覚醒。
「だから言ったのだ!
空気がやられた!
あんたが甘やかすから!」
「そうだな。まずい状況だ。」
「もういい!私が行く!
兵士も連れて、レジスタンスの本拠地を叩く!」
「ようやく見つけたレジスタンスの本拠地だ。私も行こう。」
「あんたは甘い!私がけりをつけてきてやる。指を咥えて見ていればいい!」
そう言い放つと、四天王の一人は、
立ち上がりる。
「待て。
水も空気も亡骸が見つからない。
相手の能力は未知じゃ。
侮るでないぞ。」
「・・・。分かった。」
ガチャ。
バタン。
「大丈夫かのう?若さは武器だか、
災いを引き起こす。
まぁ、お手並み拝見させてもらおう。」
その頃。
「では、会議を始める。」
「おい、白夜。ここにいるのは、
幹部的な立ち位置だと思っていいのか?」
「そうだな。
お前の事は仲間だと思っている。
むしろ、政府軍側だったとしたら、
私達の負けは明確だ。
だから、何も隠しはしない。」
「戦闘になった時、どんな能力があるか、頭にいれておきたいのだが、
可能か?」
「いいだろう。基本能力を説明する。
私は知っての通り、ハート。相手の心をよむ。
私の左から順番に、
ミラー。相手の姿、技をまねる。
雷。名前の通り、雷をあやつる。
記憶を無くす前は、玲夢の親友だった。
シャドー。相手の影に干渉する。
グリーン。植物をあやつる。
そして、玲夢。無限メモリーだ。
お前を除けば、攻撃力最強は、雷だ。
ただ、シャドーは条件によれば、
雷より強い。」
「条件とは?」
「暗闇で少し光のある空間だ。
影の中を自由に動き回り、
相手の、影を踏むと、相手は動けなくなり、影を食う。
影を食われた人間は、二度と目覚めない。」
「敵に回すと恐ろしいな。」
「以上が現状のこちらの最強能力だ。
で、どうするか作戦はあるか?」
「俺は、玲夢と出会ったとき、千里眼と、聴覚強化の能力者と接触した。
この二つの能力は、細胞の変化で、
多少は元々使えたが、昨日白夜の話を聞いて、もう一度試してみた。
政府軍らしき集団の動きが慌ただしい。
恐らく、何をするかは伝えられてない様だが、兵士達は戦闘準備をしている。
攻め込む先は1つだよな?」
「なるほど。お前こそ恐ろしい能力だ。
では、ここで迎え打つという事だな?」
「あぁ。
さっき聞いた能力で配置を考えるとすれは、
まず、グリーンと雷で打ってでる。
ミラーが自然にも干渉できるなら、
洞窟の入り口を隠し、中には戦力はないと油断させる。
入り口を見つけ、入ってきた奴らをシャドーが叩く。
あわよくば、シャドーが四天王を倒し、
こちらの勝利。
もし、それができなかった場合、
昨日俺たちが話した広間で、
俺が四天王の迎え撃つ。
どうかな?」
「お前は戦闘をしないのか?」
雷が疑いの目を向ける。
「あぁ。理由は、
あくまで政府軍は、お前達を潰しにくる。全ての戦力で政府軍が来れば、
話は別だが、恐らく、四天王の一人と、
兵士で来るだろう。
と、なれば、残る四天王は、恐らく最強の能力の持ち主だ。
二番手の四天王を取り逃がした時の事を考えると、
俺なしで戦いが終わるのが理想だ。」
「なるほど。理にかなっている。
私は賛成だ。」
雷が言う。
「みな、異論がなければ、私は倫の作戦に乗る。」
白夜が問いかける。
「異論なし。」
「私もだ。」
倫の作戦で決まり、細かな作戦の会議は続いた。
その頃、政府軍は、進軍を始めていた。
「白夜、進軍が始まった。
恐らく、今日の夜、もしくは明日の朝が決戦になるだろう。」
倫は白夜に相手の動きを逐一報告する。
「こちらも配置につくぞ。」
白夜は立ち上がり、兵士達の元へ進む。
「みな!この戦いで勝利すれば、政府軍の戦力は大幅に削る事ができる!
この戦い・・・必ず勝利するぞー!」
「おー!!!!!!」
白夜が叫ぶと、兵士たちは共鳴する。
「みな、配置についてくれ!」
兵士達は散らばり、それぞれの配置に着いた。
数時間後。
政府軍は、少し離れた所で待機していた。
「奴らは恐らく、シャドーの能力を警戒して、夜は攻めて来ないだろう。
気を抜かず、警戒しよう。」
白夜は、攻めて来ないと確信しながらも、兵士達を労いにまわった。
深夜、予想に反して政府軍は、進軍を始めた。
「白夜さん!敵が進軍を始めました!」
「何故だ?シャドーの能力が怖くないのか?!」
「相手が悪かったかもしれません・・・。」
白夜はシャドーと共に、洞窟から出た。
敵の大群の真中に光り輝く一人の女。
「四天王3人目の能力は、外部に漏れない様に厳重に隠されていて、探る事ができなかったが、あれは、火だな。
シャドーは戦力にならない。下がるぞ。」
白夜はシャドーを連れ、洞窟に戻った。
火の四天王と対峙するのは、
グリーンと雷だ。
取り巻きの兵士に、こちらの兵士たちがなだれ込み、戦闘が始まる。
「お前らは、雷とグリーンだな。
シャドーは下がったか?
私の前では、シャドーは無力。
さぁ!こい!」
「葉刃演武。」
グリーンは周りの植物の葉を鋭い刃へ変え、火に向け無数に散らす。
火の四天王のは、両手を広げ、それを受けた。
「あいつバカか?
やったぞ!」
グリーンは叫ぶ。
「ゔ。」
と、その瞬間。
グリーンの心臓を炎の柱が貫いた。
「グリーン!」
グリーンは心臓を焼かれ、倒れた。
話す間もなく絶命した。
「ははははははっ!私の前に、植物など無力だ!」
「おのれー!」
雷は怒り狂い、火の四天王に向け、雷をなはつ。
雷の電流が周りの仲間さえも巻き込み、
周りを電気の渦が駆け巡る。
雷が我に帰り、辺りを見回すと、
仲間達は倒れ、政府軍は全員平然と立っていた。
「ぐっ。」
雷の胸に刃物の様な物が刺さっている。
「残念だったな。
何故?と言う顔をしているな。
お前達の敗因は、情報不足だ。
この刀はな、特殊なゴムでできている。
普通の刃物は恐らくお前には刺さらないだろうが、これは違う。
それから、私達は、雷対策の絶縁スーツを身に着けている。
お前が倒れた時点で、お前達の負けだ。
白夜の首はもらうぞ。」
「白夜さん・・・。」
火の四天王は、雷の体をほりなげると、
炎を放ち、辺りを焼き始めた。
「後は、ミラーが入り口を隠しているのだろ?さぁ、能力を解いて逃げなければ焼け死ぬぞ〜!」
火の四天王の炎は容赦なく周りを焼き続ける。
「白夜さ・・・ま・・・。」
ミラーは、焼かれながら、気を失うまで洞窟の入り口を隠し続けていた。
「見上げたものだ。部下に欲しかったよ。」
火の四天王は、ミラーを蹴り飛ばし、
洞窟の中に進む。
頑丈なドアは、容易に焼き溶かされた。
広間に出た火の四天王は、
白夜と対峙する。
「さぁ、白夜。
今日で私たちの因縁も終わりだ!
お前に対した戦闘能力が無いのは知っている。だが、お前にはここで死んでもらう。さぁ!こい!」
白夜の横に立つ倫が、前に出た。
「炎をあやつる能力か。
白夜の前に俺が相手をしてやるよ。」
「何だ貴様は?白夜の元にいる私と戦う事を許される能力者は、シャドー以外いないと思うが。お前はシャドーではないな?新手か?」
「そんな所だ。お前達の敗因は、情報不足だ。」
「はっはっはっはー!
笑いが止まらん!
お前は私に勝つつもりか?」
「そのつもりだ・・・身体オール強化。」
倫は、高速で近づき反発か打撃を加えた。
「ぐはっ。
貴様!何をした。」
ポタッ。ポタッ。
「なるほど。その手袋に水を含ませた訳か。身体強化はこちら側にいるはず。
お前の能力は何だ!」
「言う訳ないだろ?」
「まぁいい。身体を強化した所で、私の炎に耐えられまい!焼き殺してくれるわ!」
炎の柱が辺りに上がり、
倫を取り囲む。
「さすがに暑い!
終わらせるぞ!」
倫と火の四天王は打撃の打ち合いを始める。
「貴様!何故その手袋は乾かないのだ?私の体に当たれば、一瞬で乾くはずだ。」
「だから!わざわざ言わねーよ!」
「ぐはっ。」
倫の拳が火の四天王の腹を貫いた。
「何だ?水の能力?何故水の刃が・・・。」
「あの世でゆっくり考えろ。」
倫は勝った・・・と思った。
火の四天王が一瞬、ニヤッと笑った気がした。
その瞬間。
「あー!」
倫の心臓を、炎の柱が貫いた。
「残念だったな。水の能力なら私は死んでいただろうな。お前の能力はコピーか?
だか、コピーは所詮、コピーだな。」
倫は口から血を流し、
意識が飛びそうになる。
「りーん!」
黙って見ている事しかできなかった玲夢が叫んだ。
倫に駆け寄ろうとする玲夢を、
シャドーが引き止めている。
倫はニヤッとした。
「あいつ、初めて叫んだな・・・。」
「それが遺言か?何故即死しないかは分からんが、お前はもう終わりだ。
すぐにあの女も、白夜もお前の元へ送ってや・・・。」
火の四天王は、体に異変を感じ、
腹を貫く倫の腕の辺りをみた。
「なんだこれは?!体の炎化が解けていく。何をした!」
「腕が刺さったまま、能力が解けたらどうなる?死ぬよな?」
「ぐはっ。」
火の四天王は、口から血を吐き、倒れた。
「お前はいったいなんなのだ・・・。」
「勝った・・・よな。」
倫は、しばらく立っていたが、膝をつき、気を失い倒れた。
「倫!りーん!」
玲夢が駆け寄り、抱き寄せる。
「死ぬな!倫!倫!
約束したではないか!
平凡な幸せを私と手にいれるのだろ?
起きろ!起きろ!倫!」
倫を揺さぶりながら泣き叫ぶ玲夢の肩を、白夜が叩く。
白夜はニコッとしている。
「何故笑う?何故だ!倫が死んだのだぞ!
笑うな!」
玲夢は、涙を流し、白夜に叫ぶ。
「玲夢、君は恐らく、全ての感情が蘇った様だね。」
白夜は微笑むのをやめない。
「だから何だ!
感情が蘇っても、倫がいなければ意味なんてないのだ!」
玲夢は倫を抱きしめた。
「玲夢、倫を良く見てごらん。
倫は、生きる事を諦めていないよ。」
「・・・。」
玲夢は、白夜に言われ、倫を見た。
「ゲホッ、ゲホッゲホッ。」
倫が咳をして、血を吐き出した。
「り・・・ん・・・?」
玲夢は、倫を見つめた。
倫の瞳はゆっくりと開き、
玲夢を見つめ返す。
「心配かけたな。
心臓の模造に時間がかかった。
俺、死なないみたいだ。」
玲夢はまた大粒の涙を流し、
倫を抱きしめた。
「りーん!倫!倫!」
「玲夢、喜ぶのは後だ。
まだ間に合うかもしれない。
洞窟から出るぞ。」
倫は立ち上がり、不思議そうにする玲夢の手を取り、洞窟の外へ出た。
倫は、倒れた兵士の体に触れた。
「・・・細胞干渉。」
「あれ?俺?死んだよな?なんで!!」
「お前の細胞をいじった。
この先どうなるか保証はできないが、
しばらくは生きていられる。」
「さすがエンペラー。神の理に背く力か・・・。」
倫は、倒れた兵士達を次々と蘇らせた。
疲れが体中を襲い、倫は座り込んだ。
「あー!疲れた。
玲夢、部屋で寝よう。」
「・・・一緒に寝るのか?」
「お前、感情が蘇ったんだったな。
恥ずかしかったら、白夜にベッドもう1台用意してもらうか?」
「いや。同じベッドでいい。
私は、お前から一時も・・・
もう離れたくはない。」
「嬉しいよ。」
二人は部屋に戻り、抱きしめ合って眠った。