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トーコさんの騒霊な日々  作者: 氷桜
プロローグ
2/51

その2(※ただし後に修正可能性大)

つたない文章でも、お気に入り登録してくださった方、ありがとうございます。


この回のお話は2章のプロローグとも言える物です。

(そして2章はまだ書き進めてません)

なので、2章の展開次第では予告無く大幅に変更される可能性があります。


そのことをご了承の上、お読みくださるよう願います。


「天太!」


 俺が学校帰りに、とある事情で池袋をブラついてると後ろから声が掛かる。

 この声は……


「よぉ!信之。学校こねーと思ったらこんなトコに居たのか?」

 振り向くと、そいつは俺のクラスメートで割と仲が良かった新谷信之だった。


 んなっ!? なにぃ オンナ連れ……だと!?

 信之ってヤツは、クラスの中じゃ大人しい方で最近は学校を休みがちだった。

 なのにオンナ連れとは……なんか、いきなりキャラが変わってんですけど?


「天太は相変わらずナンパか? そろそろ一人に決めた方が楽しいセイシュン送れるぞ」

 信之が連れてる派手なオンナ二人は(ふざけんな!)、その辺に居そうなフツ顔だったが、二人とも、信之に腕を絡めて両手に花状態だ。

 な~にが一人に決めた方が、だ。

 オメーが言うな。


「ノブユキ君、この子、お友達? 紹介してよ」

「ああ、こいつは同級の天太ってヤツでさ、見ての通りエロ小僧だよ」

「やっだぁ、エロ小僧なのぉ? もしかして童貞君?」


「おい、喧嘩売ってんのか!? #」

「へへ、わりぃ、悪気はねぇんだよ。カンベンしてやってくれ」

 なんなんだ? モテ期に入って有頂天なのは判るけどさぁ、礼儀ってモンがあるだろ?


 ムカっ腹を立てるが、お一人様の逆切れとか思われるのもうっとうしい。

 少し頭を冷やして、失礼な女ドモを見ると……


 なんだぁ? この女ドモ、二人とも背後に変な霊が憑いてんですけど?

 うっわ、目を合わせると祟られそう。やっべぇ。


 その変な背後霊はどちらも地味な女で、チラと見た限りじゃ、憑いてる女ドモにそれぞれがどこか似ていた。この失礼な女ドモの御先祖サマの霊だろうか?

 黒髪でヤボったく、眉毛も整えておらず、化粧ッケは全くないのか肌もくすんだ感じだ。

 憑かれてる方の女ドモがきれいに眉毛を整え、茶髪でバッチリ厚化粧決めてるのと対照的。


「ねぇ、天太君。 天太君も暇ならあたし達が遊んでるネトゲで一緒に遊ばない?」

 も、ってなんだよ、俺は暇じゃねぇーよ!!


「おーそうだ。天太、俺らVRMMORPGってので遊んでんだよ、VRMMOって知ってっか?バーチャル・リアリティーのVRで《True Life Story》つーの。 すっげぇ面白えんだぜ?

こいつらとはそれで知り合ってよ。同じパーティー組んで遊んでんだよ」


「VRMMO? おいおい21世紀とは言え、車もまだ飛んでない世の中でVRは無いだろ」

 VR技術なんて小説の上だけだろーが!! ナニ言ってんだ?こいつら。

 そこまで言って思い出した、そういや俺が今も顔に掛けてるサングラスも世の中の技術から一歩飛び出たシロモノだって事に。そう考えりゃVRもアリなのか?


「やっだぁ、天太君って遅れてるぅ」

「ありえなーい、イマドキVRMMOしてないなんて」

「おいおい天太ぁ、おまえやっべぇぞ? ニッポン人として世の中の話題に乗り遅れてっぞ?」

「そこまで言うか!? だいたい2011年の現代にVR技術なんてねーだろーが #」




「天太ぁ、おまたせ……あれ?お友達?」

 おっと、珠璃が戻って来た。


「あ、クソなんだよ、つれねぇ態度だと思ったら、俺サマは美少女連れてますカラってか?」

「あ゛? 信之、オマエ失礼じゃねぇか? そもそも最初に女自慢して来たのソッチだろ?」

「な、なに? どったの?天太」

 珠璃がイキナリの喧嘩に戸惑ってる。


「いこ、ノブユキ君。 青い目のガイジン女連れてキモぃっつーの」

「ほんと、VRMMOも知らない時代遅れヤロウなんてほっとこうよ」

「喧嘩売るなら買うわよ? #」

 女ドモのあまりの無礼さに珠璃もキレた。


 珠璃は赤毛の金髪で青い目、米国生まれだ。

 アメリカン・ビューティーをスレンダーにして幼くした感じの白人美少女。

 生まれて間もなく日本に移住し、今ではネイティブな日本人っつっても良い。

 それでも時々こんな風にガイジンって意味も無く排斥しようとするヤツラが居る。


 俺とはARMMORPGの《Unreal Ghost Online》ってゲームで知り合って、たまにこうして会ってゲームしてる仲で、同い年の17歳。

 俺が普通の公立校なのに対して、珠璃は進学校に通っている。

 《Unreal Ghost Online》がなきゃ、きっと知り合うことなんか無かっただろう。


 信之と女ドモは言うだけいうと、さっさと行ってしまった。

「ナニよ、アレ? 天太?」

「あんなヤツだったかなぁ? すまん珠璃、あいつ、モテ期でチョーシこいてるみたいだ」


「まぁ、イイケド。 それよりさっきの女達の背後に居た《霊》見た?」

「あぁ、なんか祟られそうな地味ッ娘だったよな」

「ん~、なんかさぁ、口が『たすけて』って動いてたような気がするんだよね……」


 俺は肩をすぼめ、

「まぁ、なんでもイイサ。救いを求めてる《霊》を全部助けてるほど暇じゃねーし」

「そうだね……そういや、なんでアイツら、あたしの目が青いって解ったんだろ? 今はサングラスを掛けてるから、瞳の色は見えないハズなのに」


 俺も珠璃も《Unreal Ghost Online》にアクセスするためのサングラスを掛けてる。

 だけど、それは、


「ん?知らなかったのか? サングラスは《Unreal Ghost Online》プレイヤーじゃないと見えないんだぞ? 赤の他人からは俺たちの素顔が見えてるらしいぜ? 前に試したところじゃ、貸すとサングラスは見えるみたいだけど、UGOにはログイン出来ないし、霊も見えないらしい」

「えーっ!? そうだったの? このサングラスって不思議なオーパーツだね」

「オーパーツって、その言葉はどっちかって言うとオーバーテクノロジーが相応しくね?」


 俺と珠璃は意識して不愉快な話題から離れ、共通の話題で盛り上がった。

 さってと、今日は何処のダンジョンで狩ろうかな。

 俺の頭の中からは、さっきの無礼な女ドモのことはキレイサッパリどっかに行ってた。


 VRMMO《True Life Story》が、やがて俺タチに関わってくるとはこの時まだ知らなかった。

 このとき既に、悪意は深く、広く根を拡げていた。

 やがて芽吹いて、俺たちがそれと気付くまでは、まだ半年以上も先の話となる。




◆◆◆




 ちっ、なんだよ、天太のヤツ。

 あんな美少女連れてさ、今まで隠してたのか? くそ自慢かよ!? ムカつくぜ!!


「ノブユキ君、早くホテル行こうよ」

「そうだよぉ、ガイジン女なんか忘れちゃうくらいシボってあ・げ・る」

「お、おぅ。へへ 今日もヒーヒー言わせちゃうぜ? しおり、それに晴美ぃ」


 この二人とはVRMMOの《True Life Story》で知り合い、オフライン・ミーティング、いわゆるオフ会ってヤツで出会ったその日に、リアルでも俺の女になった。

 俺はフツメンだし、運動も勉強も下から数えた方が早い。ま、それは天太も一緒だが。

 年齢=彼女居ない暦だった。


 学校行くのもかったるくて引き篭ってた時に、ネットで《True Life Story》を知った。

 速攻で《True Life Story》のアカウントを取得してクライアントをダウンロード。

 即座にインストールし、《ドッペル》と呼ばれるアバターを創ってゲームにログインした。


 ゲーム世界はまさに夢の世界だったよ。

 そこでは、俺は美少年のヒューマンで、何でも出来た。

 開始して直ぐに種族サキュバスでログインしていた彼女達と知り合ったんだ。

 それ以来、ゲームの中でもリアルでも、俺の女としてずっと隣に居てくれた。






 天太と路上でもめてから早いもので、はや数ヶ月が経った。


 俺はもう学校も退学し、毎日《True Life Story》で遊ぶか、彼女達とシッポリするかのどっちかの生活を繰り返していた。


 俺の《ドッペル》もレベル99。

 今日、ようやくレベル100に到達して《転生》イベントをやる予定だ。

 今はこの《True Life Story》世界の神である《ムマジン》に会いに来たところさ。


『ノヴァ・スノーよ、オマエは転生し、この先も我に仕えることに依存は無いな?』


 ノヴァ・スノーってのは俺の《ドッペル》の名前。ネーミングにヒネリは無い。

 ノブユキから取ったって解る人間にはすぐ判る。

 《ムマジン》からの転生の問いかけで、目の前にYes/Noのダイアログが表示される。

 もちろん、Yesで回答する。


『ならばノヴァ・スノーよ、これより永劫に続く恥辱と苦しみの中で、我に力を与え続けよ』


 へ? 永劫の恥辱と苦しみって……

 う、うぉぉぉおお? なんだ? 目がグルグル回る……く、苦しい……




 俺は全身を蝕む痛みの中で目を覚ました。

 い、いてぇ。 そして目が見えない!! 真っ暗だ。

 いったい、何がどうなったんだ!?


 この状況、こ・これはもしかして、小説なんかでよく見かける遊んでたVRMMO世界への転生とかいう状況じゃね? お、俺、もしかして異世界へ来たんじゃ?

 んじゃぁ、ここは《True Life Story》の世界かよ?

 こんな暗い場所あったっけ?


 ん? 向こうの方にかすかに明るい場所が……人?人が居る……

 そう気付いたとたん、俺はその場所に立っていた。

 ちがう、俺の身体は透き通っていて、まるで幽霊のようだ。なんだこりゃ!?


 そして、俺の目の前には『俺』が居る……


「新谷信之よ、お前は今日からこの《聖幸福教会》の信者として、お布施集めをするのだ」

「ハイ、教祖サマ。 手始めにこの身体の親から、財産を全て寄付させるよう働きかけます」

「ウム、働きかけるではない、毟り取れ。金が無くなったら臓器を売れ」

「ハイ、教祖サマ」

「下がってよし」

「ハイ、教祖サマ」


 な、なんだ? ナゼ俺の身体がそこに居て、この変なオッサンにヘコヘコしてるんだ?

 教祖だってぇ?


「っくっくっく。 VRMMORPG《True Life Story》サマサマだ。男は臓器を売らせて、女には身体を売らせる。まさに金の成る木よ」

『汝には我がついておる。我にさらなる贄を寄越せ、さればこの世におそるるモノ無し』


 あれは《ムマジン》!!


「おお!我がムマジンサマ。今日もまた一人、ドッペルゲンガーと魂が入れ替わった小僧が此処に来ましたぞ」

『知っておる、今も其処に居て会話を聞いておる』


「おお、おお、さようですか。 っくっくっく、聞いておろう新谷信之君。見ての通りキミの身体は我々が譲り受けた。キミはもう生涯身体に戻ることは出来ないし、君の身体も遠からず臓器を売って死ぬだろう。だから苦しみは短くて済むぞ。ニートで社会の屑をリサイクルして世の中の役に立ててやろうと言うのだ、我々に感謝したまえよ」


『ノヴァ・スノー、ノブユキよ。死してもお前には安らぎは訪れない。永劫に我の飴玉としてお前の苦しみを我に味あわせ続けよ。それが我の力の源となる』

「っくっくっく。素晴らしい。屑なりに《ムマジン》サマへ貢献出来るとは!」


 ふ、ふざけるな、返せよ!!俺の身体!!


「信之君、キミは転生イベントで《ムマジン》サマに忠誠を誓うことを承諾していることは忘れて居ないだろうね? キミの承諾した旨は、我が《聖幸福教会》のサーバー上にログとして残っておる。つまり、キミは我が教会に入信したことになっているのだよ」


 な、なんだよ、そんなのしらねーよ!!


「だからなんだ?と思っているかね? 入信した事実があれば《信教の自由》というヤツよ。警察が絡んできても、キミ自身の意思でここに居るんだ、と言い張れるのだよ」


 俺が教祖とやらに殴りかかろうとすると、とてつもない痛みが全身を襲ってきた。


 ぐぁぁぁぁああああ、なんだよ、これ。

 痛くて動けねぇよ……


「いまキミの身体を動かして居るのは、キミ自身の手でレベル100まで育てた《ドッペルゲンガー》だよ、キミの行動、キミの話し方を数ヶ月掛けて学習し、そしてキミの魂と入れ替わった。

身体を乗っ取るための悪魔を自分自身で育てたのだ、愉快痛快とはこのことじゃないかね?」




「「教祖サマ」」

 し、しおり、それに晴美じゃねーか!?


 しおり、晴美ぃ~ 助けてくれよ~!! なんとかしてくれー!!


「来たか。お前達は今日からまた新しくキャラを作り直し、さらなる贄を連れて来るのだ」

「「ハイ、教祖サマ」」

「ウム、で、どうだった? 信之とかいう小僧は」


「ハイ、最低でした。もう二度と抱かれたくありません」

 し、しおり……


「テク無し、早いし淡白。死ねばいいのに」

 晴美、お・おまえ……




『恨むが良い、お前を騙し、地獄に叩き込んだ女を。悔やむが良い、己の運命を。嘆くが良い、永劫に救われぬ己の魂を』


 なんで、なんで、俺がこんな目に……


『美味、お前の魂が磨耗し消滅するその日まで、我に力を与え続けよ』



自分は小説の修行のために投稿しているのではなく、好きなものを書く、というのが原動力です。

そのため、ストーリーを批判されても直す予定も無く行き場がありませんので、スルーして頂くのがお互い楽な道だと申し上げておきます。


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