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トーコさんの騒霊な日々  作者: 氷桜
トーコさんの騒霊な日々
39/51

トーコさんと珠璃の決意①

スキルの説明に何話費やしてるのだろうか。

誰かに言われる前に自分でつっこんでおこう。

話が進んでネーじゃねーか、と。


事件解決まで、あと12時間(小説内時間で)


『天太、朝よ。 起きて』

『天太ぁ、朝ごはん出来てるよ~』


 二人のそんな声でスッきりと目覚めた俺は、当然のように唇をムニュッと突き出す。

 ちなみにまだベッドで布団をかぶったまま、顔だけをのぞかせてる。


『もう天太は甘えんぼさんね』

『ですね、それじゃ今日はあたしが下ですよ、トーコさんは上をお願いです」


『あ~ん、ホントはあたしも下がイイのに……ま、いっか、天太、お目覚めのキスよv』


 トーコさんの唇が重なると同時に俺の口内に舌が差し入れられてくる。

 あいかわらず、トーコさんは積極的に絡めてくるなぁ(苦笑)


『天太ぁ、朝絞り100%ミルクちょ~だいぃ~、あ~んん……ん』


 くぉおほぉ~ 珠璃も積極さじゃ負けてないゼ。

 腰が浮いちゃうぜっ


 上も下も天国だぁぁぁああああ




 ドガッ




「えぅっ」


 い、いてぇっ

 なんだ、何が起きた!?


 天国に居たハズの俺には、状況の変化について行けない。

 いったい、なんなんだぁ?


「ヒトのベッドで何を朝っぱらからテント張ってるワケ? 踏み潰してやろうかしら?」


 その声を聞いて、何かを思い出すより先に飛び起きた。

 今度こそ、クリアな脳ミソで視界内の全情報を一瞬で把握する。


 目の前に、朝日を浴びた輝く女神サマが柳眉を逆立てて怒っている。


 怒った顔なのに、すっげぇ可愛い……

 年上なのに何この可愛さ? マジ有り得ないですけど。


「おはようございますっ トーコさんv」

「……おはよう」


 あー?

 両手を組んで仁王立ちだ。

 怒ってる……よな。


「えっと、部屋間違えちゃったかなぁ? あはは……」

「ふーん? 手に握ってるモノはな~に?(にっこり」


 (#▼▼)


 いや、眼が笑ってないんスけど?


 手?

 視線を自分の手へ……


 アウチッ


 そこには見覚えのある白い布がっ

 ……ここは正直に白状するとしよう。


「えと、借りてましたぁ~」

「ふ~ん? 貸した覚えは無いけど?」


「えと、俺、夜は白いモノを握らないと眠れない厄介な持病を持ってたり……」

「そうね、それはもうビョーキね」


 がーーーん


 女神サマにあらためて指摘されると悲しいモノがあるなっ


「え、えと……(冷汗ダラダラ;;;;;)……お返ししまふ」

「ええ、さっさと捨てないとね、変なモノで汚れたのなんてもう使えないし」


 がーーーーーーっん!!


 ん?


 ここだっ!!

 今しかないっ!!


「えっと、お詫びの印に買って返しますっ!!」

「遠慮します」


 がーーーーーーーーーーっん!!


 が、がんばれっ 俺。


「そっ、それじゃぁ下僕としての矜持にかかわるって言うか、絶対買って返しますからっ」

「いりません」


 どうせ変なの買うんでしょ?

 小さくつぶやくような声が聞こえた。


 !!


「お言葉ですがっ トーコさん、オトナの女性としてもっと(たしな)みを持ってくれないと! インナーに拘るのは女性の身だしなみとして常識ですよっ!!」


「天太に常識を説かれたくない。 そーれーに、あたしは綿をこよなく愛する女なの! 地肌へ直接身につける下着にまで口出すなんて、大きなお世話よ」


「そっ でも……勝負下着で迫ったりってのが男と女に必要な場合だってあるでしょ!」

「!!」


「男って馬鹿だから、女性のそんな姿で誘われたりするとイチコロリって言うか」

「……」


「ほら、1ミリ何か足りない、とか言うじゃないですか、そういう時に後押ししてくれるのがそういうアイテムだと思うんスよねっ」

「…………」


 あー、もう。

 自分でも何言ってるのか判らんわ。


 ん? トーコさんが反論してこない?

 って、どこを見てるの?


 トーコさんの視線を追いかけると……


 夕べは気付かなかったけど、鏡台が部屋の一角においてあった。

 その鏡台には、写真が置かれてある。


 写真の中では今よりもう少し若いトーコさんが背後から抱きついて楽しそうに笑ってる。

 女神サマに抱きつかれてる幸運なヤツは、ブレザー姿で今の俺とそう差がない歳の男。

 トーコさんに似ていない、どう見ても年下の男子高校生……まさか、彼氏?


 トーコさんは少し悲しそうに、その写真を見ていた。




「トーコさん……それ、彼氏? ですか?」

「……」


 トーコさんは俺に視線を戻して……


「えぇ、そうよ」


 そう、ハッキリと答えた。

 が、がーーーーーーーーーーーーーーーっん!!




 死んじゃったけどね




 独り言のようにつぶやくトーコさん


 え?


「二年前よ、トラックが乗用車に突っ込んで、その乗用車が歩道を歩いていた彼を……」


 やべっ、地雷ふんじゃった?


「……天太っ!」

「はいっ」


 思わず俺は、腰掛けていたベッドから立ち上がり直立不動する。


「さっき言ってたこと……勝負下着のこと、本気でそう思ってる?」

「ももも、モチロンです」


「そう……………………今度買いに行くから、つき合いなさい」

「ぇ? ぇぇぇええええ!? りょ、了解でスっ」


 夢か!? これは。


「聞いていいっスか? どうしてまた?」

「さっきの、イチコロリってやつ? 勝負下着くらい身に着けてあげればよかったなって」


 どういう心境の変化なのか……いいか、それは。

 トーコさんだって、色々あるのだろうから。


 その後、トーコさんはため息をつきながらベッドに散乱した白い布ズを畳んでしまってた。

 へ、変な汁なんてつけてないんだからねっ




◆◆◆




 リビングへ俺とトーコさんが足を踏み入れると同時に珠璃から声が掛かる。


「おはよう天太、朝ごはん出来てるよ、ミルクティーだけど良いよね?」


 ぶっ

 そのセリフで、さっきの夢を思い出しちまった。

 珠璃はミルク好きだなぁ


「なに、ニヤニヤしてんの? 朝からキショい」

「どうせエッチなことでも考えてるんでしょ」


 朝からサンザンな言われようだ、当たってるけどナー。


 朝食は、焼ウィンナー数本とチーズオニオンオムレツ、スライスしたフランスパンっぽいの、緑色したスープ、それにサラダと紅茶だった。


「このスープは?」


 トーコさんが珠璃に尋ねる。

 ちょうど俺も聞きたかったところだ。


「そらまめがあったから漉して作ったスープだよ」


 ほほー


「珠璃、オムレツおいしいゾ」

「ありがとv」


「ホントにおいしいわ」

「でしょー?」


 珠璃は、俺とトーコさんから褒められてご満悦だ。


「あ、トーコさん、夕べワイン開けちゃったけど構いませんよね?」

「……未成年者が飲酒だなんて良い度胸じゃ……あ! もしかしてレザムルーズ?」


 ちょっとだけトーコさんの顔色が変わった。

 どことなく慌てているふう、飲んじゃまずいヤツだったかな?


「いえ、ヴォギュエだけどボンヌマールの方です」

「ぁあ、なら良い……くない! ダメでしょ!未成年者が」


 メって睨んでも可愛いから怖くないデス、トーコさん。


「勝手に飲んじゃいましたけど、値段どのくらいするお酒なんですか?」


 ちょっとだけ気になってたところを聞く。

 500円ってことはないだろうと思ってたんだよね、2000円とかするお酒を勝手に飲んだらさすがに拙いよなぁ?


「ん~、そこで値段聞きますか、天太のお年玉くらいは吹っ飛んじゃう値段よ?」


 ぶっ


「一万もするのかよ!?」


 トーコさんはクスクス笑ってるけど、珠璃はあぜんとした顔だ。


「天太のお小遣い、そんなに少ないの?」


「お酒の値段を気にしちゃダメよ、元々飲んで楽しむためにストックしてあるんだし、少なくても夕べの天太はお客さまなんだからね」


 トーコさんはそういうけど、かえって気になっちゃうゾ?


「え?そういう話の流れなんですか? あれ~? あたしの予定じゃ、お酒の値段分トーコさんの家政婦として働いて返します、って流れに持って行こうとしてたのに……」


 家政婦かよ!

 って、どんどんお酒の値段を聞くのが怖くなって来た……この話題は止めよう。


「ハウスキーパーは間に合ってますから」

「あらら断られちゃった、でも、あたしあきらめませんからv」


 珠璃はそう言ってから、俺のほうを見て


「ところで天太、なんで朝っぱらからサングラス掛けてんの?」

「天太は、隙あらばスカートの中を覗こうとするんですもの、ヤんなっちゃう」


 ちょっ!?

 珠璃とトーコさんは腰掛けたまま、スカートをこれ見よがしに直している。

 え? 二人とも、俺がサングラスしてるイコール盗撮してる、になってる??


「ひどっ 夕べ寝るときにはずし忘れてそのままだったんだよ、もう掛けてるのが普通になってるから気付かなかったワ」


 それに対する珠璃の返答は予想外のものだった。


「それなら天太、寝てる間に何か変なスキル取得しなかったの?」


 へ?


「おととい由里の自殺を夢で見たヤツ、サングラスしたまま寝てる間に覚えたスキルだったの。メニューから確かめたら、スキル《フォーサイト・ドリーム》って名前が付いてた」


「……予知夢か、なるほどね」


 トーコさんが肯いている。


「だから、天太もそのまま寝たんだったら、何かスキル覚えてないかなぁ?と思って」

「スキルねぇ?」


 俺も念のため、メニューからスキル・ウィンドウを表示させて確認する。

 そうしたら、一覧の中で見慣れないアイコンがあることに気付いた。


「……なんだ、これ? スキル《ファントム・リアリティ》?」



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