レベル9999の秘訣
――――せっかくの伏線大回収祭。疑問に思っていたことを聞いてみようと思う。
「そういやさぁ……ヴェイセル」
「なぁに?クロ」
「ヴェイセルってどうやってレベル9999まで行ったんだ?」
「あぁそれね~。ある程度までは西部辺境で底上げしたけど」
あぁ……あの中にいると自然とレベル1000以上になるよな。
「その後はひたすらロリショタポイントをためたんだっ!」
「……」
「クロ、どしたの?そんな蔑むような目を向けて。お兄さんゾクゾクしちゃう」
「うおあぁぁっ!やめろっ!キショい!!!」
「ひどいなぁ~っ」
「てか、それはマジなの?冗談なの?」
「マジだよ?俺専用のレベル上げチート……ロリショタポイント!!」
「意味がわからないし。そんな最低なチートがあったなんて……」
「そんな剣聖ヴェイセルの強さの秘密を知りたいクロには特別にこれを贈呈しちゃおうっ!」
「え……何?本……?」
「『剣聖ヴェイセルの冒険』第389巻。最新刊だよ」
「……え?何その本。出版してるの!?てか第389巻って何!?老舗長期連載漫画もびっくりだよっ!」
「クロには特別に……全巻あげちゃうっ!」
「……因みに……どんな内容なの?」
「俺の……ロリショタっ子との健全なる冒険の日々をまとめたエッセイ」
「いや、ロリショタっ子とか言ってる時点で健全じゃねぇだろっ!単なるヴェイセルの変態妄想をまとめた変態エッセイだろ、それ!絶対いらないっ!嫌な予感しかしない!」
「えぇ~~~っ!エステラ大祭壇にも寄贈しているのに……」
「は……?エステラ大祭壇に!?よくサイカ大司祭様に怒られないな!」
サイカ大司祭さまはエステラ大祭壇の最高責任者で、常ににこにこ爽やかなのにその微笑みは最恐と謳われる大司祭様である。サイカ司祭様にかかればこの変態剣聖ヴェイセルも一瞬にして大人しくなるのだ。
「これがあると太陽の精霊のコウリンさまが大人しくなるんだって、サイカ大司祭様にも大好評!」
「愛読者イタ――――っ!!!そいえばコウリンさん……ハーパンっ子好きだったな……」
太陽の精霊コウリンさんは世界中から崇められる光の大精霊のくせに、対の精霊である月の精霊アンエイさんの逞しい胸筋とハーパンを穿いたロリショタっ子……つまりはハーパンっ子が大好きな変態美精霊だ。
「冒険者や騎士を目指すひとにも現役冒険者や騎士にもとっても人気なんだよ?」
「ええええぇぇぇっ!!?嘘だろ!?」
「こないだなんて、ディート殿下の従者のイェリクさんからサインを求められちゃって~」
「あぁ……そういや、あのひともお前のお仲間だったな……」
ロザリア帝国第4皇子のツンデレ美少年ディートことディートハルトの従者であるイェリクさんは、ディートに対してロリショタ萌えを起こし、よく鼻血を出している残念な美青年である。
「これを読めば剣聖ヴェイセルの強さの秘訣がわかる!更に強くなれるんだよ?必読だよ?」
「いや……いいよ。ろくなことが書いてない気がする。それにヴェイセル自身が俺の騎士としてずっと傍に控えていてくれるなら必要ないじゃん……?」
「クロ、それって一生付きまとっていいって言う……こと!?」
「ちっげえええええぇぇぇぇよっっ!!!騎士として節度をわきまえ倫理的道徳的に、騎士道に反しないよう、誠心誠意仕えろってことだ!んもう……っ!」
「……うん、そゆことにしとく~」
「なんだよ、そのにまにまは……」
「ふふふ、何となくね~」
「全く……相変わらずなんだから……」
こうして、ヴェイセルのレベル9999の秘訣を全力でスルーした俺なのであった。




