ソードさんの正体②
――――さて、今回はソードさんに関して伏線大回収祭Vol2だ!
「で、結局ソードさんって何者だったの?ヴェイセル」
「ん……?あぁ……それは俺も知らないんだ、クロ」
「しかし……西部動乱編で派手に伏線噛ませといて未だに謎が明らかになっておりません」
と、紅消。
「あと閑話の暗部の暗躍の伏線も明らかになっていません」
「そうなんだよ、紅消。……ってその話は俺たちは知らない設定になっているはずだけど」
「伏線大回収祭なので何でもありな設定なのです」
「え……何その設定……いくら何でもいいのか!?お言葉に甘えてしまって、いいのか!?」
「いいじゃん、いいじゃん、お祭りなんだし~」
あぁ……そだね。クォーツっ子のノリって感じで、いいよね。
「う~ん……それにしても、ソードさんの秘密ね。
ウチの父さんに聞いてみる?」
「まぁ、ヴェイセルの父親であるクォーツ公爵……いや今は俺にとってもフィーア義父さんの騎士だしなぁ……」
「それじゃ、早速ゲートをつなげようか」
「居場所わかるの?」
「まぁ、一応息子だからね」
――――ゲートの先
「やぁ、君たち。いきなりどうしたんだい?」
ヴェイセルのゲートを抜けるとクォーツ公爵……フィーア義父さんはベッドから起き上がったところだったらしい。
……寝てたんすか?今、朝の11時っすっけど。
「あ、ごめんなさい。起きがけに」
「いやいや、構わないよ」
「ちょっと父さんに聞きたいことがあってね?」
「何だい、ヴェイセル」
「ソードさんって……結局何者なの?」
「そんなに気になるのかい?」
フィーア義父さんの声とは違う艶のある独特の声……!この声は……。
「ぎゃああぁぁぁっっ!!ソードさん!!」
妖艶な笑みを浮かべる竜人族の男性ソードさんがいつの間にか背後に立っていた――――っ!!
「それじゃぁ特別に見せてあげるねぇ~?」
え……っ、何だろう……?
ソードさんが途端に瞳を閉じる……。あぁ……まつ毛長いな。やっぱり竜人族は男女問わず美人だ……
って……。
段々とソードさんの竜人族角が歪んでパッと消えたと思えば額から2本の黒い大鬼角が伸びてくる。
え……?俺は目を疑った。竜人族のしっぽも消えていく。翼は元々背中に収納していたので元々見えていない。
「えええぇぇぇぇっっ!!?ソードさんって大鬼族だったの!?」
「まぁね。竜人族だけれど大鬼化もできるんだ。そう言えば紅花と知り合ったのもこれが原因だったかな……?同じ大鬼族ってことで仲良くなったんだよねぇ。今じゃぁなんだかんだあって腐れ縁だけど」
てか、ソードさんの主の嫁さんになってますよね。
紅花さんはソードさんと婚約して結婚前にソードさんが逃げられた元妻……と言うか、妻になっていない。……が、ふたりには子どもがいて、それがカンナギ公爵の竜人族であるヤタさん。
そしてソードさんと別れた紅花さんはその後ソードさんの主であるフィーア義父さんの妻のひとりになったのだ。
そしてその紅花さんとフィーア義父さんの息子がウチのヴェイセルだ。
因みに紅花さんは常に大鬼族の角を額に生やしている大鬼族の先祖返り。……とはいってもサイズは人族の女性と同じである。
※古の大鬼族はとっても大きいのだっ!
ウチのヴェイセルも大鬼化はできるがソードさんとヴェイセルに血のつながりはない。ふたりとも大鬼化ができる以上大鬼族の子孫なわけで辿っていったらつながりはあるんだろうけど。
それにしても竜人族から大鬼族になれるとは。ウチのエル兄さんもだけど他にもいたんだ。いや暗部に竜人族のひとがいれば、暗部副長官でもあるエル兄さんと同じように竜人族から大鬼族の姿に変化するようだ。
「あ、でもエル兄さんみたいに色は変わらないんだね」
「おや?」
「ふふふっ」
え……?ソードさんとフィーア義父さんが唖然として、そして含んだような笑みを見せる。
「どしたの?」
「いや……その……クロ」
「クロ殿下……それはナイショです」
と、ヴェイセルといつの間にかいた紅消。
「あ……っ!しまった……今のは……」
「大丈夫だよ。父親なのだから、事情は知っているに決まっているだろう?エルが副長官であることは知っているよ」
あ……そうだよね……。
フィーア義父さんはエル兄さんの実の父親なのだ。
※因みに俺はエル兄さんの異父弟、ヴェイセルはエル兄さんの異母弟。
「あ……そうか……ごめんなさい……つい」
「ふふ、面白いから今度エルに話してあげる」
「いや……それは……その……っ」
「別に怒らないと思うよ?」
「そうだけど……あれ?てことはソードさんも知ってたの?」
「うん、俺は愛しの主フィーアに関わることは何でも知ってるからね」
「はい!俺も愛しの主クロのことは何でも知ってます!!」
こ……このひとら……血のつながりがないってのが本当に信じられないのだが。
「フィーアのところにならいついつどこまでも付きまとうからね」
「俺もクロのところにならいついつどこまでも付きまとうからね」
うわぁ……言ってることほぼ同じなんすけど、この変態ども。フィーア義父さんは自分の騎士の変態発言に対して、どう反応するのだろう……?ちょっと気になるな……。
「うん、いいよ~。ソード」
「えええぇぇぇぇっっ!?難なく受け入れた!?いいの!?それで!」
「ふふふ。嬉しいよ、我が愛しの主フィーア」
「ほら、クロも……っ!」
「何を期待しているのかわからないけど……後でアリスに言いつける」
俺の嫁兼ヴェイセル対策にも頼りになるヴェイセルの異母妹。
「ぐはっ」
よし、一撃入ったな。
「それにねぇ……ソードはぼくに付きまとっても、大丈夫なんだよ」
息子を見て笑いをこらえながら、フィーア義父さんはそう告げた。
「……?どう言うこと?それ」
「いいから見てて」
と、言われても……。
ソードさん、またもやフィーア義父さんの方を見てその美しい顔からよだれ垂らしているんだけど。この変態は倫理道徳的に放っておいていいんだろうか。
「ソード……」
「また、抜け駆けするかぁっ!この変態めっ!」
「天誅じゃぁっ!」
あ……紅花さん、トンでも勇者サラさん。……そしてウチの母女王陛下コーラルディーナ。
いや……母さんまで来て何やってんの。
因みに紅花さんとサラさんは現役のフィーア義父さんの妻で、ウチの母さんはエル兄さんを産んでから別れたのだとか。
その後フィーア義父さんを王配に迎えなかった。(フィーア義父さんには他にも奥さんがいたし、他の子と結婚できないというトンでも理由で断ったらしい)そして政略結婚を結ぶことになったソードさんに振られそれを根に持っている……。
ウチの母さんはフィーア義父さんの正式な妻ではないが、クォーツ公爵夫人会に所属しており所属しているご婦人方で一緒に打倒ソードさんを掲げる仲間である。
『覚悟ぉ――――っ!!』
「おっと、まずいまずい。それじゃぁねっ!」
と言うとソードさんがまたどこかへ転移する。
『逃げやがった――――っ!!!』
クォーツ公爵夫人会一同。
「ははは、賑やかだろう?」
そしてそれを涼しい顔で見やるフィーア義父さん。でもこのひともきっと……遊んでる!ソードさんで遊んでる!
「なるほど……良くわかりました」
「紅消?何がわかったの?」
「つまりは、クロ殿下の同じ従者である私がヴェイセルに天誅を加えればいいのです。とても良い勉強になりました」
へ……?
「……と言うことで……覚悟ぉ……――っ!!!」
紅消がヴェイセルに暗部感MAXでクナイで切りかかる。
「うぉわっ!紅消さんったらいきなりぃっ!?」
それを難なく聖剣で受け止めるヴェイセル。まぁ抜いたとこ見えなかったし、アイツは正真正銘剣聖なわけだが。
あぁ……今日も仲良くじゃれ合ってるなぁ。それとも俺がフィーア義父さんのようにヴェイセルで遊べばいいの?
「そうだ……クロ殿下、こっちおいで」
何だろう?フィーア義父さんが手招きしている?互いにじゃれ合っているヴェイセルと紅消。
それを楽しそうに応援している母たちを尻目に俺はフィーア義父さんに近寄る。
「ふふふ、教えてあげる。ソードっていうのはね……コードネームなんだよ」
え、コードネーム……?
「ヨシュアにはナイショだよ?」
何でここでウチの父さんが出てくるんだろう……?フィーア義父さんとウチの父さんは仲良しだけども……。
「あ……クロ殿下はまだ知らないのか……危ない、危ない」
「え……?何のこと……?」
てか伏線大回収祭で伏線持たせないで~~~っ!!!
※クロ殿下がそう思っているだけで、皆さまのご想像の通りでございます
あれ……?
今、変なテロップでなかった?
まぁ……いいか。それにしても……コードネーム……?コードネームと言えば暗部の皆さんには本名の他にコードネームがある。
まさかソードさんって暗部……なのか?
でもフィーア義父さんの騎士だ。いやそれを言うなら紅消だって俺のお世話係なわけで。しかも暗部隊員は大鬼族ばかり。俺が知っている暗部隊員も全員大鬼化ができるのだ。
……ヴェイセルは違うけれどね。
あ、でも俺も少しヴェイセルで遊んでみようかな……?
「ヴェイセル~、そこにアーサーさんがいるぞ~」
と、言った途端……。
「うげっ」
ヴェイセルが硬直し、その瞬間に紅消の渾身の一撃がヴェイセルの腹に入った。
※アーサーさんは、ヴェイセルをも慄かせるクォーツ公爵子息令嬢兄弟姉妹の長男で最恐のお兄さんなのだ。
「そ……そんな……っ!クロ……っ!?」
「ふん……っ!よそ見するからだ」
ぺっと吐き捨てる紅消。……と言ってもヴェイセルはぴんぴんしているがそれでも精神的なダメージは受けたようだ。
「冗談♪」
「うん……すぐわかった――――」
伊達に俺の騎士を長年しているわけじゃないなぁ……。
「ふ、ふふ、いいから。今日の勝負は紅消の勝ちってことで帰ろうか」
「うえぇ~、紅消さんに負けたぁ~」
「ふん、これが実力差だ」
「えぇ~?」
そう言いながらも、ふたりは息の合っているなぁと改めて思うのだ。
「また遊びに来てね~」
「じゃぁね~」
と手を振ってくれるサラさんと紅花さん。それにしれっと混じっている母さん。
「あと、母さん。エリック父さんに連絡しとくからね」
多分、今頃城を抜け出した母さんを探し回っているに違いない。
「え……っ!?ちょ……っ!?クロ!?あ、あと、15分だけ!15分だけだから~。連絡しないで~」
「ん~それなら……」
「今、お茶しながら昔、クロに女装させた写真の鑑賞会をしてたのよ。因みにクロがふりふりドレスで、ヨルはミニタキシードよ☆」
「あ、エリック父さん?母さんの居場所だけどね」
すぐさまエリック父さんに通報。
「いやああああぁぁぁぁっっ」
女王陛下、すぐさま王城に連れて帰らされる。因みにヴェイセルにゲートを出してもらい、王城にゲートをつないでもらった。ゲートの先には妙に笑顔のエリック父さんと宰相のローウェンさんが立っていた。
「あと、俺とヨルの写真は没収っ!!」
「そんにゃぁっ!!」
「ネコみたいになっても、めっ!!」
……と言うわけで、母さんの策謀の悲しき産物は無事阻止できた。
そしてクォーツ祭壇に帰り写真をどうしようか、ヴェイセルの魔の手から必死に守ろうとしていた時……目の前に本性のふわもふシズメさまと黒狼わふたん精霊のキララちゃんが現れた。
「クロの写真……!」
「ヨル殿下のお写真なのれす?」
うぐあああああぁぁぁぁっっ!!!ふたりからそんな風に頼まれたら……。
こ……断れない……。断れるはずがあろうか……。
そうして悲しいことに俺とヨルのふりふりドレス&タキシード写真がシズメさまの祭室に見事、仲間入りしたのであった……。




