もうひとりの召喚者と森の精ろざってぃ支部隊
――――side:ゼン
クロ殿下は顔をぱあぁぁっっと輝かせ、現れた3にんの森の精のうちのひとりを抱き上げる。猫耳しっぽのおんなのこだ。
「クロ殿下お兄ちゃまなのれす?」
「そだよ~。こんにちは。君たちは森の精ろざりあていと支部隊?」
「なのれす~。略して森の精ろざってぃ支部隊なのれす?」
ろ……ろざってぃ?ちょっとかわいらしいな。
「何だ、森の精か?」
ディートハルト殿下もこちらへ駆け寄って来ると、足元にいたたぬきのような耳にしっぽの男の子を抱き上げる。
「うん……なかなかかわいいな」
「だっこ~なのれす~」
……と残った男の子が俺に向かって両手を伸ばしている。ロップイヤーのような耳が頭上から生えており、うさぎのしっぽが後ろからひょっこりと覗いている。
俺でいいのか……?まぁご要望に応えて抱き上げると満足してくれたようで、ぴたっとくっついてきた。
「……たれみみのうさぎさんなのれす?」
男の子は俺が首から下げているロップイヤーウサちゃんを掲げて嬉しそうにしている。
「あの……クロ殿下、この子たちは一体……」
三つ子……?種族色がすごい豊かなんだけど。
「森の精です。3にん合わさると森の精霊になるんです」
せ……精霊。初めて会ったな。まさか本当に会える日が来るとは驚きだ。
「それにしてもゼンさんが君たちの番人なの?」
「なのれす~!ずっと探してたけど、なかなかあえなかったのれす?」
猫耳しっぽの女の子。
「でもクロ殿下お兄ちゃまぱわーであえたのれす」
たぬたん耳しっぽの男の子。
「よくわからないけど会えてよかったね」
とクロ殿下。
「よかったのれす~。いちどあえたから森の精はいつでもあえるのれす?」
とロップイヤーウサ耳しっぽの男の子。
「……俺は影が薄いから」
俺が声をかけないと中々見つけられないかも。
「森の精のみらくるぱわー。森の番人さんせっていするといつでもどこでも一緒なのれす?」
「……」
つまり俺の気配隠匿は効かないってことか。
「だけど森の番人って何?」
確かにジョブは番人だけど、このこたちの番人って意味だったのか?
「森の精のお世話をしたり一緒に遊んだり、お菓子を作ってあげたり。それから隊服を作ってあげたり、バッヂを作ってあげたりワンポイントアイテムを作ってあげたり……名前を付けてあげたり……ですかね?」
クロ殿下が教えてくれる。
「隊服はもう着ているので、次はバッヂですよ」
「バッヂって……?」
「幼稚園バッヂです。デザインはロザリアならではで大丈夫です」
「ならではって……」
しかも幼稚園バッヂ……?それって日本でおなじみのあれだろうか?そう言えばクロ殿下はランベルト様と同じ転生者だと聞いたことがある。
「ロザリアと言えば花だが」
とディートハルト殿下。
「そうだね。バラとか、タンポポとか」
シロナも頷く。ロザリア帝国には花が多くてバラ庭園は当たり前のこと、いたるところに花壇があり色とりどりの花が咲き誇っている。道端のたんぽぽですら大切にされているのだ。
「花に因んでちょうちょとかどうです?」
ヒメナが告げる。
「あぁ、かわいくていいんじゃないか?」
ディートハルト殿下が答える。
「ちょうちょさんなのれす~」
と猫耳しっぽの女の子。
『ちょうちょさんなのれす~』
そしてさんにんで合唱する。
「ちょうちょさんが気に入ったのか……?」
「それじゃ、このこたちのバッヂはちょうちょさんだね。次は名前かな……?」
とクロ殿下がナビゲートしてくれる。
「名前……?」
「わたちたちのおなまえつけるの、森の番人さんのお役目なのれす?」
猫耳しっぽの女の子が告げる。
「でも名前なんてどうしたら……」
ロザリア帝国のヨーロッパ風の名前を付ければいいのか……?
「えっとじゃぁ……」
「シナモン」
猫耳しっぽの女の子。
「しなもんなのれす~」
「フォカッチャ」
たぬき耳しっぽの男の子。
「ふぉかちゃなのれす~」
「カヌレ」
ロップイヤー耳、しっぽの男の子。
「かぬれなのれす~」
あ……これ、今朝パン屋で頼んだパンだ。因みにシナモンはシナモンロール。だけどほんにんたちが喜んでるからいいよな……?
「あ……そうだ。困ったことがあったらロザリア大祭壇の木の精霊に相談するといいですよ」
「木の精霊に……」
「ふん……今度行ってみるといい。森の精に愛されたのなら歓迎されるだろう」
そうだな。ランベルト様が大祭壇を改革したって言うし今度行ってみるのも良いのかもしれない。
――――その後ランベルト様に森の精たちを紹介したところ、一瞬驚いた顔をしてすぐに苦笑しておられた。任務の時以外は近くにいても構わないとも仰ってくれた。そして執務の傍らロップイヤーウサ耳しっぽのカヌレにちょっと目線がちらちら言っている。やっぱりロップイヤーウサ耳しっぽが好きなんだろうか。
そしてカヌレが俺が首から下げているロップイヤーウサちゃんを欲しがったので試しに持たせてみるとシナモンとフォカッチャからもねだられた。えと、猫さんマスコットとたぬたんマスコットを作ればいいのか?こう言うのならぎり作れそうかも。
そしてこの世界では精霊は歓迎するものだから、特段危険な任務でない場合は俺の周りで遊んでいたとして咎める者もいないそうだ。
それにどうしてもそばを離れなくてはいけない場合はランベルト様の奥方シャルロッテ様に預けることにしている。
森の精たちもシャルロッテ様には懐いているので特に問題はなさそうだった。さらにロザリア大祭壇に遊びに行ってみたら、木の精霊ハスキさんに大歓迎されてしまった。
暫くしてヒメナからエストレラでの同窓会の招待状を受け取り、俺は頬をほころばせたのだった。




