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トーコさんの騒霊な日々  作者: 氷桜
トーコさんの騒霊な日々
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トーコさん天太と出逢う①

R-15表現どうしようか?悩んだ末に↓↓↓こうします。


※盗撮は犯罪です、決して真似をしないでください。


良い子のみんなは、やっちゃダメだよ。


「死んだって!?」

 ゲームで知り合った刑事さんが亡くなったことを、俺はTVのニュースで知った。


 現役の警察官が捜査中に亡くなったことで、ニュースでは事件との関連性や、警察の捜査体制に不備があったのでは? などと被害にあった刑事を当初同情しているかのように報道していたメディアは、この刑事が最近欝気味で幻覚を訴えていたなどとスクープが流れた瞬間に手の平を返し、やがて面白可笑しく無責任な噂が一人歩きしだすようになった。


「そちらは柏木天太(かしわぎ・てんた)さんでしょうか? 警察の者ですが」

 その件で、警察から俺の携帯に電話があった時は驚いた。


 考えてみればあの刑事さんに携帯番号を教えてたからなぁ。

 面倒だな、と思いながら俺はその電話を掛けて来た女性警官に応じた。

 そして、逢って話をしたいと言うので指定した日時にその婦警さんと待ち合わせた。




 俺は《Unreal Ghost Online》略してUGOを起動するためにサングラスを掛け、俺の守護霊である《アリアンロッド》を呼び出す。

 アリアンロッドは銀色の楔帷子を身に付けた銀髪の勇ましくも美しい女性の姿をしている。


 この場所は周囲の人通りは多いが、明らかにこの場の雰囲気にそぐわない外国人で騎士の格好をしてる《アリアンロッド》に対し、通行人は誰一人として反応しない。

 なぜなら、俺以外の人間には守護霊アリアンロッドが見えないからだ。

 《Unreal Ghost Online》の《虚霊》はヒトの目には映らない。


 俺は人間サイズの《アリアンロッド》を、ドール・サイズへと小さくする。

 現実のヒトでは在り得ない現象。

 《守護霊》が《虚霊》の一種だからこそ出来る芸当の一つだ。


 サングラスに《アリアンロッド》視点でのサブウィンドウを表示して準備完了っと。

 このサブウィンドウには、俺の守護霊である《アリアンロッド》をカメラ代わりにして、彼女の視線で見たまんまのリアルタイムな景色を映し出すことが出来るんだ。


 今は俺の隣に《アリアンロッド》を立たせているから、俺が見ている物とサブウィンドウの景色に差はほとんど無い。けれど、その気になれば《アリアンロッド》を数百メートル離れた場所へ派遣出来るし、目標物を指定して『フォロー』などの追従命令が出来るので、使い方によっては物凄く便利な機能となる。


 それに、堂々とカメラを向けて映しているのに、そのカメラは誰にも見えない。

 男の子なら、それ聞いただけでワクワクしねぇ?

 男なら、誰だってやることは決まってるだろ!?




 《Unreal Ghost Online》とは謎の運営団体が提供している謎のオンラインゲームだ。

 このゲームのプレイヤーは、このサングラスを通して表示されるゴースト……UGOでは《霊》もしくは《虚霊》と呼ばれる存在と《守護霊》と呼ばれる自分が操るゴーストとを戦わせて遊ぶ、RPGにカテゴライズされるゲームだ。

 守護霊を戦わせて、場合によっては新しいゴーストを仲間にして育てて戦う。


 サングラスには高精細に表示される拡張現実、AR(Augmented Reality)と呼ばれている高度なバーチャル表示機能を備えているし、サングラスの耳に掛けるツルの部分には携帯電話のような小さいスピーカーも内臓されているらしく、装着者にだけはゴーストからの声もリアルな感じで聞こえる。


 ちなみに俺は、このサングラスの動作原理を全く判っちゃ居ない。

 俺は、このサングラスを買ってから一度も充電を行っていないし、そもそも充電器すら無いのに何も問題なく今も動作している。

 謎の運営団体と同様、このサングラスも謎だらけだ。


 両目で普通に見える3DのAR表示というのが、そもそも技術的に怪しい。

 ある距離の物を両目で見ると、手前の物は2つに見える現象を生理的複視というのだそうだ。

 遠くの景色を見ながら目の前に右の人差し指を立てると、一本の指が二本に見える。


 本来なら、サングラスに表示された画像は目の前にあるから、遠くのものを見るとサングラスの画像は2重に見えてとても見苦しくなるハズなのである。

 なのに、このUGOのサングラスにAR表示されている画像は生理的複視が起きない。

 どの距離感で見ても、サングラスに映される画像が2重に見えることがないのだ。

 そのため、3D酔いもしない。


 もっとも、技術的にはそれを防ぐ単眼AR表示というものも世の中には存在している。

 べジータが片目でスカウターを見るような代物で、片目で見るというのがミソだ。

 その代わりに、効き目でAR表示を見なければ非常に見辛いという副作用が付く。


 インターネットで調べてみても、こいつと同程度の拡張現実表示はまだ夢の技術だ。

 せいぜい自動車の運転座席にヘッドアップディスプレイと呼ばれる物で、道路の分岐にあわせて矢印表示をしたり、マークと呼ばれる物にカメラ付きスマホを向けると、個々のマークを識別してモニター画面にコンパニオンがAR表示され、商品説明してくれたりする程度なのだ。


 このUGOサングラスの様に現実の町並みを両目の肉眼で見ながら、さらに守護霊視点の映像をリアルタイムではっきりと重ねて、仮に背景の景色が重なってウィンドウが見えずらい時には表示位置や色合いをAIが自動認識して変更表示する賢い機能を実現したAR表示など存在しない。


 守護霊の操作方法も俺の視界内で手を前後左右上下などに動かすことで、守護霊の動く方向を自由に、俺の意思で操作することも出来る優れものなのだ。

 物体認識とか、移動体認識って言うの?これ。




 思い返せば、亡くなったというあの刑事さんともこのゲームを通して知り合った。


 俺にしか見えないこの守護霊アリアンロッドを使って、道行く女性のスカートの中を片っ端から……ゴホゴホ。もとい、男のロマンを探し続けていた時、その現場を俺と同じくUGOのサングラスを掛けた刑事さんに見つかって、現行犯タイーホされちまったんだ。

 誰にも見えないと油断してたら、同じUGOプレイヤーからは丸見えだったというわけ。


「ちょっ、刑事さんこの世に存在しない守護霊を使った犯罪なんて立証出来るの!?」

 とっつかまってタイーホされちまった俺はアセッてそう尋ねた、そしたら、


「おぅ? そうだなー。とりあえず、お前の学校に名指しで盗撮犯の疑い在り、とかで尋ねても良いんだぜ? 俺ってば粗忽者だからよ? うっかり未成年者への気遣いとか、どっかに置き忘れちまったりしてな」

「ごめんなさい、勘弁してください。アニキ」


「オメーよー。盗撮とかガキっぽいことすんな!!いーな? んなのバレたら女の子に嫌われちまうゾー?」

「ハイ!これからは心を入れ替えさせて誠心誠意! 誠の心で生活させて頂きマス!」

「ああ、そうしろ」

 刑事さんは、ちっとも俺を信じてない顔でそう言ったっけ。

 きっと説教したかったダケなのだろう。


「でもさ刑事さん。真面目な話すっけど、UGO使って『あ、この娘の秘密知りてー』とか考えたこと無かった?」

「あ゛!? オメー反省してねーダロ?」


「うわ、さては刑事さんの周りに魅力的な女性居ねーんだ!?」

「アホか。 ……居るさ。最上級の女なら」


「おおっ!?ィィネ、イイネ! それなら。男だったら撮って撮って撮りまくって、一枚でも多くのお宝をゲットするモンなんじゃないんですか!? 沖田艦長!!」

「どこの古代マモルだよ。そんなに撮りたきゃイスカンダル行って自分の恋人に頼め。それに、ホントに惚れてたら盗撮なんてマネは、出来ねーんだぁよっ」


「まぁまぁアニキ! ここはアニキの見果てぬ願望を俺が叶えるって事で、一つ見逃しちゃくれませんかねー?」

「あ゛!? 誰に物言ってんだ?コゾウ。証拠がネーってだけで、俺に現行犯を見逃して、さらに犯罪行為の教唆をシロってか?」


 刑事さんの上向きの手の平に打ち合わせ、そして手の平を逆にしてタッチ、さらにハイタッチを交わす俺と刑事さん。


「そうですよね!!盗撮は犯罪ッスよ。もちろん、そんなワケないじゃないですか」

「ああ、盗撮は犯罪だ。もう二度とするな!! んで男の約束忘れんじゃねーゾ!!」


「「WAHAHAHAHA……」」




 ノリが良い刑事さんだった。惜しい人を亡くしたモンだ。

 きっとあの約束はただの冗談だったのだろう。この東京で偶然出会う確立はほぼ無いから。

 そんな風に故人を偲んでいたのが悪かったらしい。無意識に踏み切り待ちしてた俺は、話しかけられた声に対して、何の気なしに答えてしまっていた。


「コンチワ。なんだか楽しそうだねぇ、あんちゃん」

「ああ、コンチワー、ちょっとね……」

 俺に話掛けて来たのは声からすると老人だった。俺は見向きもせず軽く答えた。


「そうかい、良いねぇ若いってことは」

 そうして、その老人の声は、どんどん口調が重くなり、声のトーンが低くなる……




『ワシもね、かつてはそんな風に毎日楽シカッタ気ガスルヨ』

 カン・カン・カン・カン……

 やけに五月蝿く踏み切りの音が辺りに響いている。


『ナア、アンチャン、ワシ、マイニチガタイクツデ……キガクルイソウナンダワ』

 慌てて振り向いた俺のサングラスに映るのは……


 千切れかかって首の皮一枚で繋がり、半ばぶら下がった首と、頭部の穴と言う穴から真っ黒い血を流し、目は洞のような黒い空洞。片腕片足が無い血だらけの姿で線路脇に立ち、俺に向かって残されたもう一方の手を伸ばす老人だった。

『アンチャン、あの世デ退屈ヲ紛らわしてクデヨォ……ォォオオオオ』

 この世ならぬなんとも言いがたい昏い声。

 夜に独りっきりの時は耳にしたく無い、マヂで。


 ちぃっ、油断したっ!!

 まさかこんな真っ昼間から、ノンアクティブな《霊》に出遭っちまうとは思って無かったってのもある。

 《死霊:自縛霊 Lv8》と老人の頭の上にAR表示のタグが表示されている。

 俺は戦うために、ドール・サイズの《アリアンロッド》を急いで人間サイズに戻した。


 この《Unreal Ghost Online》というゲームでのゴーストは、自動的に襲ってくるかどうかの区分けで、三種類が存在する。

 アクティブ・ゴーストは、こちらが何もしなくても襲ってくるタイプ。

 パッシブ・ゴーストは、こちらが襲わない限り攻撃してこないタイプ。

 こいつの様に、相手にしちまうと襲ってくるのがノンアクティブなタイプだ。


 《霊》あるいは《虚霊》との戦い、それもまたUGOというゲームの特徴だった。

 普段こういった自縛霊や浮遊霊とは目を合わせ無いように注意して、声を掛けられても反応しないことで何事もなくやり過せるんだけど、今日は注意散漫だったようだ。




 見かけても目を合わせ無い。

 声を掛けられても返事しない。

 霊に祟られない知恵だ。昔の人は良いこと言った。



'2011/12/07

しまった。

> 片腕片足が無い血だらけの姿で

片腕が無いのに、どうやって腕もぎって振り回したんだろう。

単純ミス。すんません。脳内で補完よろ。

きっと霊は物理的に腕を掴まなくても、宙に浮かんだままの腕で殴れるのだろう。

とか?


===

ようやく主人公のターンになりましたが、しばらく、彼にはUGOを語らせたいと思います。わたしが書く男の子なんて、しょせんそんな役回りさー


自分は小説の修行のために投稿しているのではなく、好きなものを書く、というのが原動力です。

そのため、ストーリーを批判されても直す予定も無く行き場がありませんので、スルーして頂くのがお互い楽な道だと申し上げておきます。

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