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~いざ、エルロッテ国へ~5

商人はまだ頭を押さえてうずくまっている。

「終わったぞ」

グニスの言葉を聞いて商人は恐る恐る頭を上げてグニスの方を見た。

「とりあえず気絶させてるだけだから。冒険者たちは寝てるだけみたいだし時期に目を覚ますと思う」

「あ、ありがとうございます。助かりました」

そう言って深々と頭を下げてから周りを見渡して、盗賊たちが倒れているのを確認した。

「冒険者たちが不意を突かれたとはいえ、あの盗賊たちをこんなにも早くやっつけていただけるなんて。お二人はもしかしてお強いのですか?」

「まあな。さすがに襲われてる状況だったからついでに助けたって感じだし、気にするな」

「いえいえ、助けていただいたのですから何かお礼を・・。と思いましたが今は何もございません。これからお二人はどちらに行かれるのですか?」

「エルロッテに行くつもりだ。学園に招待されたから仕方なく行くって感じだけどな。招待してくれた人も俺には学ぶことは無いかもしれないけど、教えてほしいことがあるから来てほしいって言われたんだ。街に行ったこともなかったからこの機会に少しだけ見に行こうと思って」

「街に行ったことがない・・ということはどこか別の国から来られたのですか?」

「いや、この国出身だ。田舎育ちだから大きな街に行ったことがないだけだ」

「そうですか。でしたらエルロッテに着いた際は、私の店に一度来てはいただけませんか?その時にお礼をしたいと思います」

「俺たちはたまたま出くわしただけだからお礼なんて別にいいんだが、納得出来そうになさそうだし機会があれば寄らせてもらうってことでいいか?」

「ええ。ぜひそれで構いません。お越しいただいた際には丁重におもてなしをさせていただきます。あっ、申し遅れました。私、商人をしておりますハイムと申します。ハイム商会という店を営んでおります。エルロッテに店を構えておりますので、お待ちしております」

「ああ。俺はグニスだ。こっちはヨツカだ」

ヨツカはグニスに紹介されて目を瞑りながら軽く会釈をした。

「グニス様とヨツカ様ですね。改めて助けていただきありがとうございました。これからエルロッテに行かれるのでしたら私共と一緒に行きませんか?」

「ついでに護衛をしてもらおうって算段か?」

「お見通しですか。ですが、目的地も同じですしお二方は見た感じ歩いて来られたのでしょう?でしたら残りは馬車でご一緒できればと思いまして。こちらの冒険者方もいつ起きるのかわからない以上、このままここにいては魔物に襲われてしまうかもしれませんので、ぜひお二方とご一緒出来たらと。もちろんこちらから頼んでおりますので、先ほどのお礼とは別のお礼もさせていただきます。どうでしょうか?」

グニスはヨツカに目を向けた。

ヨツカもグニスに目を向けた。


『どうするのですか?グニス様?』

『とりあえず想定通りに動いてくれたからこのまま一緒に行こう』

『わかりました。他の人間どもはいつ起こすのですか?』

『そうだな・・・。とりあえず数時間経ってから魔法を解くつもりだ。俺たちの事を口外しないように商人と約束してからになるがな』

『わかりました。あの気絶させた人間どもはどうするのですか?』

『そのままにしておく。連れていくにもこの馬車だと全員は無理だろうからな。魔法も極力使わない方がいいだろう。盗賊たちであの力だとしたら俺たちの力は規格外みたいなものだろう。目立つのを避けるには置いていくのが一番だ』

『わかりました。お任せします』


グニスは商人に目を向けた。

「わかった。お礼はともかく馬車に乗らせてもらうよ。冒険者たちが起きるまででいいか?起きたらそこで降りて俺たちは歩いて行くよ」

「わかりました。お二人は歩いて来られたのですし、盗賊たちも倒せるほどの実力をお持ちのようですので、ここらの魔物でしたら余裕でしょうからね。出来れば街までご一緒させていただきたかったのですが、仕方ないですね」

「ああ。こっちの気持ちを汲んでくれて助かる。それと俺たちの事はあまり口外しないでほしいんだ。あまり目立つようなことはしたくなくて。別に怪しい二人ってわけじゃないんだが。・・・って会ってすぐの人間にこんなこと言われても信用できるかわからないが」

商人はその言葉を拒否するように手を振りながら首を横に振った。

「いえいえ。あなた方は見ず知らずの私を助けていただいたので信用させていただきますよ。それに商人としてはこのような実力者の方を周りに言ったりして、他の方に取られるようなことは避けたいですので。勝手ではございますが知り合ったのも何かのご縁でしょうし、ご贔屓にしていただければと思いますので」

ヨツカは少し機嫌を悪くした。

ご贔屓にしなければ周りに言いふらすというように聞こえたからだ。

「そうだな。街は初めてだし何かあった時は頼らせてもらう」

「ええ。その時はぜひ」

商人は深々と頭を下げた。

「それじゃあ、ハイムは出発の準備を。俺たちは冒険者を荷台に乗せておく」

「ありがとうございます。盗賊たちはどうするおつもりですか?」

「冒険者たちが起きてくれていたら連れていけると思うが、今動けるのは俺達三人だから縛ってこのままここに置いていって、街に着いたら騎士や冒険者にでも対応してもらうということでいいんじゃないか?」

「それでしたら冒険者方が起きてから出発するというのはどうですか?」

「それだと俺たちとはここで別れることになるがいいのか?それに荷物も急いだ方がいいんじゃないか?」

「そう・・ですね。荷物の事もありますし、何よりグニス様とヨツカ様と少しでもご一緒出来たらと思いますのでグニス様の案で行きます」

「わかった。じゃあ、準備を始めよう」

商人は出発の準備を始めた。


『なにをそんなに不機嫌になってるんだ』

グニスはヨツカに念話をした。

『いえ、あの人間がグニス様に対して脅迫していたので』

『気にするな。あれはそういう意味で言っていたわけではない』

『・・どういうことですか?』

念話しながら冒険者たちを荷台に乗せていた。魔法を使って冒険者を浮かして動かしている。

『ただ他の商会より自分の商会を優先してもらいたいってだけだ。優先しなければ周りに言うってことは考えていなかったしな。ただ俺たちの事を他に知られると、俺たちに何か依頼する人が多くなって専属での取引が出来なくなると考えている程度だ。専属になるつもりはないが、大きい商会なら何かと融通が利くこともあるだろ』

『〈マインドマジック〉を使っておられたのですね。私も使えたらいいのですが』

『気にしなくていいだろ』

『それと気絶してる人間どもはあとで殺すおつもりではないですか?』

『よくわかったな。この場を離れてから魔法でな』

『ずるいです!私にも殺らせてくださいよ!』

ヨツカはムスッとしてグニスを見た。

『ん~~~・・・。いいよ。退屈だっただろうしな』

ヨツカは目を大きく開き、口も大きく広げてすごく喜んでいた。

『ありがとうございます!全力でやらさせていただきます!』

『全力を出したら大惨事になるから程よくで頼む』

『むむっ。・・かりこまりました』

ヨツカは少し落ち込んだ。



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