~この世界で俺は~3
とある山の麓にある村
「貴方見て。私たちの子供よ」
「ああ。俺たちに似て可愛いな~。よく頑張ってくれたなアニス」
「ええ。貴方との子ですもの。当然ですわ」
俺はいったい・・・なんだこの状況は?
これはもしかして来世なのか?
前世の記憶を持っているということ?これって転生ってやつなのか?
こんな非現実的なことってあるのか?
話を聞く限りこの女性が俺の母親で男性が父親か。
「貴方、この子に名前で呼んであげて?」
母親は抱きかかえていた赤ちゃんを父親に手渡した。
「ああ。お前の名はグニス。グニス・レイフォンだ。このタングス・レイフォンとアニス・レイフォンの子だ」
グニス・レイフォン。それが俺の名前か。
名前が特殊なのかあまり聞いたことない感じの名前だな。
周りを見てみたが、前世の記憶よりかなり衰退しているように見える。
ランタンのような物が光ってる。
あれは電気で動いているのか?
それにしてはコードのようなものが付いていないように見える。
ロウソクみたいに火が付けているってわけでもなさそうだし。
「でもこの子生まれてすぐに泣いたぐらいでそれ以降全然泣かないのね。まさか何かの病気なのでは!?いえ、私たちの子供ですもの。そんなことありえないわ。だとしたら賢いのかしら。さすが私たちの子ね」
・・これは二人とも親ばかだな。
でも泣かないってのはさすがに変なのか。
赤ちゃんだしな。
ここは泣いておいた方がいいか。
・・・って泣く要素もないのにどうやって泣くんだよ!
赤ちゃんは話せない代わりに泣いて何かを伝えようとするって聞いたことがあるけど、俺の場合しっかり意思はあるし、特に何か伝えたいってことはないからな。
でも聞きたいことはある・・・話すことって出来るのかな?
「アウーー。アウーー」
「どうしたのグニス?ママって呼んでくれてるのから。まあ嬉しいわ~!」
何か勘違いしているが話すことは出来ないみたいだな。
少し動けるようになったら何か書いてみるってのもやってみるか。
・・いや、待てよ?この世界の文字って書くことが出来るのか?
おそらく日本語ではないだろう。
誰もいない時に試してみることにしよう。
・・・誰もいない時か。
この人達がいて誰もいない時ってあるのか?
コンコン
扉をノックする音がした。
扉が開いて入ってきたのは魔導士のような服を着た年老いて髭の生えた男性が入ってきた。
入ってきた老人はベッドに座ってるアニスのそばに来たが父親が二人の間に立ち阻止した。
「ほうほう。その子が君たちの子なのか。生まれる日を心待ちにしておりましたぞ、アニス様?」
「どうしてここに貴方が?それとここでは様と付けないで、ハーバル!」
アニスはグニスを守るように抱きかかえた。
「そうでございますか。これは失礼しましたアニス殿」
この人は一体・・・
それにアニス様?
母はどこかの偉い人なのか?
「なぜ貴方がここに?」
父親がハーバルに問いかける。
「いえ。本日来られるはずだった鑑定士に変わって私が参ったまでです。アニス殿の子でしたら私自ら鑑定してあげるのがよろしいかと思いまして」
「貴方に頼まないように鑑定士に依頼していたのよ!もう私達に関わらないで!」
「それに何で俺たちがこの村にいると知ったんだ!まさか何かまた何か企んで!」
「はっはっはっはー。そのような事は何も考えていませんよ。これは私の意思でございます。もちろんこのことはアニス殿の父君は存じておりません。我が弟子タングスとアニス殿の子となれば私が鑑定させていただきたいとずっと思っておりましたので」
鑑定?
俺を調べるってことなのか?
つまり俺のステータスみたいなものを見ようとしている?
なんでだ?
赤ちゃんの見ても低いはずでは?
「疑うのも仕方ありません。しかし、もう鑑定士は来られないので私しか出来る人がおりません。貴方達は嫌がるかもしれませんが、この子のために鑑定を進めた方がよろしいのではないでしょうか?生まれてすぐ鑑定をしなければその人の潜在能力はわからなくなってしまいます」
アニスとタングスは目を合わせた。
どうするか考えているのだろう。
そういうことか。
でも目立ちたくないんだよな~。
普通に生きていきたいから潜在能力が高くても隠したいんだけどどうしたら・・
こういうときって隠蔽スキルみたいなものを使ったりして隠したり出来ると思うんだけど。
この世界に魔法があるなら俺にも使えるかもしれないし試してみるか。
鑑定と言っていたからスキルや魔法みたいなものがありそうだし。
よくこういうのは詠唱とか想像したりして発動してるよな。
詠唱だと発動させるための呪文がわからないから想像してみよう。
ステータス、自分の何かを隠して普通のイメージで・・・
「・・・わかったわ。私たちの関係はともかくこの子には関係のないことだものね」
「・・・では」
ハーバルは右手を前に出した。
手の前に魔法陣のような物が現れた。
あれは・・・魔法陣!?
やっぱりこの世界には魔法やスキルがあるのか!?
「・・・全てを見通せし汝の力。その力、我らに見せたまえ。」
ハーバルは呪文のような言葉を唱え始めると魔法陣が少しずつ光り始めた。
「・・・鑑定。・・・魔法は使えるみたいですが、全体的に見ると平均的。つまり普通の子と変わらないご様子でございますね」
アニスとタングスは驚いた様子をしていた。
隠蔽が上手く出来たのか元から普通なのかはわからないがよかった。
でもこの空気・・・なんだか嫌な雰囲気って感じだな。
この時のパターンといえば、
1、それでも自分たちの子だから何も気にせずしっかり育てようとする
2、どちらか一方がおかしいなどと言ったりして喧嘩が始まる
3、二人とも嫌悪して親ばかが無くなり嫌々育てる
4、育てることを放棄して捨てる
これくらいか。さてどうなるのやら。
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