~この世界で俺は~11
「でもグニス様が力を抑えていた元を解除してくれたのでとても助かりました。本当にありがとうございます」
ヨツカは深々と頭を下げた。
「いいって。それに関してはたまたま試したことが上手くいっただけだよ」
「そんなことありません!グニス様の力があってこそ解除が出来たんですよ!謙遜するところではありませんよ!」
ヨツカは両手拳を握りしめてグニスに迫った。
そう、本に乗っていた解除魔法〈ディスペルマジック〉を試したところ、ヨツカの抑えていた力の根本を解除することが出来たのだった。
「わ、わかったよ。でも本当にいいのか?力を取り戻したし集落の件もあるはずなのに俺と一緒にいて。縛るつもりなんてないからここから出て自分のやりたいことをしてもいいんだぞ?」
「・・・私はグニス様に助けられて、集落へ行った時もグニス様が私のために怒ってくださったのが嬉しかったんです。なので私はこれからグニス様のために生きていくことを決めたのです。もちろん人族を許したつもりはありませんが、グニス様のような人族もいると思えたので。なので今はグニス様だけ特別なのです。これは私がやりたいことで、自分で勝手にお慕いするだけですので。グニス様はお気になさらずに」
ワンピースを両手で広げて令嬢のような挨拶をした。
「・・・まあ自分で自由にするのであれば何も言わないよ。でも俺の自由、やりたいことに関して何か邪魔するようであればヨツカでも容赦しないからね?」
グニスは笑った。何か不穏な笑みで少し怖かった。
「も、もちろんです!グニス様の邪魔は絶対にしません!むしろグニス様のしたいことを私にも支えさせていただきたいです!」
「まあ、その辺も自由にしてもらえてらいいよ。お互い助け合える時は助け合うようにしたらいいしね。ヨツカも全部自分で何とかしようとせず頼れるときは頼ってくれていいからな」
「はい!その時はどうぞよろしくお願いします!」
グニスは魔法の修行を再開して、ヨツカは近くで魔力は放ち続けて魔力を無くすようにするよう始めた。魔力量を上げるため。
これはグニスに教えてもらってから毎日行っていること。
それから数日が経ち、現在。
ヨツカが勉強している間に狩りをしたグニスは狩ったイノシカを小屋に持ち帰った後、少し遠い場所まで来ていた。
自分が生まれた村を見に行くことを決心していた。
村の場所まで辿り着いたのだが、そこには多くの人がいた。
しかし村人という感じではないことは一目でわかってしまった。
村は廃村になっており、鎧を着ている人が多くて豪華な馬車がそこにあったからだ。
鎧を着ているのは騎士だろう。
あれはまさか両親を殺した国の?
・・・いや違う。
あの馬車に描かれている紋章は、確かエルロッテ国のだったような。
両親を殺したのはグランタ国だったし。
でもあいつら何をしにここへ?
少し様子見をしてみるか。
しかし、騎士たちは村で何かを探しているように見えるが、目的が違うように見えた。
グニスは心を読むことが出来る魔法を覚えているので何人かの騎士の心を読んだ。
「あのお方はいったいどこへ。どうしてじっとすることが出来ないのだろうか」
「あーあ。なんで俺がこんなことを。早く帰りて~」
「この廃村のどこかにおられるとは思うんだけどこれだけの人数で探しているのに見つからないなんて」
「もしかして森の中に?でもこの森にはさすがに入ることはないはずなんだけど」
・・・なんか一人だけ面倒くさそうにしてるやつがいたな。
でも話からするに誰かを探していて、それはあのお方と言っているところからすると、国のお偉いさんの可能性があるな。
まあ誰でもいいことだけど。
すると一人の心の声を聞いた。
「あいつら森に拉致するの上手くやったんだろうな?拉致が出来ているのを信じて俺は次の計画を進めなければ」
・・・ふ~ん。あいつか。
それじゃあ過去の記憶も読ませてもらいますか。
「今回の遠征で俺が騎士を引き付けておくからその隙にアンタたちは拉致をする。その段取りでいいんだな?」
怪しい騎士の視線の先にはマントを被った人が複数いたが顔は確認できなかった。
「ああ。我々は拉致した後、そのまま北西の森へ入り姿を隠す。騎士達を南東方面にお前が誘導して、誘導を確認したら俺たちはそのまま西へ向かう」
「よし、では当日頼んだ」
なるほどな~。
つまり今は北西の森であいつらが待機しているということか。
あの騎士は動き始めたな。何人かの騎士に話をしているな。
こんな現場を見て放置するのもだしな~。
西の国って確か・・グランタ・・だったな。
でも面倒事になりそうなんだよな~。
う~~~~ん。
まあ俺も情報欲しいと言えば欲しいってのは事実だし、今回限りってことでいいか。
一人の騎士が何人かの騎士を連れて隊長らしき人に話をして、南東の方へ何人かを廃村に残して向かった。
その光景を見ていたマントを被った人たちは、
「よし、何人かは残ったがほとんどの騎士が向こうへ行ったみたいだな。今のうちに行くぞ」
マントを被った人達は立ち上がり振り返った。
そして驚いた。
そこにはグニスが立っていたからだ。
「お、おい!なんだ貴様!そこをどけ!」
マントを被った人は4人、一人は手足を縛られた金髪の女性を抱えている。少し暴れているため意識はあるようだ。話せない事を察するに口も縛られているのだろう。もごもごと何かが聞こえている。
「えっと~さすがに現場を見ちゃうとこっちも気が悪いし止めさせてもらうよ」
「黙ってそこをどけ~!」
3人がグニス目掛けて突っ込んできた。
二人は剣、一人は槍を持っている。
槍の人が突きを繰り出した。
グニスは右に避けて一言。
「時間かけるのも面倒だしすぐ終わらせるよ。そこの捕まってる人に聞きますけど、この人達は捕らえるのか殺すのかどっちがいいですか?捕らえるなら何か話して、殺すなら何も言わないでください」
捕まっている女性はもごもごと何か言っている。
「捕らえるということでいいんだな。それじゃあ適当に加減して」
瞬時に剣の二人のお腹を殴り、気絶させて槍の人の背後にいるので手刀を首にして気絶させた。
女性を抱えている人は何が起きているかわからない中、仲間が倒れている最中にお腹に衝撃を受けて倒れた。
倒れる際に女性を離していたので、グニスは女性をお姫様抱っこで支えた。
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