~いざ、エルロッテ国へ~13
オシャレな店の前に着いた。
「ここが私のおススメのお店だよ。きっとヨツカさんも気に入ると思うな」
笑顔でヨツカに話しかけた。
「・・・そうですか。それよりいつまで掴んでるつもりですか?いい加減話してください。自分で歩きますので」
冷たい目でセレーネを見る。
セレーネはずっと掴んでた手を慌てて話した。
「あっ、ごめんね。つい掴んじゃって」
反省しているようだ。
「まあ反省してるようだし、許してやりな。それだけ美味しいってことだろうから」
後ろからグニスがヨツカに話しかけて頭を撫でた。
「・・・わかりました。今回だけです。グニス様に感謝してください」
セレーネが元気になった。
「・・・っ!!ありがとう!」
セレーネがヨツカに抱き着いた。
「ちょっと・・。離れてください。馴れ馴れしいです」
また避けなかったな。
ヨツカには読心魔法を使わないようにしているから考えがわからないな。
一度読んでみたけど俺だけのことしか考えてなくて、こっちが恥ずかしくて使わないって決めたからな。
今なら何かわかるかもしれないけど、これは俺が何かすることじゃない気がする。
大人しく見守ってみるか。
ヨツカとセレーネがじゃれ合っているところに、
「それじゃあここに入ろうか」
そう言ってシューゲンが中に入っていった。
その姿を三人が見つめた。
「この店に鎧を着た人って・・・似合わないよね」
セレーネが一言。
皆が思っていることを代弁した。
「そういうことは黙っておいた方がいいぞ」
そう言ってグニスも中に入った。
「・・・・私達も入ろうか」
「だから放してください」
セレーネが離れて二人も中に入った。
四人は席に案内されて座った。
奥にシューゲンとグニス。シューゲンの横にセレーネ、グニスの横にヨツカ。
店員は水を持ってきて、注文が決まったら呼ぶように伝えて別のお客の元へ向かった。
「ヨツカさん!ここのおススメは「ラビットの煮込みシチュー」だよ!他にもあるんだけど、特別これが美味しいの!」
「・・・そうですか。私は何でもいいです。グニス様のご飯の方が絶対美味しいので」
セレーネはグニスの方を見た。
「えっ!?そうなの!?グニスさん料理出来るの!?」
「まあずっと田舎で一人で暮らしていたからな。それなりにはな」
「私も今度食べてみたいんだけどいいかな~?ヨツカさんがそう言うってことはめちゃくちゃ美味しいんでしょ?」
「当然です。グニス様のご飯はどんなご飯よりも美味しいです」
ヨツカは自分の事のように喜んでいる。
「いやいや、なんでヨツカが喜んでいるんだよ。それにヨツカの味覚も知らないのに何でそんなに俺のご飯が美味しいと思っているんだよセレーネも」
「だってヨツカさんってグニスさんのことすごく信頼してそうだし、種族的に食べ物にはうるさいだろうからね。まあ伝説の事を少し知っている中でそんなことが書かれていたのを知ってて」
「伝説?どういうことだ?」
「あっ・・・」
シューゲンの疑問は当然だ。ヨツカについて何も知らないのだから。
伝説の事も同じくらい知っている兄なら知っていると思ったのだろう。
申し訳なさそうにセレーネはグニスを見た。
「はぁ。シューゲンさん。これは内密にしてもらいたいのですが、ヨツカは神狐族だ」
「えっ!?あの伝説の!?」
驚いたシューゲンは思わず大きめの声で言ってしまった。
すぐにしまった!と思い、口に手を持っていった。
わざとじゃないことはグニスにもわかっていたので何も言わなかった。
「このことは他に漏れると手に入れようとする者が現れる。なにせ伝説の存在だし、特別な力がある。だから内緒にしてほしいんだ。他の誰でもないヨツカのために」
「グニス様・・・」
ヨツカはグニスを見つめた。
この間にセレーネはおススメなどを注文していた。
「確かに。そのような事が周りに知られればそのような者が現れるでしょうね」
「でもヨツカさんの実力なら何が来ても大丈夫なんじゃないの?」
「ええ。そうです。私なら何の問題もありません。グニス様ほどの人でない限り負けることはありませんから」
「確かにそうかもしれませんが、卑劣な罠を仕掛けてくるかもしれません。十分ご注意を。そして我々も口外いたしません。ですが、姫様にだけはご報告させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ヨツカはどうする?」
「別に構いません。私はそもそも神狐族に誇りがございます。隠す気もございませんので」
「・・・だそうだ。だが、リーシャだけにしておいてくれ。他の人には話さない方向で」
「ありがとうございます」
話している間に料理が運ばれてきた。
「それじゃあ食べましょ。ヨツカさんも遠慮しないでね」
「お前は遠慮しろよ。今回はグニス殿とヨツカ殿に奢るんだ。セレーネは自分で払ってもらうぞ」
「そこは妹にも奢って器のでかい男だってのを見せてよ」
「なんでだよ。勝手に付いてきたんだから自分で払うものだろ」
「ケチなんだから」
四人は食事をした。
食事を終えて、雑談をしていた。
「以前教えて頂いた技なのですが、なかなか難しく苦戦しているんです。何かいい方法はないですか?」
「シューゲンさんならすぐ覚えられると思うんだがな」
シューゲンは少し違和感を感じた。
シューゲン”さん”と言われたからだ。
「その・・”さん”と付けなくてもいいですよ。グニス殿はそのように呼ぶことを意識していただいているかもしれませんが、貴方にはあの日助けていただいたのです。そのような方にそう言っていただこうと思っておりません。それにグニス殿に敬うような話し方をされましても、何かこう・・・むずがゆいと言いますか・・。なので私の事はシューゲンと呼んでいただいて構いません」
「・・・・わかった。シューゲンがそう言うのならそうさせてもらおう。・・で、どうやったら出来るかだったな」
そこにセレーネが話に入ってきた。
「えっ?なになに?お兄何教えてもらったの?」
「剣に魔力を流して威力を上げる技だ。以前教えてもらったんだが、なかなか上手く出来なくてな」
セレーネの眉間にしわが出来た。
「剣に魔力を?・・・私も身体強化したりするけど、そんなこと一度も考えたことなかったな~」
「なんで考えたことがないんだ?」
グニスが質問する。
「だって、剣に限らず武器っていうのは言わば消耗品でしょ?使えば切れ味も落ちていくし、使い続けていたら脆くもなる。武器の手入れとか研いだりするのは、あくまでも武器の耐久を少しでも長くするためであって、いずれ壊れる。いい武器なら切れ味や耐久面も一級品、安くてあまりいいとは言えない武器ならそれなりの、もしくは粗悪品。武器によって変わるもの。当然使い手の技量も関わってくると思うけど、武器はそういうものよ。武器は道具として認識がほとんどなんじゃないかしら」
「でもそれだと武器に魔力を流すことを考えたことないってのにはならないんじゃないか?」
「そうね。今のは武器に対して周りがどういう認識をしているかを話しただけね。考えに至らないのにはちゃんとした理由があるの」
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