ヴェイセルとセシリーの西方魔王国周遊
――――さぁ~て、今日のテレビは何やってるかな~~。
『セシリーと剣聖ヴェイセルの~西方魔王国周遊旅行~!!』
何気なくテレビをつけてみたら、エストレラ王国が誇る超人気アイドルリポーター・セシリーさんとウチの剣聖がテレビに出ておりました。しかも、西方魔王国!?いつの間に行って来たんだよっ!!
そいえばこの間、西方魔王国名物ジャイアントシュリンプを使ったパエリアやオイル煮、トルティーヤなんかを作ってくれたっけ。
まさかあん時か!?あれ取りに行ってるついでに行って来たのか!?いやついではジャイアントシュリンプの方かもしれんけど。
『本日は案内役として当代西方魔王の婚約者アリーちゃんことアリスデールちゃんが来てくれました!!』
『エストレラ王国の皆様、こんにちは。どうぞアリーって呼んでくださいな』
アリー!?アリーまでいつの間にテレビに!?俺はアリーからもらった赤毛のわふたんを思わずもふっとした。
『今回は西方魔王国名物、ジャイアントシュリンプ料理を用意してくれました!』
『俺が獲って来たジャイアントシュリンプですよ~』
『因みにそのもようをどうぞっ!!』
そこには華麗な網さばきでジャイアントシュリンプを獲るヴェイセルの姿があった。いやマジでロケで獲って来たんかいっ!!!
『ジャイアントシュリンプのパエリア、オイル煮、ジャイアントシュリンプとお野菜を一緒に包んだトルティーヤ、ガーリック炒めにサラダ!う~ん!どれもおいしそう!!』
『そうだね。俺は料理が趣味だからいろんな料理に出会えてわくわくするよ』
いやそこで出会ったジャイアントシュリンプ料理だったんかいっ!!
『う~んっ!ジャイアントシュリンプがぷりっぷりで……おいしぃっ!!』
『さすがはジャイアントシュリンプ!おいしいっ!!』
セシリーとヴェイセルが舌鼓をうつ。
『そうでしょ?西方魔王国ではジャイアントシュリンプが国民の主食とも呼ばれているんですよ』
アリーが告げる。すげぇ……もはや主食級っ!
『お次はスペシャルゲストが来てくれましたよ~!!じゃじゃ~んっ!!!』
『こ……こんにちは。西方魔王国魔王のロードクリストベルタ3世……ベルタと呼んでください』
ま……魔王出てきたっ!!西方魔王国編で名前だけ出て来て、姿は出て来てなかった魔王!!子どもだってことは知ってたけどやっぱかわいらしい子だな。
ベルタくん……いや、陛下はかわいらしく切り揃えられた紫の髪にヴァイオレットのまん丸い瞳を持つかわいらしい男の子だ。服は袖がひらひらとしたトップスにハーパン、ニーハイ……かわいらしい……。まさかあの剣聖っ、それ目当てで行ったのか!?セシリーさんについてったのか!?
……ヴェイセルなら十分あり得る……。
『わぁっ!ベルタ陛下……とってもおかわいらしいです~!!』
『そうですね!』
セシリーさんに対し何故か妙に真面目そうなヴェイセル。
『えっと……かわいらしいって言われるのもいいんですけど。できれば剣聖様のようなかっこよくて強い男になりたくって』
『『ぐはっ!!』』
しかしそのもじもじとしながらもかわいらしいベルタ陛下のはにかみがヴェイセルの急所にクリティカルヒ――――ッツした。さらになしてかセシリーさんにもクリティカルヒ――――――ッツ!!してたけどそれはテレビ的な演出だよね?
『大丈夫!ベルタくんならきっとステキなショ……魔王になれるさっ!!』
いや「くん」呼びでいいのか?陛下なのに。
まぁそれで怒りそうなベルタ陛下じゃないだろうし……本人も嬉しそうだ。
だけど今コイツ、ショタっ子魔王って言いかけなかった?いや絶対言いかけたぞ。化けの皮剥がれかけてるぞ。
『う、嬉しいです!剣聖様にそんな……アリーのためにもぼく、頑張るね!!』
『まぁ!嬉しいわっ!!』
『『がはっ』』
あ……またヴェイセルとセシリーさんの
急所にクリティカルヒ―――――――――ッツ。セシリーさんの方はまた演出だよね?
そんなこんなで進行していく西方魔王国周遊旅行。最後にエンドロールがやって来た。
『皆さ~ん!!是非ステキな魔王陛下とジャイアントシュリンプに会いに西方魔王国に来てくださいね~』
『かわいいベルタくんとジャイアントシュリンプ料理が待ってるよ~っ!!』
いや、ジャイアントシュリンプ料理はともかく、かわいいショタっ子魔王を待っているのは十中八九ヴェイセルだけだ。
『『まったね~~~』』
「クロ~、ジャイアントシュリンプトルティーヤあがったよ~~~っ」
あ、ヴェイセルが呼んでる。
この間のジャイアントシュリンプを使ったのかな?まさかまたベルタ陛下に会いに行ったのでは?……まぁ、いいや。トルティーヤおいひぃ。
※因みに今回のトルティーヤはスペインスタイルではなくメキシコスタイルです。
「あぁ……それにしてもベルタくん、また会いに行ったけどかわいかったなぁ~~~っ!!!」
「いや、やっぱりまた行ってたんかいっ!!」