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~この世界で俺は~13

グニスとリーシャは、かつてのグニスの故郷だった廃村の場所まで戻ってきた。

それに気付いた騎士は、

「リーシャ様!ご無事で!」

「ええ。この方に助けていただいたのでどうにか」

「そうでしたか。どなたか存じませんがリーシャ様を守っていただきありがとうございます」

騎士は深々と頭を下げた。

「私からも改めて。助けていただいてありがとうございました」

リーシャも改めてグニスに頭を下げた。

「いや、偶然通りかかっただけだから気にしなくていい」

騎士の前なので改めて同じ事をリーシャと騎士に伝えた。

リーシャは頭を上げてから騎士の方へ顔を向いた。

「それで、シューゲンはどこ?」

「シューゲン隊長でしたらあちらの方へリーシャ様を探しに行かれました。先ほど出発なされたのですぐ追いかければ追いつきますのでお呼びに行きましょうか?」

「ええ。お願い」

そう言ったあと騎士の一人が走っていった。

リーシャはグニスの方を向く。

「シューゲンっていうのは騎士達の隊長でして。皆が信頼してる人なのですよ」

「そうなのか」

グニスは廃村を見渡した。

その見渡している様子を見てリーシャは、

「この廃村は15年程前までは普通の村だったそうです。人が良く、良い村だったと聞かされていました。しかし、突如この村が滅んでしまいました。その時に国の宰相や騎士たちでこちらに伺った時にはもうこの有様だったとか。調査しても原因がわからずだったみたいです。魔物に襲われた形跡もなく魔法などの形跡も。15年も経っているのでいろいろ変わっていると思いますが、私もここへ来たのは初めてでして。当時は私も生まれてすぐの事だったので。グニスさんも生まれてすぐ、あるいは生まれる前の出来事なのかもしれませんが」

「・・・ああ。もしかしたら生まれていたかもしれないな」

グニスは目を少し細めた。

グニスの頭の中には当時の光景が蘇っていた。

「私はその原因を調べるために本日ここに来ました。何かわかるかもと思ったのですが、何もわからずでして。そうしたら攫われてしまって。魔法を使おうにも口に当てられた布におそらく魔法の使用を困難にする薬でも塗っていたんだと思います。それを嗅いでしまい抵抗が出来ませんでした」

リーシャは悔しそうに下を向いた。


この子は原因を調べて何をしたいんだ。

原因がわかったところで何もすることは出来ない。

いや、原因がわかったらどうにかするかもしれないが、そうはしてほしくない。

あいつ・・・あいつだけは俺が・・


グニスは当時の主犯となるハーバルの顔を思い出していた。

今でもはっきりと思い浮かぶ。

「グニスさん?」

グニスはハッとして声のした方を見る。

リーシャが心配そうな表情をして覗き込んでいた。

「な、なんだ?」

「いえ。何かを考えていたような表情をしていたのでご心配を」

「・・・大丈夫。気にしないでくれ。それでリーシャはどうして原因を調べているんだ?15年も前に一度調べられて原因がわからなかったのなら15年経った今で何か見つかるとは思えないんだが」

「時間が経ちすぎているのはわかります。たとえ何も見つからなかったとしても、ここへ来たことへの意味はあると思っています。原因を調べている理由についてですが、あちらの山をご存じでしょうか?」

リーシャは北の方にある山を指差した。


知っているも何も俺の住んでる小屋がある山だね。

確か本で読んだな。

確か・・・


「恐ろしく強い魔物が数多く存在していて、[魔境の山]と呼ばれていると本で読んだことがあるが」

「ええ。その魔物がこの村に襲い掛かってきたのではと思いまして。しかし15年前の調査では魔物が暴れていたという痕跡がなかったとなっていました。山が近いので一番可能性が高いと思って自分の目で確かめようと。もしそれが事実でしたら危険だと」

グニスは本の記憶を頼りにする。

「・・確か、魔境の山の魔物が山から出てくることが出来ないように、視認の出来ない結界を張っていて、近付くことも難しいとされている・・だったかな。もしその結界が何かの理由で消える、もしくは何か抜け道があったとして魔物が出ていたら大騒動になって世の中混乱してしまうだろうな」

「その結界は王族の方なら視認することが出来るのでその確認も含めての調査だったのです」

「つまり、王族であるリーシャが来なければいけなかったということか。遠くから見ることは出来ないのか?」

「はい。遠くからは確認が出来ず、ある程度近くに来なければ見ることが出来ませ・・・。えっ!?どうして私が王族だとわかったのですか!?」

リーシャは驚き、グニスに問い詰めるように近寄ってきた。

「ん?バレたら駄目だったのか?騎士の様子からして普通の貴族様って感じの接し方じゃなかったし。バレたら駄目だったのなら忘れるよ」


まぁ、小声で城の中がどうのって自分で言ってたもんな~。


「いえ、バレたら駄目というわけではないのですが・・。それだけで分かるものなのでしょうか?上手く隠せていると自負していたのですが」

リーシャは少し俯いてブツブツと言っている。


騎士隊長を連れ戻すため追いかけていった騎士がリーシャを探しに行った騎士たちを連れ戻ってきた。

「リーシャ様!ご無事で!お話は戻ってくる際にお聞きしました!我々が付いていながら大変申し訳ありませんでした!」

隊長のシューゲンが頭を下げて謝罪した。

「私は無事よ。この方、グニスさんに助けていただいたので」

シューゲンは頭を上げてグニスの方を見た。

「グニス殿と申すのか!リーシャ様を救っていただきありがとうございます!なんとお礼をすれば!」

シューゲンはグニスの両手を掴み激しく揺らした。それほど感謝しているのだろう。

「わ、わかったから落ち着いてくれ」

シューゲンは両手を離して少し後ずさり、左腰にかけてある剣に左手を置き、右手はこぶしを握り胸の前に勢いよく持ってきた。おそらく騎士の挨拶のような作法なのだろう。

「申し遅れました。私はエルロッテ国に所属している騎士たちの隊長を務めておりますシューゲンと申します。改めてリーシャ様を救っていただきありがとうございます」

言い切った後にシューゲンは深々と頭を下げた。


きっちりしてる人だな~。

隊長となるとこういうものなのか。


「グニスさんは私の正体を知っているから気にして話す必要はないわ」

シューゲンはリーシャの方を向いて、

「何を言っておられるのですか。バレないようにすると生き込んでおられたではないですか。」

シューゲンは少し呆れている。

「仕方ないでしょ?グニスさん、頭いいのよ。私からは言ってないわ」

シューゲンは恐る恐るグニスの方を見た。本当の事かを確かめるかのように。

「リーシャの言ってることは本当だよ。騎士たちの接し方が普通の貴族様のような感じと違ったように見えたからね。この山の結界の話もしたから、もしかしたらそうじゃないかなと思っていたから責めないであげて」

「・・・わかりました。グニス殿がそう仰るのであれば。・・しかし、我々の目を盗んで一人でフラフラと行動する癖は直していただきたいです!もしグニス殿がいなければ大変な目にあっておられたのですぞ!?」

リーシャの心にグサッと何かが刺さる音がした。

「ぐっ・・!そ、それは悪かったわ。でも、私みたいなか弱い女の子から目を盗まれてしまう貴方達も悪いんじゃなくて!?」

シューゲンの心にもグサッと何かが刺さる音がした。それと同時に不満が漏れ出してしまった。

「あ、貴女がか弱いなんてことないでしょう!魔法の才能に優れておられているというのに。それにおてんばすぎるのですよ」

「なによそれ!私のどこがおてんばっていうのよ!」

「先ほどもそのおてんばのせいで!」

二人の言い争いが激しくなっていく。


もう俺、帰ってもいいかな?

むしろ帰りたい・・。

あっ、帰る前に狩りでも行こうかな。



__________


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