プロローグ 「今日からよろしくお願いします」
小学五年生のある日、俺はお父さんから再婚することを聞いた。
さらにその再婚相手も再婚であり、自分よりも二歳年下の女の子がいるという。
俺は小さいころから妹がほしいと思っていた。
そしてついにその夢がかなうんだ!という期待と、これからどうなるのだろうという不安が入り混じりながら、相手が来るのを待っていた。
――ピンポーン、と呼び鈴がなった。
ついに再婚相手がやってきたのだ。
そう思った瞬間、俺は緊張がさらに増し、玄関の扉の前で動けなくなってしまった。
すると、お父さんが扉を開けた。
その先には、初めて見る再婚相手、そして⋯⋯⋯⋯夢にまで見た、妹の姿があった。
(なんてかわいい子なんだ⋯)
俺はその子の姿に目を奪われた。
美しい銀色のロングヘア―に、大きくぱっちりとした瞳、頬を赤く染め恥ずかしそうにしている表情。
おそらく俺はこの時、人生で最初の、そして最後の一目惚れをしたんだと思う。
ぼーっとしていた俺にお父さんは挨拶を促した。
なんとか現実に戻った俺は、「は、初めまして、上屋真です。今日から君の兄となります。よろしくお願いします」と、小学生ながらにしては丁寧な口調で挨拶をした。
そして妹になる子も挨拶をしてくれた。
「初めまして、か、上屋心です。今日からお願いします。⋯⋯お兄ちゃん?」
――この瞬間、俺は実感した。
⋯⋯自分が重度の、シスコンになってしまったことに。
この物語はそんな兄妹のそれからの物語である。
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