ヨル殿下と生命の精霊
かわいらしく手をつなぎながらキララちゃんとヨルが祭壇に帰って来た。
「か、か、かしわもち~なのれす~」
本日のふりはキララちゃんお気に入りの甘味処に柏餅を買いに行ったらしい。同行していたコンラートさんの腕には柏餅の入った袋が抱えられている。
「不思議だね。何か前にもこうしてキララちゃんに手をつないでもらっていた気がするなぁ」
「……ヨル殿下……何となく分かった気がするのれす?」
「……?」
どうしたんだろう。キララちゃんはヨルに向き合い、じっと見上げている。
「ううん、ずっと前からその手を取った時からわかっていたのかもしれないのれす?」
「キララちゃん……?」
「受け取って欲しいのれす?私からの気持ちなのれす?」
キララちゃんの手から光の球体が現れ、それがヨルの中へとすぅっと吸い込まれていく……。
「これって……」
「キララの加護なのれす?」
「キララちゃん……嬉しい!」
ヨルはキララちゃんをそっと抱きしめる。
「大好きだよ、ずっとずっと知ってる……きっとぼくの手を取ってくれた時からだと思う。……そして今も」
ヨルにはきっと始まりの記憶はない気がするけどそれでも魂が知っているのかもしれない。キララちゃんがヨルの魂を掬い上げる時に力を貸してくれたあの始まりの記憶を……。
「はわわっ!キララもなのれす~」
「こりゃ、めでてぇな」
「ほんとねぇ~」
「キララちゃんもヨル殿下もかわいい~」
と続々とクォーツ祭壇の面々が集まり祝福の拍手が飛び交う。
「う……ロータも!」
そこへロータが顕現し、ヨルのズボンのすそをちょいちょいしている。
「ロータも……くれるの?」
「う!」
ヨルがロータを抱き上げるとロータから発せられた光がヨルの中へ吸収されていく。
「おめでたいのれす?」
「う!」
キララちゃんに加えて、ロータまで。
思えばどちらもヨルに縁の深い精霊たちだもんなぁ。
「クロ、クロ!リヴィも」
「リヴィも……くれるの?」
俺はかわいらしく俺の脚をつんつんしてくれるリヴィを抱き上げる。
「シズメさま」
「ん……我もリヴィも、クロと一緒」
シズメさまも歓迎してくれるらしい。リヴィから発せられた光が同じように俺の中へと吸収されていく。精霊フレンズに登録されているからもう祝福は得ているんだけど。
それでも……。
「嬉しい!」
「う!リヴィも!」
そんなおめでたい俺たち双子の精霊たちからの加護に、皆の拍手喝さいが起こる。そして早速祝福パーティーに移行していったのはさすがはクォーツと言うところだろう。




