~この世界で俺は~16
魔族は何が起きたかわからず少し戸惑っていたが、下の状況を確認していた。
騎士、騎士隊長、リーシャ、少し離れたところにグニス。
魔族は狙いをリーシャに定めて再び突撃してきた。
「騎士の誇りにかけてリーシャ様を守るのだーーー!!!傷一つ付けることは我が騎士の誇りを汚すものと思えーー!!!」
「おおおぉぉぉぉぉーーーーー!!!!!」
シューゲンの喝により騎士たちの士気が上がり、迎え撃とうとしている。
「狙いは私みたいね。牽制は任せなさい!攻撃出来る所まで降りてきたら一気に畳みかけなさい!」
リーシャは魔法の詠唱を始めた。
「我が炎により形成されしその矛よ。汝の体を貫かん」
詠唱後、リーシャの頭上に炎の槍が一つずつ現れ、合計3つとなった。
リーシャは視線で狙いを定める。
「・・・ファイアランス!!!」
魔法名を唱えて杖を前に出したと同時に3つの炎の槍は魔族目掛けて飛んで行った。
狙い通り魔族の羽に2本刺さり、もう一つは体を貫いた。
魔族は少し痛そうにするもそのまま突撃してくる。
「・・・効いてそうにないわね。次の魔法を唱えます!次の魔法を撃つ頃に相手はこちらに来ます!援護してください!」
「わかりました!皆!リーシャ様の詠唱の邪魔をさせるな!」
騎士たちは剣を先ほどより強く握りしめた。
「風よ、刃となりて敵を切り裂け」
次は少し緑っぽく光っていて刃のような形をしたのが4つ現れた。
少し光って見えるのは魔力で形を作っているからだ。
「ウィンドカッター!!!」
名前の通り風の刃だ。
先ほどのファイアランスと同じく魔法名を唱えて杖を前に出したと同時に4つの刃は魔族に飛んで行った。
体に傷を与えたものの、手足や羽を切断することは出来ず変わらず突撃をしてきている。
「みなさん!お願いします!」
リーシャの合図とともに騎士たちは一斉に切りかかった。
すでに魔族は剣の届くところまで来ていたのだ。
しかし、魔族の突撃の力により騎士たちは飛ばされていく。
シューゲンは精一杯の力を込めて剣を振り下ろした。
剣は魔族の左肩を捕らえた。
しかし、切ることは出来ず止まってしまった。
そしてそのまま押されるも何とか踏ん張り止めることに成功した。
止めると信じていたリーシャはウィンドカッターの詠唱を済ませていた。
「シューゲン!避けなさい!ウィンドカッター!」
リーシャの声とともにシューゲンはジャンプした。
ウィンドカッターは魔族に当たり、再び傷を付けた。
「リーシャ様!私の剣では傷を付けられません!魔法でしか傷を付けられないと思いますので、リーシャ様が攻撃をお願いします!援護しますのでどんどん撃ってください!」
「わかったわ!合図したら避けなさい!」
「周りの騎士はともかく、二人の連携は良さそうだな」
戦闘の様子を見ているグニスは思わず口から言葉を漏らした。
「ですが、あれでは先に体力と魔力が尽きてしまいます」
「だな。せめてもう少し強い魔法を使うか、剣をもっと上手く使わないと」
視線の先では魔族が攻めようとして、シューゲンが防御をし、リーシャが攻撃をしている。
「グニス様でしたらあの剣でも切れますよね?」
「どうだろうな。あの魔族もどきの魔力を切るにはこっちも魔力を纏う必要がありそうだから、魔力を纏わずだったら難しいかもしれない」
「・・クスッ。難しい・・ですか。出来ないとは言わないのですね」
少しいたずらそうに笑い、グニスを見るヨツカ。
「まあな。でも切る前にあの剣が折れてしまいそうだがな」
「それはグニス様が雑に扱ったりするからなのでは?」
「・・・雑に扱ったりしたことないぞ?」
「それはグニス様が作られた剣だからでしょうに。あの剣は他の騎士が持っている剣よりは優れているかと思いますが。グニス様が作られた剣の方が遥かに優れているので、グニス様が扱っても壊れないのです」
「そんなことはないと思うんだがな~・・っと。そろそろ魔力と体力に限界が来そうだな。仕方がない」
グニスは戦っている方へと歩き出した。
「・・・助けられるのですか?」
「ん?まあな。今回限りで手を出しちゃったわけだし。それに姫さんに恩を売っておけば今後何かで使えることがあるかもしれないからな。それにまだグランタの情報も聞けてないのもある」
「・・・そうですね。少し思う所もありますが、我が主の意向を尊重いたします」
グニスは右手を上にあげて手を振った。行ってくるという意味で。
おそらくヨツカの思う所ってのは人族を助けるんだというところだろう。
でもこれは俺が手を出すときに決めたことだからな。
・・というか俺も人族だからね?ヨツカ。
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