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婚約者がモテ過ぎる  作者: もも


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1/3

1 婚約者

よろしくお願いします。短いです。

リリーには生まれた時から婚約者がいた。名をルシルといい天使と見まごう程の美幼児で公爵令息だった。

鉄鉱山を所有していたキリングス侯爵家は国内随一の金持ちだった。公爵家が資産目当てなのは社交界で知らぬものはいなかった。兄のロイドには第二王女が降嫁の予定である。



キリングス侯爵家は国を支配するのかと噂されたそうだが、断れない相手からの縁談なのだ。両親は歯ぎしりをして悔しがった。


息子と娘の結婚相手はある程度の地位があれば性格で選びたいと思っていた。お金も地位もあるのだ。子供たちの幸せを願って何が悪いと思ったのだ。幸い王女は教育が行き届いて身分を笠に着る様な所は無かったので安心だった。



問題はルシルだった。美貌に釣られて寄って来る女性と男性までもが引きも切らなかったのだ。誰にでも愛想が良い。公爵令息で天使の様な可愛さに子供から大人まで惹きつけられた。


近付いてくる女性に

「今日も可愛いね」と「今日も綺麗ですね」を通常の挨拶で言うのだ。落ちない訳が無い。天然の女たらしなのだとキリングス家全員気が付いた。



五歳ながら為人を感じ取ったリリーはお茶会の時に

「ルシルさまこんやくかいしょうをしましょう。おんなのひとにだいにんきのあなたならこれからいくらでもえらべますよね」

と言ったのだが返事は

「嫌だよ、リリーが良い。君のように可愛い人はいない」

だった。がっくり来たリリーは

「みんなにえがおのルシルさまはきらいなのです。大きくなったらたくさんおんなのひとをはべらせていそうです。ぜったいにこんやくは、かいしょうします」

「困ったな、僕はリリーが好きなのに」

と天使の微笑みで言われた。



何故こんなに嫌なのかまだはっきり分かっていないリリーだったが、とにかく嫌だったのでそれで押し通すことにした。

ルシルが帰った後兄が

「ノートにルシルの浮気の証拠を集めて書いて行けば良いよ」


「うわきってなんですか」


「リリー以外の女の子に優しくしている事だよ。あいつ誰にでも笑顔だし、可愛いとか綺麗とか言ってるんだ。あの顔でだ。リリーを蔑ろにするのは許さない」


「そうなんですか、わたしをすきなわけではないのですね。なのにこんやくをやめてくれないんです。しょうこをあつめたらやめてくれるでしょうか」


「父さまと母さまに相談してみよう」

「はい、にいさま」


兄妹はメイドに父さまに大事な話があるから会いたいと予定を聞いた。

お茶の時間なら良いという返事だったので久しぶりにサンルームで四人でお茶をすることになった。


テーブルの上には色とりどりのお菓子と牛乳が置かれていた。大人は紅茶だった。

「食べながら話を聞こうか、どうしたのかな」

「とうさま、ルシルさまはぜんぶのおんなのひとにやさしすぎてきらいなのです。こんやくをやめたいのですが、そういったらいやだといわれてしまいました」


「嫌いなのか、そうか。でも婚約は解消しないと言ったんだね」

「僕はリリーが将来泣くのは嫌です。あの女たらしは相応しくありません。どうして婚約者にしたのですか?」


「貴族には断れない家格があるのは分かるよね。

リリーが生まれた途端に申し込まれてね。でも泣かすようなら何としても排除するけどね」


「ルシル君は凄く人気でお茶会でも羨ましがられますの。こちらからお願いしたわけでもありませんのに。リリーを蔑ろにするようなら考える必要がありますわね、ねぇ貴方」


「そうだな、このまま行けばとんでもない男になりそうだ。まだ子供だが行動は把握しておく必要はある」


「誰にでも優しい殿方よりリリーにだけ優しい旦那様が良いですわね」


「おにいさまにきいたのですが、いまからルシルさまのこうどうをかいておこうとおもいます」


「じゃあ、父様は家の力で記録を取ろうかな。それにしても公爵家の教育方針はどうなっているんだ。家の存亡に関わるかもしれないのに」


「あの美貌を以てすれば王家でも外国の王族にだって売り込めますもの。侯爵家など何とも思っていないのではありませんか?」


「そうかも知れない、リリー心配しなくて良い、父様が何とかするから。でもかなりの時間がかかるのは覚悟をしておいて欲しい。向こうの弱みが掴めるか都合よく破棄してくれるのを待つしかないのだから」


「はい、分かりました。ありがとうございます。おはなししてよかったです」




それからも交流は続きお茶会の際は花束と褒め言葉を欠かさず、街歩きのときは変装はしたがお互い高貴さは隠せないままで護衛達が大変苦労をした。


見目の良い子供は狙われやすいからだ。

それなのにやたら愛想のいいルシルは街で人気になり、攫われそうになったことが何回か起きた。頭を抱えた護衛達はリリーに泣きついた。

街歩きのデートは止めて欲しいと。


リリーも一緒に攫われかけ大変怖い思いをした。二度と嫌だったので彼らの頼みを聞いた。

ルシル様って馬鹿じゃないのと思いながら。



誤字報告ありがとうございます! 何度も見たのですが見落としがあるものですね。とてもありがたいです。


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