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トーコさんの騒霊な日々  作者: 氷桜
トーコさんの騒霊な日々
20/51

トーコさんの裏事情①

新年明けましておめでとうございます。


「天太ぁ~っ!」

 朝っぱらから携帯の音で起こしてくれやがったのは珠璃だ。


 くは~ぁっ、俺にも朝起こしてくれる彼女がとうとう出来たってか!?

 ふと、めざまし時計を見ると、朝の……5:30!?

 カンベンしてくれっ。


「わかったよ、わかったんだよっ!」

 耳元で怒鳴んなっ


「んぁ~? 頼むから順番に話せ」

 まだノーミソ起きてません。

 ムスコは起きてるけどナ。


「だからぁ、見えたんだよっ!!」

「ナ、ナンダッテェ~ッ!? うっそ、マジかよ!?」

 そ・そんなことって……

 まさか、彼女がアンナことになるなんて……


「……まだ何にも言って無い。フザケテないで聞いてよ!!」

「へーい、んじゃ、言ってみ?」


「夕べさ、由里が自殺する夢を見たんだよっ!!」

「じさつ~ぅ?」

 ってか、ユリって誰?


「あのさ、トーコさんが言ってたでしょ?」

「トーコさんが?」


 ユリとか、自殺に関係することを言ってたっけ??

 なんだかちっとも珠璃の話は要領を得ない。


「もう!なんでわっかんないかなー? あんたも聞いてたでしょ?」

「ごめんな、思い出せねぇ……」


「たく、あんたってヒトの話をいっつも聞いてないよね!! こないだもさ、あたしが買って来てって頼んでたコンビニの……」

「だ~~~~~っ!! 今はその話じゃ無いだろっ、夢に出てきたトーコさんの話だろっ!?」


「ほら、また聞いてない。夢に出てきたのは由里だよ、あたしの友達の」

「言い間違えたんだよ! トモダチなら早くそう言えよ」


「少し黙って聞いててよ、いちいち話の腰折らないで」

 俺かよっ!? 悪いのは。




 話がアッチに飛んだり、コッチに戻ったりする珠璃の話を総合すると、昨日トーコさんにスキルについてアドバイスもらった珠璃は、日頃からサングラスを掛けたままで過すことにしたと。

 で、そのまま寝た珠璃はトモダチの由里って子が、今夜自殺するのを夢に見たのだと言う。

 珠璃いわく「これって予知夢なのかな?」だそうだ。


 その前に、サングラス掛けたまま寝るな。


「ねぇ、天太、由里を助けるのをあんたも手伝ってよ!!」

 朝起きて由里って子に電話を掛けても通じない、メールしても返事が来ない。

 珠璃はこれから学校をサボってその子の家まで行くから、俺にも付き合え!と。

 わかった、わかりました、と返事を返し電話をいったん切る。




 内容があまりに重過ぎる。

 その相手に、やめろ!って言って止めてくれれば良いけど、自殺するまで思い込んでる背景ってのがあるはずで、それを解決してヒト一人救うのは容易じゃないだろう。


 俺は携帯を眺めたまま、どうするか悩んで、メモリから番号を呼び出す。

 トゥルルルル、トゥルルルル……

 ここは一発、トーコさんの声を聞いて癒されよう。



『はい、藤井です』

『チューッス、柏木です。トーコさんに折り入って頼みたいことがあるんスけど』

『あら、何かしら?』

『実はトーコさんに写真のモデルになって欲しくて、ヌードなんですけどダメですか?』

『まぁ、あたしの方から頼もうと思ってたの、ちょうど良かったわ(はーと)』

『えっと、それじゃ今日の夜どうですか?』

『それじゃ黒いパンティー穿いて待ってるわね?』

『初めて逢った時のあの服も着て欲しいな』

『やん、天太ったら服を着たままだなんてヘンタイなんだから、もう』




 もう!

「はい、藤井です」

 はっ!? あぶないあぶない。


「チューッス、柏木です。トーコさんに折り入って頼みたいことがあるんスけど」

「あら、何かしら?」

「実はトーコさんに写真のモデルになって欲しくて、ヌードなんですけどダメですか?」

 ブチッ ツーツーツー……


 ……はっ!? やべ、つい妄想が出ちまった。

 もう一度掛けなおす。


 トゥルルルル、トゥルルルル……ピッ

「キミのやってる事は犯罪行為よ。出逢ったばかりの女性へ非常識な時間帯に電話を掛け破廉恥で相手の嫌がる話題を故意に行っている。この番号消去するわね」

「うわ、待って待って! 珠璃が予知夢を見たとかで、その内容を相談したかったんスよ」


「……予知夢?」

「ええ、友達が自殺する夢を見たから、一緒に助けてくれって」


「いつ? どこで? 友達の名前は?」

「あ……そういや聞いてねぇ……」


「……ねぇ、柏木君と甲田さんってUGOで知り合ったのよね? もしかして最近の話なの?

具体的にはここ3ヶ月以内くらい?」

「え? ぇえそうですね、2ヶ月くらい前かな? それがどうかしたんですか?」


「プライベートなことを聞くけど、柏木君と甲田さんは付き合ってるわけじゃないの?」

 ぉ? ぉお!?

 この話の流れは……アレか!? アレなのか!?




『天太が珠璃と付き合ってないなら、あたしと付き合ってくれる?』

『もちろんだぜ』

『うれしい! あたし天太の理想に近付けるように頑張るね』

『俺の理想は、俺専用のエロビッチだぜ?』

『あ~んっ 天太専用エロエロ婦警ビッチにチョウキョウしt「柏木君、聞いてる?」




「はいっ! 聞いてまス。 えと、俺と珠璃は付き合ってませんよ、珠璃は俺のことをアウトオブ眼中だから一緒に遊んでいられるんだ、って以前言ってました……し(涙」

 これはこれで、あらためて口にすると悲しいモノがあるなっ。

 くそっ 目から変な汗が出やがるぜっっ!!


「それでですね、その友達を救うために今日は珠璃と逢う約束してるんですよ」

「……行ってはダメよ」


「え?」

 暗い声でダメだしするトーコさん。

 うそ、マジでトーコさん珠璃に嫉妬してんの!?


「大丈夫ですよ、俺、トーコさんヒトスジですからv」

「それはどうでも良くて……」


 なぜか黙り込むトーコさん、嫉妬じゃなければ何だ?

 予知夢の話をしたからか?


「行っちゃダメって、理由があるんですか?」

「……捜査上の秘密だし、電話で話すようなものじゃないから……そうね、甲田さんと会うその前に、どこかで会えないかしら? 目的地はどこなの?」


「え?でも珠璃に逢う前って……10時に東小金井駅で落ち合って目白へ行く予定なんスけど」

「……なら落ち合う場所を新宿駅に変更してもらえない? 何か適当に理由付けて」


「ま、まぁそれくらいなら」

「じゃ、あたしと柏木君は9時半に新宿駅南口で会いましょう。それで良いかしら?」


 っしゃーーっ!!

 なんだかよく判んないけど、トーコさんとまた逢えるぜーーーっ



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