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~学園~1

・・・夢を見た。

城の中には多くの死体があった。

どこかの国が攻めてきたのか、魔族が攻めてきたのかわからないが激しい争いがあったようだ。

ふと妙な気配を感じた。

そこには一人の使用人が立っていた。

その使用人はある場所に指を差した。

その方向へと歩いて行く。

そこには女性の死体があった。

金髪で可愛らしい顔立ちの女性。

その側には騎士の死体。

他の騎士と違う鎧だったので隊長だろう。

その光景を見た男は女性の死体の前に座り込み、言葉を失う。

いつの間にか使用人の姿もない。

どうにかしてこのことを誰かに伝えたかったのだろうか。

座り込んだ男は言った。

「が・・ん・・ばっ・・・たん・・だ・・な・・リ・・ー・・・シャ・・・」

と。

何とか振り絞って声に出した言葉。

その声は震えてはいなかった。

しかし、その言葉を言った直後、男の目からは涙が溢れた。

強烈な胸の痛み。止まらない涙。体には力が入らない。

なぜ涙が溢れたのかすぐに理解した。

男の中でこの女性が大切だったのだと。

この大切な気持ちが何なのかはわからない。

仲間なのか、友達なのか、恋なのか。

わからないが男の心の中に穴が開いたような感覚だった。


そこで目が覚めた。

男の目から涙が流れていた。

なぜ夢で見たもので涙が出ているのか男にはわからなかった。

しかし、夢の中での気持ち・・いや、心の中にぽっかりと開いた穴の感覚は残っていた。

そして男は体を起こして窓から外を見た。

外はまだ暗いが、明るくなり始めていた。

この穴の開いた感覚をどうにかしようと思い、布団から出て外に出た。

空を眺めていると、背後から声がした。

「どうかしましたか?」

振り返ると、まだ眠たそうにしていて目を擦りながら訪ねてきた人物がいた。

気配に気付いて起きてきたのだろう。ヨツカだ。

「いや、目が覚めたから外に出て空を眺めていただけだ」

妙な感覚をどうにかしようと思って出てきたと言ってしまったらヨツカが慌てると思い、何も言わなかった。

「そうですか。私も一緒に見ていてもよろしいでしょうか?」

「眠たくないのか?」

ヨツカはグニスの横に来た。

「まだ眠たいですが、グニス様が起きておられるのであれば私もご一緒したくて」

「そうか。そうしたいのなら止めない」

ヨツカは首をグニスの方へ傾けて腕にポンっともたれるようにした。

「はい。そうします」

そう言って、二人は一緒に空を眺めた。


襲われた日から時間が過ぎ、試験当日。

朝ご飯を食べた後、グニスはヨツカと共に学園の前に来ていた。

あれから襲われることはなかった。

宿には数日泊まっていたが、宿泊をやめて山の家で生活をしていたからだ。

数日宿に泊まっていた時に街を見て回り、見る必要も無くなってきたので家の生活に切り替えていた。

中に入り建物へと向かっていると背後から声をかけられた。

「グニスさん!ヨツカさん!」

グニスとヨツカは振り返らずにそのまま歩いている。

「ちょっ!ちょっと待ってくださ~い!」

後ろからパタパタと走って近付いてくる。

しかし、二人は止まることなく建物へと歩き続ける。

そして、走ってきた人物はグニスとヨツカの前に回り込んで息を切らしながら立ち止まった。

「はぁはぁ。ちょっとくらい止まってくださってもよろしいではないですか・・」

グニス達の前に来たのはリーシャだった。

目の前で止まられたので仕方なく立ち止まることにした。

「何か用か?」

「うっ!冷たい!半年ぶりにお会い出来たのにその冷たさはかなり辛いです」

リーシャは落ち込んでいた。

「シューゲンに会えたことを自慢されて私がどんな気持ちだったか・・」

小さな声で呟いた。

「用がないなら俺は行くぞ」

そう言ってグニスとヨツカは歩き始めようとした。

「ま、待ってください!要件はあります!」

リーシャは必死に引き留めた。

「・・・次はないぞ。何か用か?」

「はい。グニスさん、ヨツカさん。来ていただきありがとうございます」

そう言ってリーシャは深々と頭を下げた。

周りはリーシャが頭を下げていることに驚いている。

頭を上げてからリーシャは続きを話す。

「本日の試験の後、お時間はございますか?もしあるようでしたら私と一緒に来ていただきたいところがあ・・」

「断る」

話の途中でグニスが遮った。

「せめて最後まで言わせて欲しかったです・・。理由はあります。私を助けていただいたということで父からも感謝を伝えたいと」

「なぜそんなことをしなければならない?それなら感謝の言葉をリーシャに伝えていればいいことだ。それか直接言いに来るのが当然だ。わざわざこっちから出向く理由がない」

そう言って、グニスとヨツカは歩き始めた。

リーシャはその二人を見ていることしか出来なかった。

グニスが言ったことは当然だと思ったからだ。

周りはリーシャに対する態度とかについてグニスへの暴言を吐いている人が多くいた。


目立つつもりなかったのにこんなところで話しかけてくるかよ。

自分の立場を理解して場所を考えてほしいものだな。

まあ、あそこでのあの態度は俺も目立つ要因になってるのもそうだが。

・・・しかしあの夢。

妙に現実味のある夢だったからいつか起こる出来事って可能性もあるのか?

リーシャの見た目からして遠い話ではない。

おそらくすぐのことだろうな。

・・・仕方ない。

一応情報集めをしてみるか。


グニスとヨツカは校舎の中には入り紹介状を渡して、試験会場である教室へと向かった。

リーシャも手続きをして後を追いかけていった。



__________


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