~いざ、エルロッテ国へ~4
盗賊たちはヨツカの方に向かっているが、数人はグニスの方へと向かっている。
「おめぇら!先にあの獣をやれ!こいつは俺が始末する!」
盗賊の親玉は手下たちに指示を出し、グニスの方に向かっていた盗賊たちも方向を変え、ヨツカの方へと向かっていった。
「わざわざ1人で相手しても大丈夫か?あとで言い訳しても手遅れだぞ?」
「てめぇ程度俺様が一瞬で殺してやるよ!弱そうなガキ1人で何が出来るってんだ!」
「見た目で判断してる程度では相手にもならないな。これなら全部ヨツカに任せればよかったな。ヨツカも戦いたそうにしていたし、今からでも譲ってやるか」
盗賊の親玉はグニスの煽りに対して怒った。
「てめぇ!舐めた口を!てめぇこそあのクソ獣野郎に任せてるだけの調子に乗ってる野郎じゃねぇか!」
「だったら早くかかってきたらどうだ?実力も測れない程度の奴相手に時間をかけるのも面倒なんだ」
「だったらお望み通りにてめぇを殺った後にあの獣も一緒のところへ連れてってやるよ!」
盗賊の親玉が大剣を取り出し、グニスに向かって走り始めた。
「お~、いかにもやられ役って感じのセリフだな」
「舐めんなクソガキ!」
親玉は大剣を大きく振りかざし、グニスに向けて振り下ろした。
しかし、その大剣はグニスは最小限の動きで左に避けて大剣は地面に当たった。
すぐに親玉は大剣を横に薙ぎ払った。
グニスは軽く後ろに飛び、薙ぎ払いを避けた。
「ちっ、逃げ足だけは早いようだな」
もしかして街の人たちの強さもこの程度なのか?
それだと冒険者がこの程度の奴らに負けるとは思えないが。
・・・人数差と不意打ちで何とか勝ててたってところか?
それか冒険者自体が弱いのか・・・。
もしかしたらめちゃくちゃ手加減しないと目立ってしまう可能性があるな。
この情報は有難い。
何もないまま街に行っていれば目立つことをしていたかもしれなかった。
もう少し実力を測ってみようか。
「だが、いくら逃げ足が早くても俺から逃げ続けられると思うなよ!」
親玉は再びグニスに襲い掛かった。
さて、こいつの実力を測るのはヨツカの方が終わるまででいいか。
そのヨツカの方はというと・・・
グニスはヨツカの方を見た。
ヨツカと商人を盗賊たちが囲んでいた。
これから始まる感じか。
それなら盗賊たちの強さもついでに見ておくか。
「よそ見してんじゃねぇ!」
親玉が叫びながら襲い掛かる。
しかし、グニスは親玉を見ることなく攻撃を避け続ける。
「くそっ!なんでこんなに当たらねぇ!こいつはこっちも見てねぇってのに!」
・・・こいつやっぱり強くなさそうだな。
何か隠してる力があるかもだしこのまま様子見しておこう。
さて、ヨツカに念話で伝えることだけ伝えるか。
『ヨツカ』
『はい!どうされましたか?』
『こいつら弱すぎる。手加減しての攻撃でも殺してしまう可能性があるから、普段手加減しているよりもさらに手加減して戦ってくれ』
『でも悪い人間なんですよね?殺してもいいんじゃないですか?』
『商人の目の前で殺していたら俺たちの事を恐れるだろ。それだとわざわざ助けて恩を売るってことが無駄になる。気絶させるだけでいい』
『そうですか。わかりました。そのように致しますね。それとその人間に何かされてますが、何されているんですか?』
『ああ、一応これで攻撃してきてるみたいだ。一応どれだけ実力があるか確認と、隠してる力もあるかの確認をしようとしててな。何もなさそうだったらすぐ終わらせるつもりだ。ヨツカの戦いが終わるまで待ってみるつもりだ』
『・・・それが攻撃・・ですか?実は遅いだけで力が強いとかではないですか?』
『それはない。一撃目を避けて地面に当ててみたけど、全然地面が割れなかったからな。あとで防御魔法で受けてみるのでもいいかもしれないな』
『その必要はないんじゃないですか?待つ必要もなさそうな気もしますし、私もすぐ終わらせますね』
ヨツカはにっこりとグニスに笑顔を向けた。
盗賊たちは「何を笑ってやがる~」と言いながら襲い掛かった。
ヨツカはかなり力を抑えたうえで手加減をして全員に一撃ずつ打撃を与え、気絶させた。
かなりのスピードだったので何をしたのかはグニスにしかわからないだろう。
商人は頭を押さえ怯えていてその状況を見ていなかった。
『終わりました。全員気絶で済ませました』
『おいおい。様子を見るとか・・・。まあいい、こっちも終わらせる』
盗賊の親玉は大剣を振り下ろしたが、グニスは素早く移動し背後から手刀で首を攻撃して気絶させた。
ヨツカはグニスの元へ走ってきた。
「さすがです!」
「もう少しどんなもんか見たかったんだがな。まあ何か隠していてもあの程度ならたかが知れているだろうがな」
「でもここまで手加減しないといけないのって中々大変じゃないですか?私はまだグニス様ほどの力を持っていませんが、それでも普段の手加減よりさらに手加減するのは大変でした。グニス様でしたらそれの何十倍もの大変さがあるのではと」
「まあな。正直大変だし面倒ではあるが、目立たないようにするには仕方ない。慣れるしかないだろう。逆にここでこいつらと会えたのはよかった。もし会っていなかったら手加減で人を殺して目立ったり犯罪者として追われる可能性もあったかもしれなかったからな」
「そうですね。私は別に殺してもいいんですが、それだとグニス様にご迷惑をおかけすることになってしまいますからね。わかりました。とりあえずは手加減の手加減を慣れるようにします」
「俺と一緒に動いてるときはそうしてくれると助かる。一緒に動いてない時は自由にしてくれて構わない」
ヨツカは少し不機嫌になった。
「何言ってるんですか。私はグニス様とずっと一緒に行動しますよ。まあ作戦とかで離れたりすることがあったりするかもですが、そういうこと以外では一緒にいますよ」
「まあ一緒に動くのも離れるのも自由にしてくれたらいいさ」
グニスは商人の元へ歩き始めた。
「むぅ~~~。私は離れませんからね!」
頬を膨らませたヨツカはそう言って歩き始めた。
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