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~いざ、エルロッテ国へ~20

修行を始めてから少しの時間が経った。

セレーネは何度も魔力を流す修行をしていたが、いまだに出来ていなかった。

魔力を使っているため当然魔力が無くなっていき、疲れが出てきていた。

汗をかいていて両手を膝に置いて息を上がらせている。

「はぁはぁ。全然出来ない。道具と思わずに体の一部として体に魔力を纏わせる。持っている以上に剣の重さも感じて物を持っているって感覚しかないんだよね」

体を起こし木刀をぎゅっと握った。

悔しそうに歯を噛みしめながら。

そして精神を落ち着かせて続きを始めた。


「そんなに難しいものなのか?」

グニスがヨツカに問いかけた。

「いえ、基本的な事なので簡単な事です。こんなことが出来なければ他のことなんて何も出来ません。だから人族は弱いんです」

「獣人なら誰でも出来るのか?」

「種族によって出来ない者もいるかもしれませんが、基本的には出来ると思いますよ。神狐族である私自身のことしかわかりませんので憶測でしか言えませんが」

「人族は何で出来ないんだろうな」

「知りません。人族の事なんて私は知りたくもありませんし」

「そう言うなよ。少しでも情報を知っていれば今後役に立つこともあるかもしれないぞ?」

「・・・それは一理あります。ですが、関わり合いたくないです」

「それは分かってる。仲良くしろとは言わないが、人族の習性とか感情は知っておいた方がいいぞ。例えば挑発して相手が怒って襲い掛かってきたとき、動きは単調になる。そうしたら簡単に殺ることが出来る。だがその動き自体を囮にして殺ろうとしたところを逆に狙われることもある。ここぞの攻撃にこそ隙が生まれる。そういう相手の動きを見極めることも大事だから少しは知っておいて損はないということだ。仲良くする必要はない。観察することはしておいていいと思う」

「・・・わかりました。それで人族が何故出来ないか・・でしたね。人族はあれこれ考えすぎなのです。獣人は直感的に戦うので魔力の使い方とかも直感でやってます。どうやって魔法を使っているのかとか聞かれても説明するのが難しいんです。私はグニス様の教えと本を読んでいましたのでわかりますが」

「つまり人族は理論的ってことか。確かにそれだと俺が説明した内容だけで理解出来なくて上手く出来てないんだな」

「いえ、グニス様の説明でわからない人族が問題なのです」

「・・・魔力を流すって感覚がわからないから出来ないってことか」

そう言ってグニスはセレーネの方へ歩き始めた。

「???」

ヨツカは何故セレーネの方へ行ったのかわからなかったが、付いていくことにした。


「セレーネ」

グニスに声をかけられてセレーネは振り返った。

「何か見ていて気になることがあった?」

「まあな。ヨツカと話していて試してみようと思うことがあってな」

そう言ってグニスはセレーネの右手を掴んだ。

「えっ!?」

「っ!?!?!?」

セレーネは少し赤くなり照れた。

グニスの後ろにいるヨツカは驚き、耳と尻尾がピンっと伸びた。

「えっ!?あ、あの!な、何を!?」

セレーネは慌てていてあたふたしている。

「落ち着け。右手に集中していろ」

「そ、そそそ、そんなこと言ったって」

グニスはセレーネの右手に魔力を流した。

「・・・えっ?これって・・」

「これが魔力を流す、いや流されている感覚か。これから木刀に流してみるから流れる感覚を集中して感じ取ってみろ」

「・・・わかった!」

セレーネは魔力の流れに集中した。

グニスは木刀に魔力を流した。

そうして木刀が少し光った。

その流れている感覚を残しながらグニスは手を離した。

「その状態で切ってみろ」

セレーネは頷いて振り返って丸太に向けて木刀を振った。

魔力を纏っていない木刀では丸太は切れていなかった。

しかし、今度は違った。

丸太は真っ二つになったのだ。

「・・・嘘・・でしょ?」

セレーネは目の前で起きた光景を信じられなかった。

「魔力を流すだけで切れるようになるなんて・・。それに切った感覚がなかった。いや、違う。抵抗がなかった。まるで素振りをしたような」

「今回は俺の流した魔力だからな。初めはそうはならない。流す練習を何度もしていれば出来るようになる」

木刀に纏っていた魔力は消えた。

「今ので魔力を流す感覚はわかったか?」

「・・・ええ」

「ならその感覚を覚えているうちにもう一度やってみろ」

セレーネは頷いて、真っ二つにした丸太の前で木刀を構えた。

さっきの感覚を思い出しながら魔力を流してみた。

すると木刀が光り出した。

そしてセレーネは木刀を丸太に向けて振った。

丸太を切ることに成功した。

セレーネは腕を少し上げて木刀を掲げてそのまま木刀を見た。

「これが・・・」

「よく出来たな。その感覚を忘れないようにして修練すればもっと良くなるぞ」

セレーネは切った丸太を見た。

切断面が1回目と2回目でかなり違った。

1回目は綺麗に切れているが、2回目はボロボロだった。

「・・・全然違う」

「そりゃそうだろ。さっきのはただ魔力を流しただけ。魔力を流す量、魔力を流した後の魔力の安定、魔力の形状。いろいろあるがそれらをコントロールしないと出来ないぞ」

「そっか。でも一歩は踏み出したんだ。ありがとうねグニスさん」

セレーネは笑顔で言った。

「それじゃあ俺たちはもう少し街を歩いてから帰るから」

グニスはそう言ってセレーネに背を向けて歩き始めた。

ヨツカもグニスに付いていった。

「ちょ、ちょっと待って!」

セレーネが呼び止めた。

「なんだ?」

「今日は私が案内する予定だったんだから案内するよ」

「そう言えばそうだったな。じゃあ行くか」

「うん」

セレーネは笑顔で答えて訓練場を後にした。



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