各国の冒険者ギルド
――――イェーイ、今回の話題は各国の冒険者ギルド~~!
「そう言うわけでヴェイセル」
「おっけー、クロ」
ヴェイセルはキャベツと豚肉中心の蒸し野菜料理を作っている。
因みに俺はその隣でワッフルを焼いている。甘さ控えめの朝食用のワッフルである。
「南部魔族同盟でさ、冒険者のリンさんに会ったじゃん」
「うん」
南部魔族同盟で出会った冒険者のリンさんは人族であった。
そして南部クォーツ祭壇でポーションの納品に来ていたエジュさんは南部魔族同盟ではほぼ見かけないエストレラ系の竜人族だった。
その後も南部魔族同盟の一件で知り合ったエジュさんとはたまにメールを交わしている。そしねリンさんたちと冒険者パーティーとして活躍しているのだ。
「SS級冒険者のサウメさんって北部魔王国出身じゃん」
「うん、そだね~」
SS級冒険者のサウメさんは魔族の女性で北部魔王国出身、かわいい女の子が大好きな美人のお姉さんである。
自身もSS級冒険者のヴェイセルはもちろん同じSS級冒険者の彼女とは親しい。
「それでさ、思ったんだけどね」
「……ん?」
「魔王国にも……冒険者ギルドってあるの……?」
南部魔王国を中心とした南部魔族同盟で冒険者をしているリンさん、エジュさんたち。
そして北部魔王国出身の魔族の冒険者であるサウメさん……ということは彼女たちはどこかで冒険者登録をしているわけで。
「うん、普通に~」
「今までその兆候はあったんだけど、マジで、あるの!?」
「あるある~!有名なのは南部魔族同盟だね」
「まさかの南部魔王国中心の南部魔族同盟!?」
南部魔王国はその名の通り、南部魔王が治める魔族の国である。彼らの容姿はエストレラ王国のクォーツ州ラズーリ領に多い魔人族にそっくりではあるのだが……。
「そうそう。あそこは魔族以外にも人族系の種族がいるからね~」
「あぁ……山猫族や鳥人族だよね」
南部魔族同盟で出会ったマヌルにゃんこ風&ツシマヤマネコにゃんこ風のケモ耳しっぽを持つ山猫族は南部魔王国のある本島で暮らしている。
そして不思議な羽耳と背中に翼を持つ鳥人族はその周辺の離島で暮らしており、背中に翼をもつので本島との行き来も容易なのである。
スピードの速いひとたちならマッハで本島に駆けつけることができる。
「そゆこと~。主に南部クォーツ祭壇が臨時の冒険者ギルドを兼ねてるけど一応南部魔王国にも本部があるよ~。人族系の冒険者の中では噂で巡ってんだけど~……シルヴァリー共和国なんかは魔族の冒険者もいるからね。そことやりとりしてるよ~。最近はウチのエストレラ王国とか他の人族系の国の冒険者ギルドとも交流しだしたし~」
確かに……地方では祭壇が冒険者ギルドの臨時支部を兼ねることもある。南部クォーツ祭壇は南部魔族同盟内の伝達業務も兼ねているから、冒険者ギルドを兼ねているとしても不思議ではない。
そしてシルヴァリー共和国には魔族のひともおり街中を歩いていても見かけることができる。あそこで冒険者登録をする魔族のひとたちも普通にいるってことか。
「いや……驚きなんだけど。まぁ人族系も住んでるけどまさかの南部魔王国内に……」
魔王の直轄地にあるとは……驚きだ。
「ウチの父さんがね~、別荘建てるついでに作った」
「はあああぁぁぁっっ!!?まさかのクォーツ公爵!?」
南部魔王国内にはまさかのクォーツ公爵の別荘があるのだ。俺たちが南部魔王国に遊びに行った時もそちらに滞在したのだが、ギルドまで建てるとは恐るべし。
「そうそう、その方が便利ってんでね。それで南部魔王国ギルド本部には魔族の冒険者も多く登録してるよ~」
「てことは、サウメさんも?」
そこで登録したのかな……?
「いや、彼女はシルヴァリー共和国で登録してるはず。最近は各魔王国の依頼もこなしてるけどね」
「そうだったんだ……他の魔王国はどうなの?」
「東方魔王国は俺やサウメさん……南部魔王国に依頼を出していたらしいんだけど。南部連合王国と国交を結んだことで、東方魔王国内にもできて魔族の冒険者も増えて……南部連合王国でも活躍してるんだって。主にスバルが雇ってたんだけど……魔族の冒険者って力が桁違いだから。そのほかの地方でも引っ張りだこだって」
スバルが率先して東方魔王国の冒険者を雇っているのか。スバルの領地はダンジョン都市としても発展しているから魔族のひとたちも挑みに行けそうだしね。
「南部連合王国の冒険者の仕事を取り合いになったりしないの?」
元々南部連合王国にも冒険者がいるからなぁ……それもほとんどがダンジョン都市のあるスバルが治める小領地がある青嵐県に集まっているだろう。
「いや、主にスバルが大体請け負っていたSS級冒険者の仕事を割り振っているだけだから大丈夫だよ?あと青嵐県のダンジョン都市に訪れてくれる分には青嵐県に冒険者が集まるだけだから儲かって儲かって万々歳」
そうして青嵐県はより一層発展していく。スバル、やっぱりすごいなぁ……。
「あれ、ソーマさんは?」
南部連合王国にはスバルの他にソーマさんと言うSS級冒険者がいる。ソーマさんはエストレラ系竜人族とは違う南部連合王国の竜の里出身の竜人族だ。
「ソーマさんはやる気が無いと受けないからほぼスバルに来るよ。キツければ俺が手伝ってたけど」
うおぉ……やる気ねぇ。まさかのスバル一強かよ。そして手伝うのはヴェイセルと言う……。
一応ヴェイセルは俺の騎士なのでできればソーマさんに頑張ってほしいんだけど。
因みにソーマさんはシルヴァリー共和国の竜人族がらみなら多分率先して動く。
シルヴァリー共和国の竜人族がらみで竜の里の戦士たちが貶されるのは我慢ならないらしいから。
「マジか~……領主と王子兼任してるのに南部連合王国のSS級冒険者の依頼まで請け負ってたのか……」
さすがは正統派チート転生王子主人公だ。苦労してんなぁ~。
「ま、これからは楽になるだろうね」
「そだな。あと、北部魔王国と西方魔王国は?」
あの2国は長年鎖国しており、最近他国との国交を再開したから冒険者ギルドはなかったはずだけど。
「北部魔王国はサウメさんと東方魔王国ギルドが中心となって、新たにギルドを作っているらしくって……依頼を請け負うのは大体魔族の冒険者だけどこれからは人族系、魔族系関係なく交流を勧めていくつもりらしいよ」
「へぇ……これからが楽しみだね」
北部魔王国は南部連合王国の北方、そして東方魔王国は南部連合王国の東北・東方に位置するからこの2つの魔王国も割と距離が近いのだ。
「そうそう。それで西方魔王国もギルドを作ったんだって。ロザリア帝国の冒険者ギルド、エストレラ王国クォーツ州ラズーリ領の冒険者ギルド、シルヴァリー共和国の冒険者ギルドとも交流を進めてるらしい」
西方魔王国はロザリア帝国の西部。そしてエストレラ王国クォーツ州ラズーリ領ともロザリア帝国を介していくことができる。
またシルヴァリー共和国は西方魔王国の南東あたりに位置する。もともと西方魔王国とシルヴァリー共和国だけは鎖国時代も交流があったらしいしなぁ……。
「へぇ……魔族系も人族系もどんどん仲良くなっていきそう」
「うん、そだよね~」
なんだか異世界ファンタジーの人族と魔族のセオリーな系譜がめちゃくちゃになってるけれど皆仲良しなら……多分、いいよね?
めでたし、めでたしって感じかなぁ……?




