76<聖なる星々の国~束の間の休息と目の保養~
「スピカ……」
少女は、宮殿の地下に併設された地下牢が並ぶ
冷たく薄暗いその場所に似つかわしくない
頼りなげでか細い声を響かせる、だが
呼びかけられた相手は声を荒げて少女を罵倒した
「馴れ馴れしく呼ばないでよ!死人のクセに!!
私の日記を返して!返してよ悪魔!!」
鉄格子を隔てていなければ今にも噛み付いてきそうな相手に
かつての天真爛漫で生き生きとした面影はどこにもない
「死ね!あんたなんか死んじゃえ!!
あんたが生きてるから私は聖女になれないのよ!
私の幸せを願ってるって言うなら死んでよ!!死ねー!!」
叫び、獣のように鉄格子に飛びつき耳障りな音を立てる
優しかった筈の妹から発せられる言葉に耐え切れず俯いた姉は
悲壮に顔を歪め、鬱屈とした足取りでその場を後にした
*****
エスティール聖国に無事帰還した翌日
遠方から帰ってきたばかり、という事で
その日一日休みをもらった俺とフリッツだったが
初めての長時間空路移動が堪えたのか
片方はベッドの上から起き上がれない状態になっていた
「大丈夫か?フリッツ」
「無理……起きられない」
安物の寝具の上にはどでかいシーツの塊がひとつ
布団に潜りこんで顔すら出さないフリッツの呻き声が響く
食欲すら失くすほど頭痛が酷いらしい
「そんなに痛ェなら回復導術かけてもらえばいいじゃねーか
ルルムスか嬢ちゃんに頼んで」
「いらない」
「導術に頼るのは悪い事じゃねェぞ
ルルムスは兎も角、嬢ちゃんなら金もとらねーだろうし」
「金の問題じゃない」
「じゃあなんだ
騎士の誇示か?やせ我慢か?
どっちにしても格好悪いぞ」
「……アッシュ」
「おう、雑炊か果物なら食えそうか?
これ、水差しな
氷嚢はいるか?いや、氷枕の方がいいか……?
頭冷やしてみるか」
「なんで当たり前みたいに看病しようとしてるんだ……
俺の事はいいから
あんたはあんたでやりたい事やってくれ」
「おう、じゃあ遠慮なくそうさせてもらうぜ」
言うが早いか備え付けの椅子を乱暴に動かし
ダン、と強い音を立ててベッド脇へ置くとそこへ腰かけた俺は
朝食の際顔を合わせた牧師風の男が当たり前のようににこやかな笑顔で「どうぞ」と手渡してくれた朝刊を開くと目を通し始める
紙面の文字を追う視界の端でシーツが波を作り
視線が向けられたのを察するがあえて無視しておいた
暫しの間を置いて、相手から気まずげな声がかけられる
「付いててくれなくてもいいって意味で言ったんだが」
「これからの旅にのんびり腰据えて物読む時間なんてなさそうだからな
今の内に読めるモンを読んでるだけだ」
「……なぁ」
「んー?」
「導師って、あんたから見てどんなヤツなんだ?」
「ルルムス?あー……
一言で言やぁ『最強の後衛』ってトコか
お互い知れる仲になってまだ二か月も経っちゃいねェが
実力も文句のつけようがないし、頭もキレる
悪知恵に関しちゃ俺の方が上だが
正攻法だったらアイツの右に出る奴はいねェだろうな
そういう意味では非合法も視野に入れて
柔軟に立ち回れるベスカトーレ卿より強ェ」
「その言い方だとベスの方が上手に聞こえる」
「そりゃあな?手を汚す事も必要な時だってあるだろうが
正しさの塊ってのは叩きつけられると特大に痛ェモンだ
それがドでかい真っ赤な鉄球をブチ込まれる規模ともなれば
非合法なんぞで小細工した所で無駄、無駄」
「……なるほど
そういう御仁なんだな、導師って」
「アイツの前じゃ悪さできねェからな
お前も肝に命じとけよ」
「クラウスっていう子供は?」
「アイツはまぁ、一時的に面倒見てやってるというか
今は一緒に行動しちゃいるがいつか自分の道見つけて独り立ちするだろ
そん時まで旅の道連れやってるだけだ」
「その割にはあんたを主人と仰いで慕ってるみたいだったが」
「ごっこ遊びにハマってんだろ
一時的なモンだ、気にすんな」
素気無く手をヒラヒラさせつつ紙面から目を離そうとしない俺の態度を観察するように見つめていたフリッツは、シーツから僅かに出していた顔を再び引っ込めた
カタツムリかお前は。
時折苦しそうに唸っているので辛い頭痛は継続中だ
せめて田崎世界にあるような頭痛薬が手軽に手に入れば良かったのだが。
やはり導術の普及で医療技術が衰退したのは痛いよなぁ
そんな事を思いながら止めていた視線を走らせた
情報紙を捲る音以外に響くのは不規則なうめき声と
時折シーツが擦れる音だけだ
片方が苦しんでいるので穏やかとは言えないが
気を許せる人物が傍にいる所為か、俺にとっては
普段から張っていた気を緩める事のできる
貴重な休息時間になっていた
暗闇に視界を閉ざしていたフリッツは
傍に座っている男の気配だけに意識を集中させる
探るように神経を尖らせているのは
昨夜施された聖約の影響があったからだ
(本当に……気付いてないのか?
自分が古の王だという事も、クラウスって子供が竜帝だって事も)
”その事実は決して表せない”として
聖約が刻まれていると分かったのは起床直後からだった
殴られたような衝撃に、シーツの中で額を押さえたフリッツはそれ以降
棘だらけの玉が縦横無尽に転げまわるような頭痛に耐え続けている
痛みに伴い体の内側に響いてくる声のようなモノも
昨夜導師に施された聖約の影響なのだろう
理解できない思考に刻み込んでくるような痛みと衝撃が続く
無理矢理にでも分からせようと、受け入れさせようとする問答無用の強制力
(これが『聖約』ってヤツか)
己の命を対価にした魂を縛る導術という説明が事実ならば
道術に対してさほど耐性を持たないフリッツが抗えないのも必然
十の戒律とでも言うべき何もかもが信じがたい真実ばかりだった
己の頭が固い事はこれまでの仲間たちの指摘で十分に理解していた
聖約でもされなければ決して認めることはできなかっただろう
隣りには
この世界を地獄に変えてしまう、人類の敵だと言われている魔王が
緊張感など欠片も無い姿でだらしなく座り情報紙を読んでいる
(アシュランが……魔王……)
聖約を施された今でも分かってはいる、理解してはいるが
認めたくないと自身の心が声を上げている
(だって、魔王だぞ?
俺たちを含めた全ての人間の敵で……非道で、残虐な存在
の、筈……なのに、)
アシュランはフリッツにとって、命の恩人だった
生涯をかけて仕えようと心に誓った人だった
心に誓う事と魂に誓う事のどちらが優先されたのかは分からない、だが
聖約によってフリッツが元々持ち得ていた
価値観の一部が崩壊したのは確かな事だった
終末を知る全ての人間が隣りに座る男の死を望んでいる
数年前、短い期間ではあったが在籍していた学導院の
必修でもあった聖典科目に記されていた人類の仇敵と
これを滅ぼす五人の聖者
自分の目で見たものしか信じない傾向が強かったフリッツは
聖典のそれをお伽話とばかり思っていた
千年も前に実在した前例があろうとも
終末が現実になるなど夢にも思わなかった
魂に刻まれた聖約が否応なしにフリッツに理解させ、受け入れさせる
なんで、嘘だ、信じない、と何度強く考えても
根本では納得させられてしまう
聖典では悪の権化か超巨大な恐怖の塊のような存在として記されている魔王だが、当の本人はどこにでもいるおじさんだ
特別な感じなど全く無いし、それを言うなら
クラウスという名の絶世の美少年の方がよほど魔王感がある
初っ端から気が滅入るような事実を突きつけられて
これほどに苛まれているというのに、まだ半分も理解できていない
この苦悩は始まりに過ぎない、頭痛はおそらく丸一日続くだろう
そして自分は、フリードリヒ・アレグロスティは
明日には”今の己ではなくなっている”であろう事を悟った
だからこそ硬く拳を握り、強く決意する
(あの野郎は次に”遭”った時に思いっきり殴る)
強制的に元あった価値観と認識を
ゆっくりと、時間をかけて変化させられている現状は
元来頑固であったフリッツにとって聊か不愉快が過ぎる事象であった
それこそ導師様呼びから野郎呼びに変わるほどに
それだけでも十分に大きな変化であったが
フリッツはまだ知らなかった
これほどに感じる不快感と怒りに”先”が存在している事を。
そして翌日、鳥が美しい声で囀る中
頭痛に耐え抜きスッキリと目を覚ましたフリッツは目出度く
(ルルムス・アッパヤード……ぶっ殺す)
導師絶対殺すマンに進化していた
一日中頭痛で苦しんだフリッツが翌日全快した
それ自体は喜ばしい事だったのだが
全快も過ぎると異常になるのだと初めて知った日でもあった
「フリッツ、なにしてんだ……?」
フリッツがいる個室の扉を開けて、目を点にする俺
それに答えるフリッツは元気に汗を飛ばしていた
「見て、フン!分からないか?フン!
素振り、フン!してるんだよ、フン!」
エクスカリバーみたいな見た目の剣を半裸で振り回している男がいる部屋は
熱気と汗の臭いが充満している、まるでサウナだ
狭い個室でロッキーのテーマを流している劇画調のフリッツを前に
俺は早々にげんなりさせられた
清々しい朝に目にするべき光景ではない
「元気有り余り過ぎか、せめて窓開けろ
それか走りに行け
ついでに観光でもして町に慣れろ」
「それが主君の命とあらば」
「アホ言っとらんと先ずはメシを食ってこい」
キメ顔で俺を見るフリッツに呆れ全開の半目で返してさっさと踵を返す
一日中頭痛に苦しんでいたがその所為でどこか壊れでもしたのだろうか
兎に角ああいうのには関わらないに限る
さて、今日の予定は聖女探し以外にどうするかと
頭の中で分刻みのスケジュールを組み立てていると階下から声がかかった
「アッシュさん、あなた宛てに書状が届いております」
「ああ、今取りに行く」
ひょいと顔を覗かせて階下を見ると、牧師風の男がこちらを見上げていた
手には丸められた羊皮紙が握られている
階段を下りてそれを受け取り、封蝋を割って中身を確認すれば
それはルルムスからの正式な宮殿への招待状だった
「宮殿で立食パーティか」
「お昼はご用意しなくても宜しいのですか?」
「ああ、お呼ばれしたなら行かないとな
昨夜も今朝も旨い飯ありがとよ
連れの具合が良くなったから朝食用意してやってもらえるか
追加の宿賃払っとくからよ」
「いいえ、今お支払いいただいている分で十分でございます」
「遠慮すんな
ルルムスの紹介と言えどタダで連泊ってのは俺の信条に反する
ここの子供たちにもっと食わせてやってくれ」
「そういう事でしたら……お心遣い、感謝いたします」
差し出した金子を受け取った男は疲れた表情をしていた
「大丈夫か?目の下にクマ出来てるぞ」
「ご心配おかけしてすみません
多少仕事が立て込んでいるだけです」
牧師の言う立て込んでいる仕事、というのが
ルルムスが部下たちに出した鬼のような課題であることを俺は知らない
「手伝える事があれば遠慮なく言ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
流石はルルムスの関係者が経営する孤児院
穏やかで人徳のある人が経営している
纏っている雰囲気も俺が知る神殿の神官とよく似ているから
条件反射というか、傍に居るとなんとなく安心するんだよな
その後は朝食を終えたフリッツと少しばかり孤児院の雑務を手伝って
立食パーティの時間が来る前にパーティ用の服を買いに行くべく
フリッツと共に町に繰り出した
ロクな旅支度も無く俺に付いてきたから
今のフリッツは家宝の騎士甲冑以外着るものがないんだよな
普段使いなどできない騎士甲冑は部屋に置いて、軽装で共に服屋へと向かい
パーティに着て行っても問題ないものを一式揃えて教会までの帰路を歩く
そこから宮殿までは牧師さんが馬車を手配してくれたそうなので
それに乗って宮殿まで向かう手はずになっていた
パーティに着て行く俺の服装はどこにでもある地味なフォーマルスタイル
目立っても良い事なんて一つもないからな
前髪を上げてアシュランだとバレたら面倒なので
髪型は無造作に整える程度にしておく
そうこうして身支度を整えているとあっという間に約束の時間が来た
フォーマルスーツという楽な服装で機嫌よく馬車に乗り込み
地図片手に向かいに座るフリッツへ
窓の外を指さしながら要所要所を説明していった
「アレが道具屋、あっちが雑貨屋
あの出店の食いものは混ざりモンが入ってるから安易に口にするなよ
腹壊すからな」
「詳しいんだなぁ」
「あっちの小道には売人が常駐してる
スジ者が屯してるのは反対の路地裏
面倒なのに追いかけられたり絡まれたりしたらあの水路を回り込んで
裏手の屋根伝いに表に出れば大体撒ける」
「詳しいんだな?!」
「驚く事でもねェだろ
ギルド所属の冒険者だったら街中で命狙われる位当たり前だ」
「その当たり前は絶対におかしいぞ」
「実際に夜襲も受けたし
この国でアシュランは死んだ事になってるからな」
「それは……詳しく聞いてもいい事なのか?」
「他言しないなら構わねェよ
お前には隠すような事でもねェしな」
俺がこの国で遭遇した出来事に限り、かいつまんで説明していると
時間が経つのも早く目的の宮殿に着いた時には
フリッツは疲れたようにため息を吐いていた
「今後は出来る限り俺も一緒に行動する」
「いらねェよ
俺の自由時間を奪うな」
「いいや、同行する」
「だから、いらねェって」
「同行する」
「いらん」
何度も食い下がるフリッツを何度も拒否しつつ馬車を下りれば
場所はこの国に来た初日に目にした宮殿の正面玄関だった
その時はまさか追い出される事になるとは思ってなかったからな
正面玄関から建物を見上げるのは二度目だ
下車したフリッツが俺の背後に歩み寄り
地図を開いた俺の手元を覗き込む
「会場はどこだ?」
「地図では確かこっち……」
と、勝手に歩き出そうとした所で
玄関前に立っていたパーティ参加者であろう数名の内
ドレス姿の女性がひとり歩み寄ってきた
「失礼いたします殿方
アッシュ様とフリッツ様でお間違いありませんか?」
「そうだが、貴方は」
十分な距離をとって立ち止まった女性と俺の間にスっと割って入り
俺を守るように片手で制し目の前の女性を警戒し始めたフリッツを
心の底から冷めた眼差しで見上げる
隙あらば騎士騎士しやがってこの野郎……
「導師様よりお二人の案内を仰せつかりました
ミモザ・トリマンと申します
現在は導師様のご依頼によりラピス・シェアト嬢と
クラウス様の家庭教師をしております
以後、よしなに」
ほう、ルルムスの依頼で嬢ちゃんの教育係をしている女性か
それなら信用できる
警戒姿勢を崩さないフリッツを肘で小突いて目の前から退かせると
完璧な淑女の立ち振る舞いをする女性に謝罪を入れる
「連れの者が失礼した
冒険者ゆえ無作法をお許し願いたい
ご存知の通り俺はアッシュ、こちらはフリッツという
案内をよろしく頼む」
冒険者という肩書の俺が格式張り過ぎてもおかしいからな
多少粗野でも問題ないだろう
それにしてもこのご婦人、大層ご立派なものをお持ちで。
いの一番にそういった部分へ目が行ってしまったのは
抗えぬ男の性というヤツだ
ドレスも地味ながら品があって胸元には綺麗な谷間ができている
所作も中々に美しい、流石はルルムスが推挙しただけはある
腰も引き締まっていて、スカートの下に隠れている
魅惑のヒップラインを望めないのが心底惜しい
胸、腰が美しければ尻も当然美しいに決まっている
こっちの世界では中世ヨーロッパみたいなドレスが主流だからな
田崎の世界みたいにスリットの入ったヒップラインも楽しめるマーメイドドレスや
背中が大きく開いたものなんてない、露出しているのは大抵が谷間だけだ
と、久しぶりにアシュランの目に適う程美しい女性を見られたものだから
相当不躾な視線を送ってしまったようだ
婦人は手にしていた扇を開いてそっと胸元を隠す
うわ、俺そんなにあからさまな視線を送ってたのか
申し訳ない事をした
「すまない、貴方のような魅力的な女性を
目にしたのが余りにも久しぶり過ぎて、つい」
言い訳はしてみたものの、俺の不躾な目線に気が付いていたフリッツも
非難がましい視線を俺に送っていたらしく即座に苦言を呈してきた
「アッシュ、それは謝ってるとは言わないぞ」
「ほほほ、還暦も過ぎた年ですけれど
そのように言って頂けるのはいつになっても嬉しいものですね」
「還暦!?嘘だろう!?……あ、」
「フリッツも失礼極まりないじゃねェか」
「まぁ、それほど驚いて頂けるなんて
殿方から若く見て頂けるのも、嬉しいものですね」
女性は魔女だと言うが、彼女も十分に美魔女だった
見た目三十代でも十分に通用する若々しさ
まさか61歳を過ぎてこの美しさとは。胸の肌もピチピチだった
なるほど、その年齢だから所作も洗練されていて美しいのか
通りで女性を見る目が厳しいアシュランのお目がねに適うはずだ
なんにせよ、彼女のお陰でいいものを見る事ができた
久しぶりにそういった意味での癒しを得ることができた気がして
こっそりと涙ぐむ……これまで男所帯だったもんな
男には適度な潤いが必要だ
暫くの間、癒しが欲しい時に魅惑の光景を思い出すのを許してほしい
嗚呼、やはり大人の女性というのは良いものだ
一人感動に浸っていたら
フリッツによる強めの張り手が俺の背中を襲った
相当締まりのない顔をしていたらしいので軽い咳払いで場を取り繕う
婦人の顔に見覚えは無いが所作の完成度から
どこかの貴族なのは間違いないだろう……と、思っていたのだが
案内の道中でミモザさんがとある商家の女主人である事が発覚
貴族令嬢も形無しの現役キャリアウーマンだった
しかも主な取り扱いは宝石、世界中の富裕層を相手に
切った張ったの商売をしているらしい
(ルルムスってとんでもない人脈を持ってるんだな)
ひとり感心している間に案内された先は
今パーティ用にわざわざ準備されたルルムス専用の控室
流石国賓待遇、そんじょそこらの富裕層とは扱いが違う
ミモザさんが扉を開き、通された先に居たルルムスが俺の顔を見るや否や
キラキラエフェクトを纏った神々しい笑みを浮かべて
無駄に神秘的な声音で容赦なく戒めてきた
「女性に見惚れるのは構いませんが
もう少し節度を保って下さいね、アッシュ」
(……お前の能力ってホント厄介だよな)
ミモザさんの谷間を思い浮かべながら心の中で呟いたのと
ルルムスが拳を握ったのはほぼ同時だった




