~いざ、エルロッテ国へ~15
二階に行き、セレーネと分かれてグニスとヨツカは部屋に入った。
ヨツカは人化を解いて元の姿に戻り、布団の上で丸まった。
グニスは窓際の壁にもたれて窓から外を見ていた。
「目立たずに行動するつもりがかなり目立ってしまったな」
ヨツカは丸まっていたのをやめて、立ち上がった。
「申し訳ありません。あの時久しぶりに成長した私を見てもらえると思うと、つい加減の事を・・」
あの時というのは模擬戦のことだ。
「でも加減はしました!グニス様に加減をするというのは最低な行為なのはわかっているのですが、加減をしないとグニス様に迷惑をかけてしまうと思い・・」
「全力の何パーセントぐらいの力を使った?」
「・・・50パーセントほどです」
「半分ほどか。あれで半分ほどの力ならかなり成長したんじゃないか?」
「ありがとうございます!」
ヨツカは褒められて嬉しいようだ。
「今後はお互いもっと力を抑えないとだな」
「私だけ昼間ほどの力を使うというのはどうでしょう?グニス様の力はあの二人に見られたとはいえ、力のほんの一部。私は魔法も使いましたし、分身もしました。それに神狐族ということは分かる人にはわかるみたいですし。神狐族であればこの力も納得されるのではないですか?」
「確かに一理あるな。あの二人は口外しないように言ってくれているし。ただ強いヨツカが俺に従っていれば、俺にも何かしらがあると思う人もいるだろう。他にヨツカが奴隷とか、俺がヨツカのお荷物とかいろいろな」
「私なら人族にどう思われてもどうでもいいんですが、グニス様が変な風に思われたり見られたりしたら、私はその者を殺してしまうかもしれませんね」
「そうなっては街に滞在することも出来なくなるし、責任は俺にも来そうだからな。力を使うのはやっぱりお互いやめておこう。どうしてもの時はバレないように使えばいいだろ」
「わかりました。それでは私も使わないように気を付けます。グニス様に迷惑をかけてしまうぐらいなら我慢するようにします」
「これでお互いの再認識はいいな。まあこれまでいろいろ言ったけど、力を使うことは別に止めないから。ヨツカのしたいようにしてくれればいい」
ヨツカは頷いた。
「それじゃあ俺は風呂に入ってくるから少しここで待っててくれ」
「わかりました。戻ってきたら次は私が行きますね」
この宿には風呂が無い。
そもそも風呂はこの世界ではかなり珍しいものだ。
宿であれば水を用意して体を拭いたりする。
家を持っているものは井戸などで水浴びをする。
なので小屋に戻り、自作した風呂に入ることにした。
グニスは転移して小屋に戻り、風呂に入った。
グニスが戻ってくると交代でヨツカも小屋に戻り、風呂を済ませて戻ってきた。
この間に来客はなかった。
そして二人は宿のベッドで眠った。
翌日。
朝は宿のご飯を頂いた。
部屋には持ってこないので自分で一階に降りて席に着き、注文する流れだそうだ。
ご飯を済ませて部屋に戻った二人はこれからどうするかを話した。
「今日は昼からセレーネに街の案内をしてもらうから、その時に気になるところなど探そう」
「朝は何かされるのですよね?」
「ああ。小屋に戻っていつもの日課をな」
ヨツカは喜んだ。
「嬉しいです。私、頑張りますね」
グニスとヨツカは転移して小屋に戻った。
いつもの日課。それは魔法の練習、畑の確認、本を読むなど。
日課とは言ったが、日によって何するかは二人の気分や、状況によって変わる。
「俺は畑を確認する。ヨツカはどうする?」
「先日グニス様に負けてしまいましたので魔法の練習と実戦の訓練をしようと思います」
「そうか。頑張れよ」
グニスはヨツカの頭を撫でた。
ヨツカは嬉しそうにしてから小屋から少し離れて魔法の練習を始めた。
グニスも畑を確認しに向かった。
畑には前世の知識にある野菜を育てている。トマトやじゃがいもなど。
この世界にはない食べ物だ。
どうやって食材の種を手に入れたのかはグニスの魔法によって生成している。
似たような食材はあるが、味は畑で育てている食材の方が美味しい。
昨日食べた店のご飯は正直に言って普通だった。
食べれないということではないが、何回も食べたいと思うほどではなかった。
朝ごはんもそうだった。
なので昼ごはんは小屋で食べるためと何日分かのご飯を街でも食べられるように、作り置きするために朝は予定変更したのだ。
グニスは畑の確認、収穫をして、小屋に入り調理を始めた。
調理を終わったグニスは収納魔法に作り置き分を入れて、昼に食べる分を机に並べて外に出た。
外に出ると、ヨツカが分身して1対1で実戦の訓練をしていた。
なぜ分身で実戦の訓練をしているのかだが、ヨツカがこの山の魔物より強くなり修行にならなくなってしまったからだ。
なので分身で訓練をしている。
「ヨツカ~。ご飯出来たからそろそろ切り上げて食べないか~?」
小屋を出てすぐのところから少し大きめの声で話した。
ヨツカは動きを止めて、グニスの方を向いた。
「わかりました~!すぐそちらに行きま~す!」
ヨツカは分身を解除してすぐグニスの前に来た。
「わざわざ早く移動しなくてもゆっくり歩いてきてもらってよかったんだが」
「いえ!グニス様のご飯は至高です!すぐ食べたいんです!」
「そうか。じゃあ食べたら宿に戻ってギルドの前に行くか」
グニスとヨツカは小屋に入り昼ごはんを食べた。
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