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旧作・駄作・ほぼ没

覚え書き・思考するということについて

作者: 住友

21世紀科学文明真っ只中の現代において

この世界は未だ多くの謎に満ちています。

生命、精神、感情、時間、歴史、

存在、自分と他者、

複雑で矛盾に満ち、

簡単には理解できないものばかりです。

簡単に理解できると考えること

自体がすでに偏向であり

歪曲であり誤解であり欺瞞なのです。

しかし世の多くの人々は

考えるのが嫌いで、

勉強するのが嫌いで、

欲望追求や虚栄心を満たすのに忙しいので、

ただちに利益や成果が欲しいので、

できるだけ世の中の物事を

簡単に理解したがります。

また、簡単な説明を求めています。


半可通(ニワカ)は全知を

圧倒する。」(ニーチェ

『人間的な、あまりに人間的な』)


それは

「実際よりも物事を単純に理解し、

単純で分かりやすい説得力のある意見を形成する」

からです。

ある分野において多くを知っている

(全知というのは流石に比喩だとして)人間は

他者にどのようにその多くの知識を伝えるか

という壁にぶつかるのですが、

いくつか知っているだけの人は

その少しだけの知識を披露して

人々の称賛や支持を集めます。

少しだけでも全く無知な人々からすれば

ありがたい、あるいは物珍しい情報です。

それも少しの、短い話なので

伝わりやすく覚えやすい。

話し手の印象はすこぶるいい。

その一方で

多くを知っている人は

その知識についてまわる

たくさんの注釈や関連事項、

例外、矛盾や欠点を知っているが故に

かえってがんじがらめに囚われ

安易に口にすることができないでいるのです。



ニーチェはさらにこう言います。

同じ経験や同じ感情・思考・認識を

互いが使っている言葉で

表すということ、

相互に誤解しないということが

人間関係を結ぶ

第一条件であるならば、

最も人間関係を有利に築けるのは、

また最も有利に集団になれるのは、

凡庸卑賤な体験や

究極的にはどうでもいい

取るに足らないおしゃべりを

素早く躊躇もなく苦労もなく

容易に報告し合える人間たちである、と。

(『善悪の悲願』参照。)


多数派とは、

権力者とは、

ビジネスの成功者とは、

つまりリア充とは、

余計なことは考えず

無駄な勉強はせず

欲望追求や虚栄心に

疑いを持たず

ただちに利益や成果を出せる人間のことです。


そりゃそうです、そりゃそうに

決まっているのです、

いちいち「存在とは何か」を

考えていたらビジネスなんてできませんし

「人間とは何か」の答えを

出してから友達付き合いや

結婚をするなどと言っていたら

一生独り身のままでしょう。

「人間とは何か」を問うまではいかずとも

「貴方のことを全部知ってから」

判断する人と

「30過ぎる前に結婚したい」

と言う人だったら

断然後者の方が積極的な分だけ

結婚できる可能性は高いでしょう。


そうやって

要領よく要点を押さえて

法則性を見いだして

単純化して合理化して

何もかも全部知ったつもりで

どんどん行動していくのが

現代人であり

現代社会でありますが、

その行動力には落とし穴がある。


それは、世の中のものを

単純に解釈したからといって

本当に世の中のものが

簡単になる訳ではない

という落とし穴です。

そして

その落とし穴の存在に

気づくのは

――あらかじめ気づいている人間と

自分の身に何か起きてから

観察し始めてようやく気づく

人間を合わせても――

いつもごく少数の人間だけなのです。

考える人間であれば

考える人間であるほど少数派であるが故に

発言力が低いのです。


そういう発言力の低さを克服するために

物語を作るという知恵が

編み出されたのだと思います。

物語とは明らかに少数者の、

その中でも並外れて優れた

人間たちの思考の『翻訳』である……



毎日投稿とは言ったものの

時間が全部潰れてしまう!

なのでこれからはもう少し短くする。

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