王都エステラ冒険者ギルド
――――せっかくなのでまだ行ってない場所に行ってみようか!
「ねぇ、ヴェイセル。そういやさ、王都エステラの冒険者ギルドにまだ行ってないよ?」
「うん……?そう言えばクロを連れて行ったこと無かったね」
「ちょっと行ってみたいんだけど!」
ツッコミどころ満載のこの世界だ。王都エステラの冒険者ギルドは気になるなぁ……!
「ついておいで」
「うん」
ヴェイセルについて、てくてくてく……。
「こ……ここは……」
「王都エステラの冒険者ギルド」
「……」
目の前にあるのは……目の前にあるのは……っ!?
「奉行所じゃねぇかっ!!」
「ね~、ウケるでしょ。でも雪国だから屋根は瓦じゃなくって、トタン屋根だよ」
「あ、本当だ!瓦に見えるように見せかけたトタン屋根!!」
因みに瓦屋根は小国連合で見ることができる。
「さて、入ろうか」
「お奉行様とかいないよね?」
「いるよ?ほら、あそこ」
「……え?」
そこには時代劇に出て来そうな格好の女性が立っている。但し髪型は時代劇風ではない。ツインテールだ。桃色の髪の低めのツインテール。
年齢は30代くらいだろうか。それにしても肌もきれいでつやっつや。そしてお奉行スタイルの着物の後ろからは桃色のふわもふわふたんしっぽが覗いている。狼種の獣人族なのかな……?
あれぞうつくしすぎる奉行!!
「お~い、ギルド長~」
ヴェイセルがお奉行様に向かって腕を振る。てかギルド長かよっ!
「これはこれは……剣聖ヴェイセル殿。そちらはクロ殿下であらせられますね」
「あ……はい、どうも」
きりっとしていてかっこいいひとだな。
「別名、お奉行様」
「何故かはわからないが、剣聖殿がどうしても愛称にしたいと聞かなくてな」
いや、ヴェイセルが提案したんかいっ!!気持ちはわかるけどね!?
「今日は見学にきました」
「そうか、では滞在を楽しんでくれ」
「うん、ありがと」
「お邪魔します」
早速お奉行様に挨拶をし奉行所……いや、ギルドの中にれっつらご~~~っ。
「奉行所の中は土足厳禁だよ。ロッカーはあっちね」
「へぇ……マジで奉行所みたい」
中は和風建築で、二重窓や厚めの扉などがある雪国仕様だ。各部屋を覗いてみたのだが、畳の上に正座をしているギルド嬢……いや奉行嬢、お兄さんの対応順番を待つ畳に不似合いな冒険者たちを見た。
「ヴェイセル……あれは……その……」
「騒いだらであえ~、であえ~ってなるから皆、大人しくしてるんだよ~」
そこも時代劇かいっ!!
「あっちが買取所」
買取り所は風呂敷の上に採集した素材などを並べて鑑定していた。
「あっちがポーション売り場」
ポーション売り場は和風なお薬屋さんみたいな感じだった。
「あっちが売店。お奉行わふたんが売ってるよ」
「わぁっ!ほんとだ!」
そこにはお奉行帽子をかぶった桃色わふたんが陳列されていた。
「お奉行様は黒狼族系の獣人族だからね」
「黒狼族系……?」
「うん、毛並みは桃色だけどお耳は黒狼族の女性と同じくたれ耳の狼耳だよ!」
な……なんと……!ではあのお奉行帽子の下にたれ耳のわふたんお耳が!
因みにわふたんぬいぐるみにもお帽子の下にちょこんとたれ耳が見える。
「この子、ください」
何のためらいもなくお奉行わふたんを購入。ついでにその購入したわふたんとの写真をお願いされ、その写真は売店に飾られることとなった。
その後、奉行所のお庭で再びお奉行様に出会い、俺がお奉行わふたんぬいぐるみを抱っこしているのを見たお奉行様は頬を赤らめて微笑んでくれた。やっぱり美しすぎるお奉行様っ!!!
――――帰り道。
「今度、王都エステラの冒険者ギルドでもクエスト受けてみる……?」
「いや……それは、いつも通りクォーツでいいや」
だって、お奉行様やお奉行わふたんには会いに行きたいけど、順番が来るまで正座できる自信ないもん。




