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SS:北部魔王王配


――――そう言えば……まだ会ったことのないひとがいる。


「北部魔王王配にまだ会ったことないよね?」

「そうだったっけ。俺は前にシルヴァリーで会ったよ」

と、ヴェイセル。


「どんなひとなの?」

「う~んあのやかましトリオを一つに集約した的な?」

そのやかましトリオと言うのは、クロムの精霊インさん、ニッケルの精霊グェイさん、モリブデンの精霊シュエイさんたち……チームクロム族のことだ。


「それは独特そうなひとだね」

「それじゃぁ、俺の回想見てみる?空間魔法モニターで出るよ~」

「おぉ……便利っ!」


――――――ヴェイセルの回想視聴中


「ウェ~イ!ユーの赤髪、ひょっとしてウ・ワ・サの赤髪のソードホーリー!ゥウェイッッッッ!!」

シルヴァリー共和国でカレーを食べていた剣聖ヴェイセルとサウメの前に現れたその男は、反り返った金髪にグラサンを頭の上にかけ、白く短い歪んだ魔族の角を持つ褐色の肌のチャラオ風なおっさんだった。


「誰?てか俺、ユーが何言ってんのかわかんないYO、ウェイッ」

「いやあんたも何言ってんの?ヴェイセル」

サウメが頭を抱える。

「うぉっとぅっ!こりゃ手厳しぃねぇヴェリヴェリハーディッシュラディッシュだねぇ!」


「ヴェイセル、このひとは北部魔王国の元王配のガトウさんよ」

サウメが無視して解説を進める。

「例の噂の……?で、一体ここに何をしに?」

「俺は言わずと知れた情報通……」


「いきなり普通の喋り方になった」

「情報を渡すときだけはね。じゃないとわからないでしょ?肝心の情報が」

「あぁ、そゆこと」


「サウメちゃぁ~んっ!情報もてきたYO!ウェイッ!!」


「あら、何か頼んでいたっけ」

「んもう、そんなつれないとこも超やばっしょ――――っっ!…………ふ……っ!今度の依頼のモンスターのステータスだぜ」


「また突然真面目な情報屋モードだ」

「ま、こんな奴だけど役には立つから。あぁ、情報ありがと。もらっとくわ」

と、サウメがガトウからメモを受け取る。


「よろしくねぇ~、赤髪のソードホーリーっ!!

イェイ!今赤髪のソードホーリーとナウっ!」

「いや、赤髪の剣聖でお願いします、ナウ」


――――回想終わり


「……ほんとだ」

「……でしょ?」



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