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~いざ、エルロッテ国へ~11

「この中に物を入れたり出来る。命あるもの・・、人や獣人、動物や魔物なんかは入れることは出来ないが、死んでいれば入れることが出来る。これが収納魔法〈アイテムボックス〉だ」

グニスは空間の中に手を入れ、中から剣を取り出した。

「こんな魔法があるんだな。これは他の者が手を入れても取り出したり出来るのか?アーティファクトは魔力さえ流せば誰にでも取り出すことが出来るから、アーティファクトだとわからないように私みたいに小物入れのように見せたりする工夫がいるんだが」

アーティファクトがどのように作られているかわからないが、同じアーティファクトでも形が違ったりする。

セレーネの物は金具のような形をしている。

それを小さなケースに取り付けて小物入れのように見せていた。

「この魔法は誰にでも取ることは出来ない。使用者の許可した者しか取り出すことが出来ないようになっている。誰かに取られたりすることもないから安全だ。これを使えたら移動がかなり楽になる」

ヨツカは誇らしげにドヤ顔をしている。

「これは素晴らしいですね。闇属性の使い手に教えてあげたいです。私は知らないのですが、セレーネさんはどなたかご存じですか?」

「・・・知ってはいるが、闇属性を使う者の大半は組織にくみする者ばかりだ。組織に与していない者では知らないな」

「組織?」

グニスは情報収集のため組織について聞いてみることにした。

「・・・アレストーラ、グランタ、ジオラ、エルロッテ。今この4ヵ国で平和条約が成されているのは知っているな?」

「ああ。100年前の戦争の終結のために平和条約が作られたんだったな」

セレーネは頷いた。

「その平和条約に納得のいかない者がいるんだ。その組織の名は「鎮魂歌レクイエム」という」

ヨツカは空気を察し、真剣な表情になった。

「鎮魂歌はこの国に限らず全ての国に争いの火種を持ち出しているんだ。例えばジオラには3か国からの火種を、エルロッテにも同じように3か国からの火種を。奴らの狙いは戦争を引き起こすために、わざと別の国を名乗って何かをしている。当然だが4ヵ国とも組織の仕業だとわかってはいるが、この火種を元に戦争が起こらないとは限らない。もし、犠牲者が出てその現場に国の紋章の付いた何かが落とされていたりしたらどうなると思う?」

「犠牲者が出た国はそれを理由に戦争を引き起こす。もしくは犠牲者は仕方ないとして平和条約を継続するか・・・」


いや、今思えばリーシャの誘拐事件。

その組織が絡んでいれば、国の姫様誘拐としてエルロッテ側が戦争を起こしてもおかしくはない。

犠牲者や関わる人がその国にとって重要人物だとしたら、わかっていても疑問が生まれ、それが積み重なり、やがて・・ということもあり得るってことか。


「犠牲者や関わる人がその国にとって重要人物だとしたら、組織の仕業だとわかっていても戦争に発展する可能性がある・・ということか」

「国のお偉いさん達には護衛は付いているが、何が起きるかわからない。だから組織をどうにかしようとしているが、こちらが情報を掴んでもその拠点は既に引き払った後だったりで尻尾を掴めないんだ」

「冒険者はそういうこともするのか?」

グニスはリラに尋ねた。

「はい。そういう情報収集をするのもありますが、基本的には実力のある冒険者がしています。依頼というわけではないのでボランティアみたいなものですが、先ほどセレーネさんが仰ったような拠点を引き払った後などの情報であればギルドから報酬をお出ししています。危険なことをしているわけですので、ギルドとしては無駄足だったとしても謝礼の気持ちを込めてです。私共はこのようなことしか出来なくて申し訳ないのですが」

「気にしなくていいって。これは私がしたくてしてることなんだ。それに新しく情報収集してくれる人材も来たことだしいいじゃない」

セレーネはグニスとヨツカを見た。

「・・・俺たちもするのか?」

「強制はしないよ。ただ、何かあれば情報を共有してほしいってことだ。その情報が組織に関係が無くても情報は大事なんだ。それに二人は私よりも強いし頼りにさせてもらうよ」

「俺達は今登録したばかりなんだが?」

グニスは少し目を細めて面倒くさそうにした。

「実力があるからね~。せっかく知り合ったわけだし、これからも何かと顔を合わせることもあると思うんだ。その時にでも情報交換してくれたらいいってこと」

グニスはリラを見た。

リラは焦ったように話し始めた。

「え、え~っと・・・。グニス様とヨツカ様は本日登録したのでランクとしてはGランクになります。本当でしたら見習いとなりますのでそのような事をお任せすることは出来ないのですが、模擬戦を見させていただいて実力は問題ないです。冒険者としての経験はございませんので、依頼をこなしていっている時に何かあれば報告という形でどうでしょうか?グニス様とヨツカ様は冒険者としての経験を積むことが出来ますし、セレーネさんも何かあれば情報をもらえる。グニス様とヨツカ様が依頼を受けるかどうかはわかりませんが、何かあればギルドとしても情報はほしいので」

グニスは後ろを振り向き、ヨツカを見た。

ヨツカは笑顔になった。


判断は任せるってことか。

まあ何かあれば話すだけだしな。


「わかった。何かあれば情報は渡す。ただ何かと言われても俺は街に来たのは初めてだから何が普通で何が妙な事かはわからない。俺の判断になるがそれでもいいか?」

「構わない。それでも助かる」

「だが、これは俺がそうするだけだからヨツカは別だ。ヨツカがどうするかは本人に聞いてくれ」

「私はグニス様の意向に従います。それが人族と馴れ合うことでも我慢いたします」

グニスは振り向いた。


『それでもヨツカにはいろいろあるだろ』

念話で話した。

『集落の事もあるんだ。完全に割り切れるわけじゃないだろ』

『そうですが・・』

『ヨツカが人族、人間と言うことに文句を言うつもりはない。それはヨツカの意思だからだ。だが、このことはヨツカ自身が人と関わることなんだ。俺が決めることではない』

『・・・・』


グニスは再び二人の方を見た。

「そういうわけだ。ヨツカが言ったことは気にするな。このことはヨツカ自身に決めてもらう」

「わかりました。それでは受付に戻ってギルドについてご説明いたします」

リラは部屋の出口に向かっていった。

その後ろをグニスとセレーネは付いていった。


「・・・・・私は・・」



__________


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