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トーコさんの騒霊な日々  作者: 氷桜
トーコさんの騒霊な日々
38/51

トーコさんと長い夜⑤


 とある場所でイチャラブ中の創生神シータ




『ピッ』

 システム・メッセージ:スキル《ファントム・リアリティ》使用許可の申請が届きました。




 銀髪で青い目なのだろうその美しい少女は、あまりに強い存在力のせいで姿を正確に描写することが出来ない。


 この世の物とは思われない美しすぎる容姿を写し取ることは、映像であろうが言葉だろうが許されないためだ。けっして作者のボキャブラリー不足では無い。無いったら無い。


 話が脱線した


 全次元・全時空間のどこかにおわす五柱の全能神を除けば、この少女が最高位の神だと言えるだろう。


 UGOで公開されているランクでの最強ランクにあたるユニーク・レジェンド級など、少女の足元にすら遥か遠く及ばない。


 少女のランクは、《Unreal Ghost Online》風に言えば《Lvゼロ・メビウス・ゴッド》


 Lv50でカンストな神サマレベルの中で、かつて、Lv100を極め、神の中に在ってすら異質な存在だった彼女は、いまやその力は既に番外である。


 『無にして無限にして永遠』を冠した最高神たるその少女は、こうおっしゃられた。


「ン、メンドウ。任せた」




『ピッ』

 システム・メッセージ:次席承認者へ申請依頼を転送します。




◆◆◆




 ここでは無い、いつか、どこかにおわす異世界神。


 先ほどの創生神シータと瓜二つの容姿を持つその女性は、異世界神のくせに、何故かこの世界の、とあるMMORPGにログインしていた。


 それだけに留まらず、酒場の中で幾人かのプレイヤーを前に、ボイス・チャットでアカペラを楽しんでいる最中だった。


「おや? ヲマイラちょっと待って。リアルで仕事の依頼キタ。AFK」


「「「「「 えぇー? ぷにぷに君の歌、イイトコだったのにーーーっ 」」」」」


 一番の盛り上がるサビの部分での中断だ。

 楽しく聞いてた聴衆からは不満が漏れる。


 実際問題、神である彼女にとって歌を唄いながらメールの処理をすることなどたやすい。


 現に、彼女はネトゲで遊んでいるいまも、ある場所では邪神と熾烈な戦いを行い、別な場所では善神と邪神相手に中期計画のプレゼンテーションを行いつつ、別な場所では信者に助力を与え、また別な場所では死に掛けた子供を助け、結婚式では花嫁に祝福を、盗人には神罰を、創生神シータが異世界へ送り込んだご苦労様で可哀相な勇者サマを陰からコッソリ支援してやったりと、神サマのお仕事を同時にこなしているのだから。


 《Lv100・メビウス・ゴッド》

 最高位の神である彼女が、Away From Keyboard(離席)などと人間臭いことをワザワザ言うのはゲームに対するコダワリなのだろうか?


 その彼女は、メールで届いた承認依頼内容を一瞥して……


「ふーん? な~んか面白そうだけど、この件はあの子に任せた方がイイ結果に繋がるかな?

 でも、せっかくだし? 子宝の神としちゃこれくらいのイタズラはやらなきゃ」




「さー、お仕事オワリ! 次のリクエスト受け付けるよー?」


「「「「「 うぉーーーっ! 次はコレ歌ってぇーっ! 」」」」」


 神たる彼女の歌は、世界中どこに居たってインターネットのラグを気にせず、スピーカー性能とは全く無関係に、まるでコンサートホールかのような音場特性と音響効果をもって聞き手に直接伝わる。


 もっとも聴衆する彼らはきっと、そんな些細な神の恩恵には一生気付かないだろう。

 ホンモノの女神サマのナマ歌は、今日も大人気のようだ。




『ピッ』

 システム・メッセージ:次席承認者へ申請依頼を転送します。




◆◆◆




 ここはマンションの最上階。

 窓から見える東京湾は穏やかで、夜明けの光が海面を輝かせている。


 その女性はシャワーを浴びた直後だったようだ。

 艶やかな姿態にタオルケットを巻いてシャワールームから出て来た処にメールが届いた。




『ピッ』

 システム・メッセージ:システム管理者、および、ゲーム・マスターから承認依頼が転送されました。内容を確認の上、ゲーム・スタッフ権限で承認もしくは差し戻しをしてください。




 メールの申請内容を一読すると、書かれた内容に彼女は綺麗な眉をひそめた。


「《ファントム・リアリティ》? 心象世界で創られたイメージ通りに、現実に影響を与える虚像アイテムをUGO世界内に生成しますぅ? ナニよソレ、ある種の空想具現化能力なの?

 なんで承認があたしなのよ? まったくぅ、GMなら仕事しなさいっての」


 その女性は、ふっと柔らかい笑顔を浮かべ、次に厳しい表情に変わる。

 スキル《シースルー》を発動し、向こうの部屋で寝ている天太の姿を壁を透かして見る。


 どうやら彼は気持ちよく寝ているようだ。

 きっとスケベな夢を見てるのだろうと容易く予想出来る。


「妄想ばっかりしてる彼ならではのスキルか。 でも……ゲームバランスを壊す恐れがあるからこそ使用禁止にしてたスキルだし……それに、なーんか変な物を創られそうでイヤなのよねぇ。うん、やっぱり申請は差し戻して却下かな」


 ゲーム・スタッフ専用システム・メニューから差し戻しを選び、クリックを押そうとした瞬間、彼女はふと何かに気付いたように思いとどまった。


「彼がどこまでやれるか、見届けるのも悪くない……かなぁ?」


 彼、カワイイものね?

 冗談でしょ、やめてよね。

 自分で自分にツッコミを入れながら、指は先ほどとは逆の選択肢をクリックしていた。




『ピッ』

 システム・メッセージ:プレイヤーIDアリアンロッドから依頼されたスキル《ファントム・リアリティ》の承認申請が受諾されました。




◆◆◆




 寝てる最中に自動で勝手に行われたスキル申請に、俺が気付くことは無かった。

 起きてから、たまたま覗いたアイテムボックスを見てビックリすることになる。




『ピッ』

 システム・メッセージ:スキル《ファントム・リアリティ》が開放されました。以後は、プレイヤーのイメージ具現化欲求がある一定レベルを越えれば、現実世界に影響を与える虚像アイテムを《Unreal Ghost Online》世界内に生成します。高難易度なアイテム生成を行うには欲求レベルも高いものが要求されます。


『ピッ』

 システム・メッセージ:スキル《ファントム・リアリティ》によってアイテムが生成されました。詳細はプロパティをご覧ください。


『ピッ』

 システム・メッセージ:アイテム《エロティックリス》とアイテム《ビッグ・マグナム》をアイテムボックスに格納しました。






アイテム銘: エロティックリス

分類: 短剣武器

属性: 神聖

魔力: 120

攻撃力:240

素早さ:450

攻撃速度: 30%アップ

魔力付与: シェイミング・ペナルティ

特殊効果: ラブマックス


《エロティックリス》は、刃形が女体をイメージした波打った形をした両刃の短剣で、クリスを模して創られた刃渡り48センチの神聖武器です。

《シェイミング・ペナルティ》は相手が女性であれば羞恥心を喚起し、精神異常(催眠・魅了・混乱・忘却・睡眠・恐慌)のステータスから回復し、男性であれば霊力へダメージを与えます。


※注:特殊効果の《ラブマックス》は異世界神から貸与された神罰執行権です(注:神罰は霊障の上位に当たり効果を上書きします)。対象者が異性に限り一定確立で????効果を発揮し、この効果は永続で蓄積されます。この効果はスキル《霊障無効》の影響を受けません






アイテム銘: ビッグ・マグナム(女性専用武器)

分類: 射出武器

属性: 神聖

魔力: 120

攻撃力:520

素早さ:120

攻撃速度: 30%アップ

魔力付与: デザイア・バレット

特殊効果: インサイダゥッ


《ビッグ・マグナム》は、S&W M500とニュースーパーブラックホークとコルト・パイソンを合わせたようなオリジナル形状(注:製作者のイメージ不足により形状はシステム側で決定されました)を持つ神聖武器です。装弾数6発はホルスターに戻せば直ちに補充されます。

男性に握られることは武器が拒否するため、女性専用武器です。


《デザイア・バレット》は、プレイヤーの欲望・妄執・執着心などの負の意識レベルが高いほど効果を発揮する特殊弾頭で、一日につき《守護霊レベル÷10》回だけ使用出来ます。


《インサイダゥッ》によって、ホルスターから出し入れ時のスピード/リズムそれぞれに技術点と芸術点が設定されており、さらにその出し入れ回数を重ねることで評価点は蓄積され、評価点に応じて次弾の威力が上昇します。

初心者はリズムを気にせずホルスターからの出し入れを多くこなすことに目標を置きましょう。

上級編:さらに決めポーズを取ったりなどの様々なアクションで芸術点が加算されます。


※《重要》:子宝の異世界神から授けられた神罰執行権により、《ビッグ・マグナム》から放たれる弾丸は《物理法則》を無視し目標に必ず命中、クリティカル効果を発揮します。 一度でもこのアイテムを使用すると《反動》により同じ効果の《祝福という呪い》をプレイヤーは永続で授かります。この意味をよく理解し、用法・用量を守ってご使用ください。この効果はスキル《霊障無効》の影響を受けません。




この後の投稿分はまだ書いてないのです。

犯人とのシーンは書いたのにそこまでの途中はまだだという……

一週間後に投稿出来なかったらゴメンなさい(^^;

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