東方魔王国周遊②
――――さて、次に俺たちが訪れたのは……。
「ここが東方魔王国大祭壇じゃっ!!」
東方魔王国大祭壇は近代都市のイメージとは一風変わった中世ヨーロッパの大聖堂のような印象の建物だ。
さすがは大祭壇とだけあって風情があるなぁ。鴇子ちゃんの案内で中に進むと他にも観光で訪れたとみられる魔族の皆さんを見かけることができた。
俺たちは人族だけど、エストレラ王国と交流している東方魔族の皆さんは特に気にしていないようでのんびり見て回ることができる。
不意に壁一面に飾られたレリーフを見つけた。これ、何か見覚えがあるな……?
「鴇子ちゃん、これは?」
「これは、ここに祀られている水の精霊と金属精霊たちを現したレリーフじゃ。一つ一つのタイルがそれぞれの精霊を表しておる」
水の精霊は片角のかわいらしい女の子のスフィアさんのことだ。確か前に水の精霊のスフィアさんも東方魔王国で祀られているって聞いたことがあったっけ。それにしても……。
「スフィアさんと金属精霊ズもかな。他にはどの金属精霊が祀られてるの?」
金属精霊は属性精霊である。属性精霊はひとつの属性に対してひとりだけなのだが金属精霊だけはたくさんいるのだ。
めっちゃたくさんいる。その全容は俺も知らない。この大祭壇にはどれくらいの金属精霊が祀られているのだろう。
「全部じゃ」
「へ……?」
「ここは全ての金属精霊を祀り、受け入れる祭壇なのじゃ」
えええぇぇぇっっ!!?
ぜ……全部!?てことは全ての金属精霊のタイルがそろってるってこと?そいえばコレ何かに似ていると思ったけど……元素表!元素記号表だ!!
尤も明らかに金属ではない酵素の精霊とか異世界三大珍金属精霊なんかもいるから地球の元素記号表とは若干違うと思うけど。
「クロ殿下、ヨル殿下御一行であらせられますね」
と、そこへ闇の精霊士の祭服をまとった精霊士の魔族のお姉さんが話しかけてくれる。
「あちらの鋼の精霊の祭室で精霊さまたちがお待ちです。是非お入りください」
と、案内してくれる。
鋼の精霊の八雲さんか!八雲さんは以前南部魔族同盟で出会った黒いツシマヤマネコ耳しっぽの青年の姿をした精霊だ。愛称はやっさん。
俺たちがここに来るのわかってたのかな……?それにしても久々にやっさんに会えるのは楽しみだ。
しかし祭室に入った瞬間、俺は大量の精霊の気配を感じ取った。
「そんじゃ~、いっちょ決めんぜ!元素精霊ファイブ!!」
『イェス!アニキ!!!』
「酵素の精霊エンジーライジングサニー!!!」
※赤毛のわふたんアニキ
「酸素の精霊オキシーゲンドリーム!!!」
※黒い毛並みの立耳犬耳しっぽの青年
「水素の精霊ハイドレーヌセレスティアー!!!」
※水色の毛並みの兎耳しっぽ美女
「炭素の精霊カーボンアレクサンダー!!!」
※ダークグレーのわふたんお耳しっぽだが、そのお耳の先端にはざんばらな毛が生えている青年
「チタンの精霊チタニールフィスクワイツ!!!」
※金色の毛並みのたれ耳犬耳しっぽ青年
「行くぜぇっ!金属精霊ファ―――――ッイブ!」
『おおおおおぉぉぉ―――っ!!』
「金属性の金鏡の精霊!金禾」
※金髪ヒーロースーツの青年
「金属性の銀盃の精霊!銀禾!」
※褐色の肌を持つ銀髪美女
「金属性の銅鐸の精霊!銅禾!」
※赤紫色の髪に赤い大鬼角を持つ褐色の肌の野性的青年
「金属性の錫杖の精霊!錫禾!」
※ほんわか腹黒ドS鬼族の青い3本角の青年
「金属性の真鉄の精霊!鉄禾!」
※黒い2本の短い鬼角を持つ黒髪ツインテールぼくっ子少女
「チームクロム族……行くぜぇっ!ヒュウっ!!」
いやまだ行くのかよ。
『ウェ~~~イッ!!』
まぁいいけどウェ~~~イッ!!
「クロムの精霊イン!キラッ!」
※灰色の毛並みに先端にざんばらな毛が生えたわふたんお耳しっぽのチャラ男
「ニッケルの精霊グェイ!ドヤッ!」
※緑のわふたんお耳しっぽのチャラ男
「モリブデンの精霊シュエイ!ナウ!」
※フェネック耳しっぽの犬耳族の姿のチャラ男
「えっと……チームトッカタッグ!ネオジウムの精霊マオにゃんです」
※白地に黒いメッシュの入ったストレートヘアに
トラ耳しっぽの美女
チームトッカタッグは……多分前の3つのユニットに引っ張られた感あるな。
「チームトッカタッグ……ヒヒイロカネの精霊ヒイロです」
※魔人族よりも太く歪んだ角を持つ青年
ヒイロまでノッかってるって……ノッかってるって……!いやマオにゃんひとりにやらせるのはかわいそうだけども!
「異世界三大~~~っ!!!」
『珍金属~~~っ!!!』
……も来たんかい!!
「アダマンタインの精霊フユメです~」
※シズメさまにそっくりだが白い毛並みの天人族の青年
「ミスリルの精霊ギンシュです~」
※人族の姿の青年で金とも銅ともつかない髪色をしている
「オリハルコンの精霊ヒナハですよ~」
※天人族の女性の姿
「ん……んじゃ……チーム……鋼?」
と戸惑いながらもやっさん。
そしてさらに引っ張られたユニットが登場する!
「まぁ……別にそれでいいですが」
明らかに戸惑いつつもやっさん
言うならと玉仙さんまで加わる。
「ん。鋼の……正確にはダマスカス鋼の精霊八雲」
「玉鋼の精霊玉仙」
※下半身を大蛇の姿にもできるが今は不機嫌な顔をした人族の姿の美青年
「私も、金属精霊ではありません鉱物ということでここで祀っていただいております。鉱物の精霊ミレイユお姉さんです!」
※白地に黒のメッシュが入ったロングヘアのユキヒョウ耳しっぽの美少女
「あの……私も金属精霊じゃないけどここで祀ってもらってます。水の精霊スフィアですー」
ミレイユさんとスフィアさんはまぁ……かわいらしいので置いといて……。
『我ら~~~~金属精霊ズ……見っ参!!!』
「全員見事にもれなく勢ぞろいしてんじゃねぇかぁっ!!!」
「……ん?全員呼ぼうか?」
とエンジーさん。
「それはダメ!多分あのレリーフのタイルの数からして大変なことになるから!クロ殿下縁の金属精霊ズだけでおなかいっぱい!!!」
「そうかそうか~サプライズ招集かけた甲斐があったってもんよ~~」
い……いやほんっとサプライズだよ。んマジでいきなり何が始まったのかと思った。
「クロったら、これだけの精霊さまたちと知り合いだなんてすごいね」
とヨル。
「うん、ほんとね」
今思い返せばこれってすごい状況だなぁと遠目で見つめてしまう。金属精霊ズたちはミレイユさん、スフィアさんも巻き込んで、やんややんやとお祭り騒ぎを始めてしまった。なしてか鴇子ちゃんもその中に混じって楽し気に踊っていた。
何だか不機嫌そうだった玉仙さままで楽しんでいる。そして誰が一番の金属酒豪かを賭けて勝負を始めたらしい。うん、あのひとも間違いなく金属精霊ズの一員だ。間違いない。――――てかこれ、東方魔王国のノリなのか?
「私たちもお邪魔しちゃって恐縮ですっ!」
「皆一緒に、楽しいですねっ!」
とスフィアさんとミレイユさん。
『俺たちゃかわいい女の子なら~大歓迎さっ!イェイっ!!』
やかましトリオ(チームクロム族)は相変わらずの謎テンションである。
「あ、そうだ。こいつらを忘れちゃぁならねぇぜ」
と、エンジーさんが何やら手招きをしている。
『わふっ!!!』
わふっ……?今、とってもかわいらしい声がしたような?
『わふわふっ!クロ~、ヨル~!!!』
祭室にかわいらしい声が響きその声の主たちが姿を現す。
ぐ……ぐほぁっ!!!な……なんですとっ!!?そんなまさか……っ!!!
あぁ……俺……幸、せ……。
わふ……っ。
「く……クロっ!?しっかりして!!」
ヨルの声が遠くに聞こえる。
「どうしたのじゃ!?クロ!?」
あぁ鴇子ちゃん。踊りから戻って来たのか……。
「クロ殿下ぁ―――――っ!!!」
紅消の絶叫が聞こえる。だけど皆、俺はもうふわもっふ……。
わっふわふ……。
そう。今、俺たちの前にはとってもかわいらしい金属精霊ズが顕現しているのだ。
その名も……。
「あのね、えとね、まぐねしうむの精霊わふ太!」
「はいは~いっ!なとりうむの精霊きいや!!」
「……まんがんの精霊……このはです!!!」
「わふ――――っ!!!こばるとの精霊あおと――――っ!!!!」
や……やっぱりぐはっ!!!
わふふふふふ――――――っ!!!!!
「しっかりして!クロ!主人公なんだからしっかりナレーション!!!」
あぁ……ヴェイセルの声が次元の遥か彼方から聞こえる……わふふふふ。
「つまりはだな~、このちびたちは~」
エンジーさんがフォローを入れてくれる。さすがはアニキ。頼りになる。
「数多の金属精霊を歓迎するこの祭壇の常駐ご当地精霊だよ」
『わふわふ~~~っ!!!』
うわあぁぁぁ~~~んっ!!そんなにわふわふ言いながら俺とヨルにじゃれついて来てくれたらまた……再発するっ!!!
わふふふふ――――っ!!!
まずは簡単に解説しよう。俺とヨルの前には現在、4にんのかわいらしいちび精霊がいる。ひと言でいうとリヴィとロータにそっくりだ。つまりちったいころの俺とヨルにそっくり。
(クロ殿下語録:ちったい=小さい。かわいいものに使うとさらにかわいい)
リヴィとロータにクリソツだが角は無い。しかし皆わふたんコスに身を包んでいる。しっぽははふはふしているから自前だろう。わふたんコスのフードについているわふたんお耳もときおりぴょこぴょこ動いているので、リヴィとロータと同じく中にモノホンのわふたんお耳がありそうだ。
わふ太はロータ似で白いわふたんコス。きいやはリヴィ似で黄色いわふたんコス。このははロータ似でつゆ草色のわふたんコス。あおとはリヴィ似で群青色のわふたんコス。
皆わふわふかわいいなぁ~~~っ!!!
「ん……クロ、どうだ?」
とやっさん。
「……最っ高です!!!」
「うん、小さい頃のぼくとクロみたいでとってもかわいい!」
「ふっふっふ~~~~このよつごちゃんわふたん精霊ズは東方魔王国のアイドルじゃからな~~~~っ!!!」
うん、本当に……最っ高の大祭壇でした。うん、またヨルと一緒に来よう。よつごちゃんわふたん精霊ズ……めっちゃかわいいっ!!!
楽しい大祭壇でのわふわふな時間を堪能した俺たちは、最後の公務の夜会を2人で無事乗り切った。翌朝ベッドで起きたらベッドにもぐりこんでいたヨルとよつごちゃんわふたん精霊ズをなでなでしてエストレラ王国への帰路についたのだった。




