それからしばらくして、俺たちは昼飯を食べ終えた。


 「「ごちそーーさまでした」」




※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




 ――――――ピンポーン


 呼び鈴の音が鳴り、俺は小説の世界から現実の世界へと戻ってきた。


 (どうやら友達が来たみたいだな)



 ――――それからしばらくすると、妹が俺の部屋へやってきた。


 「お兄ちゃん、ちょっといい?」


 「ああ、いいぞ。どうかしたか?」


 「あのね、友達がお兄ちゃんに会ってみたいって言いだしてね⋯⋯」


 「俺にか?まあ別に構わないけど、どうして俺に?」


 「さっきお兄ちゃんお話をしてたら、会ってみたくなっちゃったんだって」


 「そうなのか、⋯⋯⋯⋯なんで俺の話なんかしてたんだ?」


 「そっ、それは、その⋯⋯⋯⋯は、話の流れでそうなっちゃっただけなんだからね!べっ、別にお兄ちゃんのことが好きだからとか、そんなんじゃないんだからねっ‼」


 「おっ、おう、そうか⋯⋯」


 「そっ、それじゃあお兄ちゃん、ちょっと待っててね。すぐ連れてくるから」


 そう言って妹は俺の部屋から出て行った。


 ――――――ちょっとだけ部屋の整理でもしておくか。


 コンコンッ、とドアをノックする音がした。


 「ど、どうぞー」


 そういうと俺の部屋の扉は開かれた。


 まず初めに妹が入ってきた。

 そして、妹についてくるようにして妹の友達が入ってきた。


 「紹介するね、お兄ちゃん。この子が私の友達でクラスメートの渡辺空宙乃(わたなべそぷらの)ちゃん。空宙乃ちゃん、この人が私の兄の上屋真だよ」


 「初めましてお兄さん!心ちゃんの親友の渡辺空宙乃でーす‼」


 (人形みたいな子だな⋯⋯)


 一瞬だが俺は、この子に目を奪われてしまった。

 栗色のロングヘア―に青色の瞳、整った顔立ち。

 すらっとした長い脚に加えて、服の上からでもわかるほどの豊満なバスト。

 ちょっとしたモデルのような子だった。


 (妹以外の女の子に目を奪われるとは⋯⋯)


 仕方ないじゃない、だって男の子なんだもんっ


 「――――――お兄ちゃん?どうしたの?」


 「あっ、ああ、何でもない。初めまして、心の兄の真です。心と仲良くしてくれてありがとう。これからもよろしく頼むよ」


 「はい、任されましたです!」


 「それじゃあお兄ちゃん、邪魔してごめんね」


 「いや、大丈夫だよ。またなんかあったら言ってくれ」


 「うん、わかった。それじゃあ戻ろうか、空宙乃ちゃん」


 「うん、それじゃあお兄さん、お邪魔しました!」


 「ああ、ゆっくりしていけよ」


 そうして妹と空宙乃ちゃんは妹の部屋へと戻っていった。


 ――――さあ、小説の続きを書くか。




※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




 ――――夕方、空宙乃ちゃんが帰る時間になった。


 俺と妹は空宙乃ちゃんを見送るために外へと出ていた。


 「お邪魔しました~」

 

 「またいつでもおいで」


 「はい!ありがとうございます」


 「空宙乃ちゃん、またねーー」


 「うん、バイバイ!心ちゃん」


 そうして空宙乃ちゃんは帰っていた。

 空宙乃ちゃんが見えなくなると、俺たちは家の中へと戻った。


 「それじゃあお兄ちゃん、夜ご飯作るね」


 「ああ、よろしく頼むな」


 「うん!」


 そう言って妹はキッチンへと向かっていった。


 (それじゃあ夜飯までもうひと頑張りしますか)


 俺は小説の続きを書くために自分の部屋へと向かった。



※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 「「いただきまーーす」」


 俺たちは妹の作った夜飯を食べ始めた。

 今日のメニューは妹特製のチャーハンだった。


 「おっ、今日のチャーハンもうまいな」


 「ありがとう、お兄ちゃん」


 ――――しばらく食べ進めていたら、妹が話しかけてきた。


 「ねえ、お兄ちゃん」


 「どーかしたか?」


 「空宙乃ちゃんのこと、どう思った?」


 「うーーん、そうだなあ⋯⋯。かわいくて元気のある子だったな」


 「へーーーーーーーーーー、かわいかったんだあ」


 「えっと、どうかいたしましたか、心さん?」


 「べつに~、どうもしませんよ~~」


 いや絶対なんかあるよねこの反応は!


 明らかに機嫌悪くなったし、口調もなんだか変だし、目も合わせてくれないし。


 ⋯⋯⋯⋯俺何かやってしまったか?


 「えっと、その、心さん。俺が悪かったのなら謝りますので機嫌を直してもらえないでしょうか?」


 「⋯⋯お兄ちゃんは別に悪くないよ」


 俺は悪くないのか?

 なら何でこんなにも心は機嫌が悪くなったのだろうか。


 ⋯⋯駄目だ、全く思いつかない。


 「本当にどうしたんだ、心?」


 「⋯⋯別に、どうもしないよ」


 「そんなことないだろ、何かあったのか?」


 「⋯⋯⋯⋯お兄ちゃんが、⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


 お兄ちゃんが?

 ていうことはやっぱり俺が何かしたのか――。


 「かわいいって、いったから⋯⋯」


 「――――――――――――へっ?」


 「だっ、だから、⋯⋯⋯⋯お兄ちゃんが空宙乃ちゃんのことをかわいいって言ったからなの!」


 「えっ、えっと、それはつまり、どういうことでしょうか?」


 「そっ、それはその⋯⋯とっ、とにかく、嫌だったの!でもこれは私が勝手に思ったことだから。だからお兄ちゃんは悪くないの‼」


 「そ、そうなのか?」


 「そうなの‼だからこの話はもうおしまい!」


 「おっ、おう」


 妹の有無を言わせないというオーラにやられて俺たちは再び夜飯を食べ始めた。


 ⋯⋯⋯⋯結局何だったんだ?


 ――――――しばらくして俺たちは夜飯を食べ終えた。


 「「ごちそーーさまでした」」


 「それじゃあ食器洗っておくよ」


 「待って!」


 食器を洗おうとしていた俺を妹が止めた。


 「どうした?」


 「さっきさ、私またお兄ちゃんが悪くないのに怒っちゃったじゃん。だからさ、お詫びに食器洗いは私がするよ」


 「いいよ、そんなの」


 「私が良くないの、だからお願い、⋯⋯やらせて?」


 「っ!あ、ああ、わかった。なら頼んだ。なら俺は先に風呂に入ってるよ」


 そう言って俺はそそくさと食卓から出て行った。


 (あ、危なかった⋯⋯)


 何が危なかったかって?

 そんなのあの妹を見たからに決まっているだろう!

 なんだあれ、なんなんだあれは!

 上目遣いで見つめる瞳に不安そうな表情のマッチ、そして最後の一言⋯⋯。

 あんなことされたら俺はもう部屋から逃げるしかないだろ!

 あれ以上一緒にいたら俺はいったいどうなっていたのか⋯⋯。


 (これだから妹はかわいすぎて時々怖いんだよな)


 一度俺は心を落ち着かせるために風呂へと向かった。



※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 「ふうー、さっぱりしたぜ」


 風呂から上がり俺は自分の部屋へと向かった。

 今日は疲れがたまっているのですぐに寝る予定だ。


 「ちょっと待って、お兄ちゃん」


 部屋に入ろうとした俺を、心は呼び止めた。


 「どうした?」


 「あ、あのさお兄ちゃん。今日は、ううん、今日も怒っちゃってごめんね。お兄ちゃんは悪くないのに」


 「いや、俺は気にしてないよ。だから気にするなよ」


 「ううん、気にするよ⋯⋯。だっ、だからさ、明日お詫びに遊びに行かない?」


 「――――――――えっ?」


 「いっ、嫌なら別にいいんだよ。ごめんね、変なこと言っちゃって。そ、それじゃあお休み⋯⋯」


 「⋯⋯⋯⋯何時に行くんだ?」


 「えっ?お昼くらいからかな?」


 「わかった。楽しみにしてるよ」


 「っ!――――――うん、じゃあ明日。約束だよ、お兄ちゃん!」


 「ああ、だから今日はもう寝ようか」


 「うん。それじゃあお休み、お兄ちゃん」


 「ああ、お休み、心」


 そう言って妹は戻っていった。


 (俺も部屋に戻るか)



 そして俺は今、ベッドの上で絶賛悶え中である。


 ――――――――だって明日は妹と遊びに行くんだぜ!


 ああ、楽しみすぎる。

 明日はどこに行って何をするんだろうか、そんなことを考えるだけで俺はもう幸せである


 「ああ、早く明日が来ないかなあ」


 そんなことを思いながらなんとか眠りについた俺であった。


 ――――――――まあ、興奮しすぎて夜中に何回も起きちゃったけどねっ

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