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倫の夢。

倫は、家に帰るとすぐに荷物をまとめだした。

翔太の荷物も、大事そうな物以外は処分した。

家具の大半は、知りあいの業者に処分を依頼した。


「・・・片付いたな。」


「寂しいという感情か?」


「そうだな。翔太・・・あっちで元気にやってるといいな。」


「そうだな。

だか、寂しがる必要はない。

私がそばにいてやる。」

玲夢は、無理に笑顔を作ろうとする。


「今のは、笑えてなかったぞ。

顔がゆがんだだけだった。」


「すまない。まだ、本当に嬉しい時以外は笑えない様だ。」


「玲夢、ありがとな。

俺、ちょっと会社辞めてくるから、

留守番できるか?」


「あぁ、2日間何者も襲ってこなかったんだ、大丈夫だろう。」


「知らない奴が来てもドア開けるなよ。」


「わかっている。留守番は任せろ。」


「じゃあ行ってくる。」


倫は、会社へ向かった。


残された玲夢は、また暇を持て余していた。

「私は倫に何かできないだろうか?

・・・倫・・・。」

玲夢は、知らない間に眠っていた。




「玲夢。玲夢!玲夢さ〜ん!」


玲夢はゆっくり目を開いた。

「すまない。眠っていたのか。」


「荷物もつみ見終わったし、行くぞ。」


玲夢は倫に腕を引かれ、外に出た。

「このトラックはどうしたのだ?」


「買ったんだよ。必要だから。」


「そうか、これからどこに行くのだ?」


「山だ。少し前にキャンプにハマってさ、安かったから買った山があるんだ。

今日、明日くらいはテント暮らしだな。」


「そうか。まぁ任せる。」


二人はトラックに乗り、山に向かった。


途中、しばらく食べられないだろうと、

倫は玲夢と牛丼を食べた。

こうしていると、恋人の様だと、

倫は幸せだと感じた。



「着いたぞ!ここが俺の山だ!すごいだろ!」



「・・・普通の山だな。

ここで暮らせるのか?」


「これから暮らせる様にするんだよ!

お前は、ここでゆっくりしてろ。」


「さっきも眠っていて、何もしないのは良くないと思うのだが?」


「気にすんな!」


倫は、ワクワクしているのか、

無邪気な笑顔で笑った。


倫は、身体強化し、木を根本から抜き、

体を変化させて、木を加工する。

倫の人離れした作業を、玲夢は楽しそうに見ていた。



カァーカァーカァー。

カラスが鳴きながら上空を横切った。


「続きは明日にしたらどうだ?」

倫が気づくと、日が傾き出していた。


「そうだな・・・。

玲夢、さてはお前、腹減っただけだろ?」


「その通りだ。

これから作るのであれば、

急がねば、私の空腹の限界に間に合わないぞ。」


「はいはい。」


倫は、テントを手際良く組み立てると、

料理を始めた。


「いい匂いだ。もうできるか?」


「まだだよ。もうちょっとまってろ。」


「分かった。」


空腹の限界を迎えた玲夢は、

倫の作った丸太のベンチに横たわる。


「倫。」


「何だ?」


「そう言えば、お前はさっきまで何を作っていたのだ?」



「ログハウスだよ!」


「家か。ありがたい。

明日にはできるか?」


「どうかな。

俺、この山で、暮らすのが夢だったんだ。

可愛い嫁と可愛い子供がいて、

俺は毎日畑仕事とか、狩りにいったりとか。あと、鶏育てるだろ〜。

それから、この山は、川もあるんだぜ!魚も育てたいな。」


「楽しそうだな。

私で良ければずっと一緒にいてやるぞ。」


「玲夢、その言葉、忘れるなよ。」


「無論だ。」


倫は、立ち上がり、即席で作ったテーブルに料理を並べる。


「できたぞ!キャンプめしだ!」


「食べてもいいか?」


「あぁ。好きなだけ食べろ。

でも、俺の分は残せよ。」


「ありがとう。」


玲夢は、幸せそうに倫の作った料理を食べた。

二人は、腹も満たされ、ゆっくりと過ごしていた。


「明日には、風呂釜調達行かないとな。

いや〜!忙しいな〜。したい事がありすぎて、ワクワクするぜ!」


楽しそうな倫を見て、

玲夢は笑った。


「あっ!今笑った!」


「そうだな。」


倫は、玲夢が笑うといつも喜ぶ。

玲夢は、それが嬉しいと感じていた。


「そろそろ寝るか。」


「どこで寝るのだ?」


「そこのテントだけど?」


「倫、正気か?このテントは一人用だ。」


「なんとかなるだろ!」

倫は、テントに入り、手を伸ばす。

「何してんだよ。早く入れよ。」

玲夢は仕方なく、テントに入る。


「・・・狭いな。」

「あぁ。」


横向きにならないと二人寝れないテントで、二人はなんとか寝ることにした。


「倫。」


「何だ?」


「お前は何故そっちを向いて寝ているんだ?」


「いや、そっちを向くと色々まずい。」


「こっちを向け。」


ゴソゴソゴソ。

「向いたぞ。」


「それでいい。」


「それだけかよ。」


「何かお望みか?」


「いや・・・今はいい。」


玲夢は、突然、倫に近づき、

キスをした。


「色々と御礼だ。」


「お前、もしかして・・・自分がしたかっただけじゃないのか?」


「否定はしない。」


そう言うと、玲夢は微笑み、目を閉じた。


(こいつ、俺の気も知らないで・・・。)


倫は、明日、絶対にログハウスを

完成させようと誓った。



チュンチュン。

小鳥のさえずりが聞こえる。


玲夢は、目を覚ました。

隣りを見ると、倫がいない。

玲夢は、テントの外に出た。


「いないぞ。」

玲夢は、辺りを見回す。

「私は倫に捨てられたのか?」


玲夢が立ち尽くしていると、

トラックに乗った倫が帰ってきた。


玲夢は、倫に駆け寄った。

「倫、私を置いていくな。

捨てられたのかと思ったぞ。」


「はははっ!捨てないよ。安心しろ。

というか、何度も起こしたぞ俺は!」


「それは・・・申し訳ない。」


「分かればいい。

玲夢、見ろ!風呂だ!」


「・・・倫、これは風呂ではない、

ドラム缶だ。バカなのか?騙されたのか?」


「まぁ見てろ!」


倫は、小さな小屋をド建て、

ドラム缶をセットした。

小屋の裏からは、薪をくべられる様にした。

水は川から引き、風呂はすぐに完成した。


「どうだ!」


「まぁ、風呂と言えば風呂に見えなくもない。」


「入ればわかるさ!」


この日、倫はログハウスも完成させ、

ギリギリ生活できる環境を整えた。


日も暮れだし、倫は風呂の準備をした。


「玲夢、入れ!」


「分かった。のぞくなよ。」


「はいはい。」


倫は、風呂の小屋の外で座っている。


「玲夢、どうだ?」


「風呂だ。以外に快適だぞ。」


「そうだろ、そうだろ。」

倫は満足げに喜ぶ。


壁越しに、倫の気持ちが伝わり、

玲夢は、微笑んでいた。




二人はしばらく平和な日々を過ごした。だが、長くは続かなかった。


「玲夢、玲夢!起きろ!」


「何だ。まだ朝早いでわないか。もう少し眠らせろ。」


「ネックレスが光ってるんだよ!」


玲夢は、起き上がった。


「ネックレス見せろ。」


玲夢は、ネックレスを倫に渡した。


「この前の光と同じだ!」


「光っているな。」


「行ってみるか?翔太の話が正しければ、この光は、レジスタンスが信号を送ってきてる可能性が高いだろ?」


「私はもうどちらでもいい。

お前とここでずっと暮らすのも悪くない。」


「・・・行くぞ。

このままずっとはきっと無理だ。

全部終わらせよう。

・・・玲夢、全部終わったら、

俺とここで暮らしてくれないか?」


「無論だ。

この間、約束したでわないか。」


「約束だぞ。」


「あぁ。約束だ。」


この場所で平凡に、玲夢と暮らす事が、

倫の夢になった。


倫と玲夢は、平凡な幸せを手に入れるために、レジスタンスの元へ向かう。

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