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レジスタンス。

「玲夢、光と十字が重なるのはこの辺りだぞ。」


「・・・山だな。」


倫と玲夢は、ネックレスの光の位置に到着していた。


「おい!玲夢!あそこに洞窟があるぞ!」


「あの洞窟から入り、丁度この下辺りが光の発信源と言う事か。」


「多分な。準備はいいか?行くぞ。」


「問題ない。」


二人は洞窟へ入っていく。

少し進むと、真っ暗になっていく。


「倫、明かりが必要だ。一度出よう。」


「問題ない。・・・ライト。」


倫が微弱な光を放ち、辺りが照らされる。


「ははっ!」

玲夢が少し笑った。


「お前、今笑わなかったか?!」


「倫すごいぞ。これは恐らく、

面白いと言う感情だ。」


「はっ?まさか・・・。」


「お前の考えている事は正解だ。

・・・蛍・・・では無いのだな。

はははっ!」


玲夢は、笑いの壺を刺激され、

面白いと言う感情が蘇る。


「これは・・・素直に喜べない。

お前が笑うたび、俺はこれから辱められる・・・。」


「気にするな。嬉しいと言う感情で笑顔ができる様になった、延長の様な物だろう。それに、これからはお前が面白いと思った時に一緒に笑えるかもしれないと思うと、私はとても嬉しい。」


「そうかよ。

・・・玲夢、そろそろはなすのはやめよう。

レジスタンスが俺たちを受け入れるかは、会ってみないと分からないぞ。」


「あぁ。分かった。」


少し進むと、奥に明かりが見えた。


「玲夢、いつでも俺の後ろに隠れられる様に集中しろ。」


「了解した。」


二人は光に向かい進む。


光る先には、頑丈そうな門と、

門番らしき男が一人立っていた。


「だっ、誰だ!」


門番は、倫を見てかまえる。


「レジスタンスだな?このネックレスを頼りに俺達はきた。」


「ん?それは!」

門番は、倫から視線をそらし、玲夢を見た。


「玲夢さん!生きてたんですね!」

門番の男は、嬉しそうに、連絡を取っている。


「玲夢さん!どうぞ!お入り下さい。」


門番が言うと、重たいドアが音を建てて開いた。


玲夢は、倫の前に出て、扉に向かう。


「おい、玲夢、大丈夫なのか?」


「私は、喜んだり、笑ったりできる様になってから、人の表情を分析できる様になった様だ。あの男の喜びに嘘は無かった。」


「なるほど。お前の分析を信じるよ。」


二人はさらに洞窟の奥へと向かう。

不気味な程静かな洞窟の奥から、話声が反響し、少しつづ聞こえてきた。


狭い通路の先にが大きく開けた空間。

そこには、兵士に見える人達が、

待ち構えていた。


「玲夢!良く戻ったな!」

一人の女が近づいて来る。


「お前は、私の事を知っているのか?」


「えっ?玲夢、なんの冗談よ!私達、

いつも一緒にいたじゃない!」


「すまない。私には、記憶が無い。」


「そんな・・・。」


「お前達は、どこまでしっている。」

倫は、薬の事を伝えるかどうか探りをいれてみる。


「玲夢が連れてきた男だ、気にはなっていたが、害はないと判断していた。

だが、玲夢に記憶が無いとなると、

お前を疑わざるおえない。

先に答えろ!お前は何者だ!」


女はかまえ、叫ぶ。

女の雰囲気に周りの兵士たちも、

立ち上がり、倫を囲む様に身構えた。


「俺は、楠木倫。

こいつが、政府に追われてる所を助けた。巻き込まれたのもあるが、

俺は玲夢が好きだ。

だから、玲夢を守るために一緒に行動している。」


倫は当たり障りのない内容だけを答えた。


「玲夢が好きだと?

好きだけで命をかけられる奴などそうはいない。

信じられる理由にはならない!」


女と倫が言い争いをしていると、

倫を囲う兵士達の円の配置に、

一本の道が開かれる。


「その男は、恐らくバカだ。

嘘はついていない。」


兵士達の開いた道を進みながら、

一人の男が言った。


「楠木倫といったな。

玲夢を守ってくれた事、感謝する。」


「バカとは聞きづてならないな。

お前がレジスタンスのリーダーか?」

倫はムッとして答える。


「この場を治めるのには、バカというワードしか浮かばなかった。

気を悪くしたなら謝ろう。

申し訳ない。」


「バカと言ったのは何故だ?」


「お前が、好きな玲夢を、

本気で命がけて守るつもりでいる所だ。

バカでなければそれはできない。

私はそう思った。」


「なら、何故俺が本気でそう思っていると思った?」


「それは現段階では答えられない内容だ。

私はこの集まるみなのリーダー、

西園寺(さいおんじ) 白夜(びゃくや)だ。

ただ、私達から言わせれば、政府側がレジスタンスだ。私達をレジスタンスと呼ぶのは、侮辱にあたいする。

今後、気を付けてくれ。」



「分かった。

では、白夜。

俺も現段階では、お前達に全てを話す事はできない。

だか、俺は玲夢と、平凡な幸せを手に入れるために全てを終わらせたい。

俺の願いはそれだけだ。

どうだ?お互い歩み寄る事は、可能か?」


「やはりお前は信用できない。

こいつを捕らえろ!」

白夜は、倫を捕らえる様に命じる。


「待て!もう一度、俺の心を読んでみろ!俺は、玲夢を守る!玲夢と平凡な幸せを手に入れる!」

倫は、白夜に叫んだ。


「貴様、何をした?

しかも、俺が、心を読んでいたと何故分かった。」


「一番最初のバカの下りでもしかしてと思った。」


「ならば、何故お前は、俺に虚偽の心を読ませる事ができたのだ?」


「恐らくお前は、心ではなく、能で考えている事、を読んでいる。

だから俺はトラップをしかけられた。」


「お前は、なんの能力者だ?!」


「お前は、俺の心を読んでるんだ、俺が少しは信用できるかもしれない。

だが、こちらはお前達の事が全く分からない。何か信用に足る物を提示しろ。」


「まぁいいだろう。

こちらの情報を先に全て教えてやる。」


「いいんですか?」

「まずいですよ!」


周りの兵士達は、騒ぎ出す。


「みな、静まってくれ!

こいつが仮に政府側の人間だとしても、

四天王の内、水と空気を失った奴らは、恐らく躍起になり攻めてくる。

決戦の日は近い。

隠す必要が無くなる。

何故なら、我らが勝利するからだ!」


「おー!」

兵士達は、白夜の言葉に奮い立つ。

白夜は腕を上げ、

静止を求める。


「水と空気・・・。

もう一つだけ、お前達に安心要素をくれてやる。水と空気を手にかけたのは、俺だ。」


「何っ?本当か?!」


「嘘だと思うなら、玲夢に聞いてみろ。」


白夜は、玲夢をみた。

「あぁ、間違いない。」


白夜が倫に向きなおった所で、

玲夢が口を開く。


「白夜とやら。私から聞きたい事がある。」


「玲夢、何だ?」


「私に、夫、もしくは婚約者、交際相手は存在するか?」


「はっ?」

白夜は、緊張の糸がきれ、ポカンとしている。

「玲夢、後にしろ。」

倫は呆れた様子で、玲夢を止める。


「いや。大事な事だ。

お前は知りたくは無いのか?」


「・・・勝手にしろ。」

倫は、そっぽを向きながらも、

白夜を横目でみる。


「ははっ!ははははははっ!!」

白夜は笑い出した。

「倫とやら、知りたいか!

そんなに知りたいか!」



「くすっ。」

「くすくすっ。」


周りの兵士達も、笑いを堪えている。


そんな雰囲気をみて、玲夢が言う。

「何がおかしいのだ?これは、私と倫にとっては、重大な話だ。」

玲夢が、堂々と発言すると、

倫は頭を抱え、顔を赤らめていた。


「玲夢には、羞恥心という感情が今はない。すまんが、玲夢は真剣だ。答えてやってくれ。」


「そうだな。分かった。

玲夢は記憶を無くしているんだね。

玲夢の事、私の知る限りはなそう。」

白夜は玲夢を見ると話始める。

「まず、安心しろ。

玲夢、君にはそういう相手はいない。

それどころか、私と出会ってからの君は、人を好きになった事もない。

それは、君の過去が関係する。

君は、両親と3人、平和に暮らしていたんだ。でも、君の父親は裏社会に精通した人間だった。

ある日、君の父親は、例の薬を入手し、使用した。

君の父親が摂取した薬は、大した能力のものでは無かったんだけどね、

政府にバレてしまった。

今の法律の施行前だった事もあり、

君の両親は二人とも、

四天王の水に消された。

君は、襲われた時、なんとか逃げ出し、私達と出会ったんだ。

四天王、水に復讐するために、

全てを注ぐ様になる。

簡単にだが、これが私の知る限りの玲夢の全てだ。」



「そうか。良かったな、倫。

・・・なぜ悲しそうにしている。

お前が私を射止めるチャンスが確定したのだぞ?」


「いや、今の話聞いて、その部分だけ拾って喜べる奴がいたら、本当のバカだぞ。」


「私の過去を悲しんでくれているのか?」


「あぁ。そーだよ。」


「そうか。」


「玲夢、頼むから、

この件は後で二人でゆっくり話そう。」


「承知した。」


「ゔ、ゔん!

夫婦漫才は終わったか?

話を続けるぞ。」

白夜は、二人に呆れている。


「・・・あぁ。頼む。」


「では、続ける。

まず、私は、皇族の血筋だ。

そして、皇族お抱えの陰陽師の予言が今も語り継がれている。」


「二千と五十の年、平和を揺るがす力が生まれる。」


「その予言の後には、薬の生まれる時期、能力の種類などが記され、

最後に」


「白夜に倫理が重なるとき、記憶が開き、皇帝は、大地に繋がり争いが終わる。」


「と、言うのが、予言書の内容だ。

私は、この予言書に基づき、最初の薬、

エンペラーを手に入れ、自分自身に使うつもりだった。

だが、エンペラーは、裏切り者に持ち逃げされてしまい行方知れずだ。

予言を読み解くと、エンペラーの能力が争いを終わらせる唯一無二の力だと思っている。


私達の今の目的は、

玲夢達が政府から奪えなかった、記憶。メモリーの薬、又は、摂取者の獲得。

皇帝。エンペラーの薬の獲得。

後に、この馬鹿げた能力をこの世界から葬る事。

以上だ。


政府は、この力を、独占しようとしている。


この力は、あってはならない力。


私達は、この力に何らかの因縁のある者のあつまりだ。


必ず、この能力を葬り去る。」



黙って倫は聞いていたが、

白夜を信じる事にした。


「分かった。

お前の表情、仕草。

嘘は無いと判断した。」


「親しみを込めて、ここからは倫と呼ぶ。

倫、お前は、無限メモリーの能力者か?

表情から相手の嘘を見破れるのは、

無限メモリーだけだと記憶している。

・・・もしくわ・・・。」


「正解。

俺の能力は、エンペラーだ。」


「本当か?いや、嘘ではなさそうだ。」


「ちなみに、政府から無限メモリーを奪うのは成功している。

玲夢が、無限メモリーの能力者だ。」


「なんと言う事だ!

倫、私達と共に、この馬鹿げた力を葬り去ろう!」


「・・・・あぁ。

俺は、最初からそのつもりだ。」


「そうだったな、玲夢との平凡な幸せを望んでいたのだったな。

では、まず、玲夢の能力はどこまで目覚めた?」


「どこまで?」


「能力については、知らない様だな。

無限メモリーは、副作用として記憶を失う。これは、能力が消えるまで戻らないと推測している。

だが、もう一つの感情・・・心を解するもの。は、感情にインパクトを与えれば、戻る。そして戻った感情に対して、分析範囲が広がる。

玲夢を見た所、かなり感情の起伏を感じられた。もう全ての感情を取り戻しているのか?」


「俺の把握しているのは、

嬉しい。と楽しい、面白い。だ。

他にどんな感情があるか分からないが、

回復したのはこの二つだと思う。」


「そうか。倫、お前が玲夢を大切にしていたのが分かって嬉しいよ。

感情の回復に関しては、倫に任せる。

玲夢の心を動かしてやって欲しい。

但し、玲夢には全ての感情を回復してもらわなけれぱならない。

それこできた時、予言にあった、

大地の場所が分かると推測している。」


「善処する。」


「次に、倫、お前のエンペラーだ。

エンペラーの副作用は知っているか?」


「知らない。副作用は無いんじゃないのか?」


「良く生きていたな。

エンペラーの副作用は、生死逆転だ。

私は、一種の賭けだと思ったが、エンペラーを摂取する直前に、命をたつつもりだった。」


「まじ?」

余りの衝撃に、倫の演じていた仮面が剥がされた。


「まじだ。」



「ゔ、ゔん。」

倫は咳払いをして、続ける。


「俺は恐らく、エンペラーの薬を奪った奴らが乗って逃げているトラックにひかれた。

奴らにトラックに乗せられ、薬を打たれた。

目覚めたら、生き埋めにされてたよ。

俺がどのタイミングで死んだのか分からないが、死んだ状態で、薬の効力が出たのかもしれないな。」



「なるほど。不幸中の幸いだ。

何も知らない奴が、エンペラーを使えばただ死ぬだけだった。

エンペラーは二度と手に入らない事になっていただろう。」


「なるほど。薬は、1種類につき1つという事か。」


「なかなか賢い様だ。

その通りだ。」



「倫、そろそろ二人で話そう。」

玲夢は、倫の腕を引っ張る。


「玲夢。いい子だからもう少し待て。」

倫は玲夢の頭をなでた。



「なんだそれは。私はペットではないぞ。早くしろ。」

玲夢は、婚約者や交際相手がいなかった事を嬉しい。と感じている様だ。


「もうちょっと待ってくれ。

頼む。」


「分かった。

もう少しだけ待つ。」


「はぁ。続けていいか?」

白夜の表情は、諦めた親の様だ。


「早してくれ。もう待てないそうだ。」

倫は開き直った。


「では、倫、お前のエンペラーの状態は?」


「状態?」


「能力には、どの能力にもレベルの様な物がある。

エンペラーなら、

初期は、自分の細胞

次に、外見

次にに他人の能力のコピー

最後が、全てへの干渉

だ。」


「エンペラーも自分以外に干渉できるのか?」


「そうだ。」


「・・・なら、俺は今、他人の能力のコピーまでだ。ただし、自分の体以外には一切干渉できていない。」


「なるほどな。

もう一つお前に課題だ。

エンペラーをどう使えば自分以外に干渉できるかを考えろ。」


「そこは分からないんだな。」


「そうだ。私の知る限りの情報は以上だ。疲れているだろ。

玲夢の使っていた部屋がある。

そこを使え。

部屋は二人で1つでいいな?」


「俺は構わないが・・・。」


「私も大丈夫だ。」



「では、また明日会議がある。

私も私なりに、今後どうするか考える。

よろしく頼む。」



「分かった。」


白夜、兵士たち、倫達は、それぞれの部屋に散らばる。


「おい、倫。嬉しいか。」


「嬉しいよ。でも玲夢、お前はどうしたいんだ?」


「分からない。恐らく、欠けている感情の回復が必要だ。」


「そうかよ。

俺はお前の掌で転がされてる気分だよ。」


「バカなのか?倫が私の掌に乗るわけがないではないか。」


「お前、それはウケ狙いか?笑いの開花だな。」


「笑えるが、笑わせたい感情はない。

私は真剣に言った。」


「まぁいいや。

疲れたから、部屋でハグな。」


「あぁ。構わないぞ。」


玲夢は、ニコッと笑った。

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