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9月8日

誰もが避けては通れない死。愛する妻も、子供も、そして自分自身もやがて死ぬ。いつ死ぬかどうやって死ぬか、それは誰にもわからないはずだった。

2017年7月27日。僕は全てを知った。

____________________________________________________


2012年9月8日。

「おはよーー!!朝だよぉ!おきておきて!!」

一人暮らしの寂しさを少しでも紛らわせようと買った大人気キャラクター"ナールちゃん"の目覚まし時計が響く。いつも通りの朝の始まりだ

シャワーを浴び、淡々とスーツに着替え、タイマーで炊いておいた米とインスタントの味噌汁を飲み、最後に健康の為に青汁をグイっと!! 毎日かかさず飲んでいる自分をほめてあげたい。


2年前に大学を卒業してすぐに名古屋から上京し、軽い気持ちで受けた大手ゲームメーカーから内定をもらいそのまま就職!!

一年目に考案したキャラクター"ナールちゃん"がゲーム中のお助けキャラ、案内役として採用され世間で爆発的人気に!!



考案したと言ったが、営業部所属の俺は普段キャラクター作りなど一切しない。

その時は新作ゲームのキャラクター選考に行き詰っていたらしく社全体に応募箱が設置されており、これまた軽い気持ちで投稿した物が採用された。


昔からこういう事が多い我ながら天才なのでは?と思うこともしばしば。いつももっと本気で勉強しておけばよかったと最近思うようになった。


けれど今の生活に満足していないわけではない。

"ナールちゃん"のおかげで社の評価はすごい上がったし、臨時ボーナスも貰えた。特別出世したわけではないが、昇給もしたし今年からは教育係にもなった。

そんな充実した日々。全てを知るまでは。

___________________________________________________

「おはようございます五十嵐さん」30分前に出勤した俺に挨拶をしてきたのは部下の小宮。


真面目でしっかりしてて物覚えも良いのだが酒を飲むと人が変わる。


「おはよー早いね、早速だけど今日の営業先とルート確認しよっか。その後は時間まで好きにしてていいから。」と指示する。


俺が就職する前に営業先を間違い、アポ無しで訪問して叱られた輩がいたらしくそれ以降営業先とルートは

必ず二人でチェックするのが会社のルールになっていた。


〜15分後〜


「おはよーらっしー」ラッシーは俺のニックネーム。ニックネームと言ってもこう呼んでくるのは同僚のこいつ木村だけだが。


木村とは大学で知り合った。

もう六年来の仲だが最初は木村が苦手だった。

俺も大人しいタイプではないがそれを超えてすげー馴れ馴れしいというか、何でもかんでも俺に報告してくる奴だ。

最初は男が好きな男かと勘違いした。

そんなやつだが、毎日出社は決まって始業15分前。

真面目なやつだと思うが口を開けばそんな考えはどこかに吹き飛ぶ。


その後も続々と社員が出社し、朝礼の時間に。

課長が口を開く。

『おはようございます。』

課長を評価するのであればちょっと抜けてる凡人だ。

何事もそつなくこなすがどこか抜けている。しかし、課長だ。


『えー本日は中途採用で新しく営業部に配属になる方がいますので紹介します。東條さーん入って』


急だなおい。


『本日よりお世話になります東條ゆみと言います。お願い致します。』


!!!!!

顔を見た瞬間体中が痺れた、言葉の通り本当に痺れたんだ。

『前職はーーーーーーー』

何か言っているが聞こえないというより聞きたくない今は全神経を目に集中させたい。

『な、なんて美しい方なんだ。。』

ボソッと声に出してしまい、やばいと思った俺はとっさに隣の木村を見るが木村は真っ直ぐ彼女を見ていてばれていなかった。

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