~いざ、エルロッテ国へ~6
盗賊たちを縛って動けないようにして出発をした。
かなり離れてからヨツカは魔法を使って、盗賊たちを殺した。
その魔法は雷だったので落雷が発生したと思った商人は後ろを振り向いた。
雨雲もなく快晴なのに落雷が発生したことに疑問を抱いたが、少し不安になりながら前を向いた。
そして、三時間ほど馬車で移動してからグニスは冒険者たちにかけていた魔法を解いた。
冒険者たちは目を覚まし、商人に何があったかを聞いていた。
起きたら知らない男性と獣人の女性がいるのだから当然だ。
そして、商人から助けてもらったこと、目的地が同じだからと冒険者たちが起きるまでの護衛を依頼したこと、起きたらそこで別れることも話していた。
商人は馬車を止めて、グニスとヨツカは馬車から降りた。
「グニス様、ヨツカ様。ありがとうございました。街へ着いたら盗賊たちの事はお伝えしておきます。お二人が街に着いた際はぜひ我が商会をお訪ねください。お待ちしております」
「ああ。その時はよろしく頼む」
ヨツカも目を瞑りながら軽く会釈をした。
「本当にいいのか?目的地が同じならこのまま一緒に来てもよかったんだが」
冒険者のリーダーらしき人が気を利かせて聞いてきた。
「ああ。俺たちはゆっくりと街を目指したいんだ。魔物も倒しながら行きたいんでな」
「そうか。わかった。気を付けてくれよ」
そう言って馬車は走っていった。
「さて、とりあえず恩を売ることには成功したしさっさと街に向かうか」
「よろしいのですか?私たちの方が早く着きますし、追い越すことになるのでは?」
「早く着くのは気にしなくていいだろう。追い越すことに関しては街道を通らなければ会うこともない。転移ポイントも途中にはいらないだろうし、街道じゃなければ魔物との戦いも多くなるから俺たち好みだろ」
「そうですね。それじゃあ行きましょうかグニス様」
ヨツカは元の姿に戻り、グニスの肩に乗った。
半日後
グニスとヨツカは街の入り口に着いた。
街は石で出来た塀で囲まれており、入り口は一つだった。
魔物などに備えて作ったそうだ。
入り口で門番をしている騎士に止められた。
「ちょっとお待ちください。身分証明の出来るものはございますか?」
「ん?そういうものはないな。学園への紹介状じゃダメか?」
「それだけですと身分証明にするのは少し難しいですね。他に何かございますか?」
「いや、それ以外はないな」
騎士は何かを考えている。
「では、まず紹介状を見せていただくことは出来ますか?」
「ああ」
グニスは自分の分とヨツカの分の紹介状を出して騎士に渡した。
騎士は紹介状を受け取り、中身を確認した。
「・・・えっ!?・・・しょ、少々お待ちください!」
そう言って騎士は慌てて街の入り口の右側にある詰め所に走っていった。
グニスとヨツカは何かしたのかとお互い目を合わせた。
しばらくして先ほどの騎士ともう一人の騎士が出てきた。
その騎士には見覚えがあった。
「お待ちしておりましたグニス殿、ヨツカ殿。門番から連絡を受けて来させていただきました。まずは遅くなってしまい、申し訳ありません」
「久しぶりシューゲンさん。隊長自ら出てきていいのか?」
「ははっ、正直よくはないですね。しかし身分証をお持ちでなくリーシャ様のサインが書いてある紹介状を持った者が二名、門に来ていると連絡が来てしまっては私が対応した方がいいと思いまして。他の騎士が対応してしまってはお二人に失礼な振る舞いをするかもしれませんでしたから」
「まあそうだな。怪しい二人が姫の直筆サインの入ってる紹介状を持ってきては、事情を聞いたりすることもあるだろうからな。説明しても納得してもらえるかもわからなかったし、シューゲンさんがこっちに来てくれて助かった」
「そう言っていただけると助かります。それでは中へお入りいたしましょう。身分証発行できる場所や宿の場所などご案内いたします」
「仕事はいいのか?俺たちに構わず戻ってもらってもいいぞ」
「いえ、姫様のご命令ですので。お二人が街に来られたら職務は別の方へお願いして、街の案内を優先するようにと。以前お助けいただいたあと、エルロッテへ戻ってからのお達しで」
「そういうことなら有難く案内してもらおう。いいよなヨツカ?」
グニスはヨツカを見て聞いた。
ヨツカは少し不機嫌そうにしていた。
「はい。それは構いません。ですが、その人間の態度が不愉快です」
ヨツカが見ている先には門番をしていた騎士がいた。
その騎士は少し苛立っているように見えた。
シューゲンもその視線の先の騎士に顔を向けた。
「どうしたんだ?」
シューゲンが騎士に尋ねた。
「隊長。どうして彼らは失礼な態度なのでしょうか?隊長自ら対応しているというのに敬うどころか少し上からの物言いで。それにそこの獣人ですが、騎士に対して明らかに失礼な態度を取っております。そのような人達を街に入れても大丈夫なのですか?」
その言葉にヨツカも少し頭にきた。すぐにでも殺してしまおうを思っているかのようだ。少し殺気が漏れている。グニスは気にしていないが、シューゲンもその殺気に気付き慌てて騎士に対して言った。
「やめろ。私や姫様が調査に出たことは知っているだろう。その時に危険なところから助けていただいたのがこのお二人だ。このお二人に対して何かあれば姫様が黙っていないほどの重要な方達だ。貴族・・いや、王族並みの対応をするように。決して失礼なことはしないように」
「ですが!・・・いえ、失礼しました」
騎士は深々と頭を下げた。
「我が騎士が失礼いたしました。街で美味しい物を奢りますのでご機嫌を直していただければと」
シューゲンも頭を下げた。
「ヨツカ」
グニスも問題をここで起こそうとするなという目でヨツカを見る。
ヨツカも申し訳なさそうな顔をして、
「わ、わかりました」
ヨツカも機嫌を直した。
「それでは気を取り直していきましょう」
シューゲンが歩き出して、その後ろをグニスとヨツカは付いていった。
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