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短編集

彼女が考えたことは

作者: 山藍摺

 打ちては寄せる荒れた波、荒れ狂う風が押し寄せる断崖絶壁。これから身を投げるために、私はここに一人たたずんでいる。

 私は、愛した人に愛されなかくてもよかった。ただ側にいたかっただけ。

 私は、先日婚約者に嫁いだばかりだった。親同士が決めた政略的な婚約、しかし私は幸せだった。恋した人と結ばれるのだから、たとえそこに相手からの気持ちが存在しなくても。

 でも、あの人には妾がいた。妾は私がいるのは許さなかった。

 嫉妬に狂った妾は、あることないこと噂し、私を追い詰めた。結果、私はあの人に対して姦通の罪があると、罪人にされた。無実だと訴えた。誰も、信じてはくれなかった。

 嫁いでから亡くなった両親のいない家からは見放され、あの人の側にいることも叶わない。

 だから、さようなら、愛しい人。

 そして私は飛び降りた。




――四の月、五日。王都から離れた離宮の外れの湖の浜辺で、王妃の遺体があがった。湖とはいえ一部は険しい崖がちらほらあり、王妃はそのうちのひとつから飛び降りたようだ。離宮からは王妃の遺書が見つかり、自分は姦通などしていなかった、自分の心はいまでも王にだけ捧げている、此度は側妃の仕業であり、そのような心根の曲がったものを王のお側に置かないよう、そしてその証拠が書かれていた。

 王は悲しみ、ようやく自分がしてしまった取り返しのつかないことに悔やみ、側妃を罰し、王弟に位を譲り表舞台から消えたと言う。

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