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7.とあるニートの極楽地獄

 草木も眠る丑三つ時、こんな時間にもなるとテレビもろくなものがやっていない。かと言って無音にすると世界に自分が一人きりになってしまったような孤独感が襲ってくる。働きもせずに部屋に引きこもっていれば尚更だ。


「昔はこんな時、音楽でも流すしかなかったけど……」


 今は配信業界が大いに賑わっている。

 たとえ平日の深夜であろうと、世界を見渡せばどこかで誰かが今も生配信を行っているのだ。

 

 Metubeを開き、ライブの文字をクリックする。

 やや読み込みの時間をおいて、配信中のライブのサムネイルがいくつも表示された。

 やはり今日も誰かがこうして深夜に配信を行っている。そこにはたくさんの視聴者もいるはずだ。

 本来は明日の仕事や学校のために寝ていなければいけない時間だというのに起きているのは、自分だけじゃない。だから俺は大丈夫だ、大丈夫。

 

 心を静めるように深く息を吐いて、サムネイルの中から今日の深夜を一緒に過ごす相棒を決める。

 たくさんの候補の中から一つ気になるものがあった。


「パケモン初代の実況プレイかぁ」


 俺が子供の頃に流行っていたゲームだ。

 まだその頃は自分がこんな風になるなんて思っていなかったし、世界は輝いて見えていたな。

 友達もたくさんいて、一緒に対戦やパケモンの交換っこしたりして遊んでいたっけ。懐かしいものだ。


 そんな郷愁にかられて俺はそのページを開く。

 中央にゲーム画面が表示されるのはゲーム実況なので当然なのだが、それとは別に配信画面右下にちょこちょこと動く立ち絵が表示されていた。


「なんだ、Vtuberのゲーム実況だったのか」


 概要欄を見ると、ヒキー・ニッターという名のVtuberらしい。

 隈目がちの目に、それを隠すように長い白の前髪。体は病的なまでに白くて細い。見るからに不健康そうなやつだった。


 Vtuberの配信は正直あまり見たことがない。切り抜き動画と呼ばれる面白い瞬間だけを切り取った動画を何回か見たことあるくらいだ。

 意図的に避けていたわけではないが、内輪で盛り上がっている感じがして、あまり積極的に見ようと思わなかったというのが正直なところである。


「……落ち着いた感じの実況だな」


 どうやら既プレイのようだ。「この草むらにはたしかあのウサギっぽいパケモンが出るんですよねぇ」などと昔を懐かしみながらプレイしている。

 発言の感じから察するに、俺と同じようにノスタルジーをパケモンから感じ取っているのだろう。


「今日はこの配信にするかな」


 深夜に相応しい声音なのでちょうどいい。なによりパケモンは最初に一緒に旅に出るパケモンを選べるのだが、そのチョイスが俺と一緒だ。赤属性を選ぶ奴に悪いやつはいない。あくまで個人の感想だが。


 俺は配信画面をデュアルディスプレイのサブ画面に移して、メイン画面の方には自分がプレイするゲームを立ち上げた。

 深夜のお供にすると言っても、ずっとその配信を見るわけではない。ラジオ感覚で垂れ流し、ただ俺の孤独感を紛らわしてくれればそれでいいのだ。


「俺は俺で楽しむから、お前はお前で楽しめよ」


 ヒキー・ニッターが「パケモンゲットだぜー!」と言って、コメントでは『88888』と流れる。なんだか時間がゆっくりと流れているような気がした。





「……ん」


 のそりとベッドから起き上がり、目をこする。

 いつの間にかに眠ってしまっていたようだ。


「今は……6時か」


 6時は6時でも夕方の6時だ。

 ベッドに入ったのがたしか朝の8時くらいだったから、たっぷり10時間くらいは寝た計算になるな。

 これが俺の日常だった。昼夜逆転生活というやつだ。朝に寝て、夕方に起きる。メインの活動時間帯は深夜。太陽を浴びるとそれだけで体力が削られていく気がする。だから、この生活リズムでの生活を続けていた。


「ねむ……」

 

 目を覚ましたらとりあえず顔を洗ったりするよりも早くPCの電源を点ける。というよりかはスリープを解除する、か。24時間365日基本的に電源は入れっぱなしだ。そうしたほうが電気代の節約になるし、PCへのダメージが少ないとかなんとか。真相は知らない。


 そうしてPCを起動して、なんとなしにデュアルディスプレイのサブ画面を見ると、ヒキー・ニッターの配信画面が表示されていた。寝る前にブラウザを閉じた覚えがないので、ページが開いたままになっていたようだ。画面が配信中の状態になっているのは最新の状態に更新できていないからだろう。そう思って手動で更新を行う。しかし、配信中の表示は変わらなかった。


「……ん?」


 おかしいな、どういうことだろう。

 いやまさかとも思うが、流石に俺と同じタイミングで休憩をとってプレイを再開しただけだろう。

 しかし、概要欄付近には驚愕の文字が表示されていた。


「22時間前から配信中……?」


 嘘だろ、と思いシークバーを動かす。

 Metubeでは配信中であろうとシークバーを操作することで配信を遡って再生することができる。

 録画中のテレビを追いかけ再生するようなものだ。

 「0:00:00」まで戻す。配信開始してすぐの時のヒキー・ニッターがそこにいた。


「みなさんどうもこんばんは。ちがう、こんあくま。……これ、他のVtuberさんと被っているようで。なんかいい挨拶あったら教えてください。あ、裏切り鮭さん。早速のハイパーチャットありがとうございます。ただ、昨日のように全ての質問に返答はするな、とマネージャーさんから強くお叱りを受けてしまったので、一言でのお礼となります。すみません」


 ヒキー・ニッターのその言葉に『草』、『やっぱり叱られたのか』、『マネージャー有能』といったコメントが流れる。どうやら以前になにかやらかしたようだ。


「えーっと、今日は皆さんもご存じのパケットモンスターをやろうと思います。シリーズの第一作目、いわゆる初代ですね。と言ってももちろん、一晩でやり切るわけではなく、一週間くらいかけてゆっくりとやっていけたらな、と。とりあえず今日は3時間くらいのプレイを目途に、切りの良いところまでやりましょうかね」


 どうやらこの時点では3時間程度でプレイを終えるつもりでいたらしい。それがなにをどうしたら22時間ぶっ続けでプレイすることになるのだろうか。シークバーを「3:00:00」まで動かして確認する。


「はい、俺の勝ち―。甘いんですよね。しょせんNPCですよ。人間……じゃなくて悪魔のこの俺に頭脳戦で勝てるわけが……え? もう3時間経ったんですか? ええー……せっかく調子が出てきたところだったんですけど……うーん、そうですね。もうちょっとだけプレイさせてください。最低でも5時間くらいしたら止めますんで」


 『延長助かる』、『やる気勢』と好意的なコメントが流れていた。なるほど、こういった調子で配信時間の延長が行われたんだな。そうなれば気になるのは次のタイムリミットとなる『5:00:00』だ。俺はもう一度シークバーを動かす。


「避けろ、ピカニャン! ……避けない!! ……あーあ、また負けちゃいましたよ。これで3連敗です。たしかアニメ版では呼びかけると敵の攻撃を避けてくれるんですけどね。公式チートか何かですか、あれは。……え? そろそろ5時間経ったけどって? 止めるわけないでしょう、夜はまだこれからですよ、これから」


 とうとう『まだやるとかマジかよ』、『すまん俺は先に寝るノシ』、『俺は止まんねぇからよ、止まるんじゃねぇぞ』と脱落者が現れ始めていた。

 それもそのはずだ。この時点ですでに深夜1時となる。普通の生活をしている人間なら、いよいよもって寝なければマズイという時間帯だ。しかし、ヒキー・ニッターは何食わぬ顔で実況プレイを続ける。まぁそもそもそんな機微が表示される機能がこのアバターにはないのかもしれないが。


 その後もちょくちょくとシークバーを動かして経過を確認すると、『もう俺を開放してくれ』といった悲鳴や、『まだやってて草』などの寝起き勢と思われるコメントが流れており、配信はそこそこ賑わっていた。


 こうして配信を一通り眺めていて思うのは、ヒキー・ニッターの調子が全く変わらないということだ。普通これだけ長時間喋り続けていれば、ある程度の疲労が声にも出てくると思うのだが、配信開始からずっと同じ状態を維持しているように聞こえる。たしかこういう長時間の配信をするやつを『配信モンスター』と呼ぶのだったか。思わぬ耐久配信に阿鼻叫喚といった様子のコメント欄を見るに、相応しい呼び名だろう。


 気づけば俺はヒキー・ニッターの配信画面をメインのディスプレイに移し、その配信を集中して見始めていた。

 配信にコメントをするという行為は人生で初めてだったかもしれない。そうして書いたコメントを読み上げてもらえると、案外嬉しいものなのだな。もしもそれが自分が好意に思っている相手だったら尚更だろう。配信にはまる人がいるのも分かる気がする。俺は相手がよく知らないヒキニートの悪魔だということもあって、「お、この10円ガム当たりじゃん」くらいの感動で済んだが。


 そうして見続けること3時間――いつのまにか随分と経ってしまったものだな――とうとうヒキー・ニッターは最終決戦を制し、ゲームはクリア。エンディングを迎える運びとなった。


「いやー、最後まで白熱しましたね。まさか最後の最後で『避けろ!』が通じるとは思いませんでした。いつだったか公式チートとか言ってすみませんでした」


 たしかに最終戦は白熱した。

 ヒキー・ニッター側のパケモンも、最後の一匹が瀕死ギリギリになるまで追い詰められ、見ようによればほぼ相打ちというくらいの絵面になっていた。

 自分の記憶だとパケモンは子供向けでそこまで苦労するようなゲームではなかったはずなのだが、これは配信向けの演出なのだろうか。そういう風には見えなかったのが恐ろしいところであるが。


「結局ずいぶんと長時間やってしまいました。ゲーム自体が面白かったというのもあるんですが、皆さんと一緒にゲーム出来たことがなにより楽しかったです。友達がいる人はいつでもこんな気持ちを味わえているんでしょうかね。羨ましいものです。……はぁ、でもほんとに、今日はいい夢が見れそうだなぁ」


 なんだかちょっと闇を感じるコメントだったが、感慨深そうにしているのは嘘ではないだろうし、野暮なことは言うまい。

 コメントでも『お疲れー』や『クリアおめでとう』と祝いの言葉が流れている。ハイパーチャットもいくつか飛んでいた。ニートの俺にはそんな風に自由できる金はないが、祝福したい気持ちは一緒だ。そうして俺も「一言残して配信を閉じるか」と考えた。違和感が押し寄せてきたのはそんな時だった。


 「……?」


 ゲーム画面はスタッフロールが流れ終わり、「END」の文字が映し出されるのみとなっているが、問題は右下に表示されているヒキー・ニッターの立ち絵だ。

 目を閉じたまま項垂れたような状態になっている。

 流石の配信モンスターも疲労を隠しきれなくなったか、と一笑したが、すぐに思い直した。

 こんなコメントが流れてきたからだ。


『なんか寝てない?』


 寝てる? いやいや、ついさっきまでさっきまで起きていただろう。この一瞬の間に寝落ちするなんてことがあるはずが……。

 

 そう考えるも、もしやという思いは消えない。

 「念のための確認だ」と自分に言い訳にしながら、音量を最大にする。

 しかし、そうして聞こえてきたものは、


「zzz……うーん、もう食べられないよぉ……」


――いやめっちゃ漫画みたいな寝方してるやーん!


 思わずエセ関西弁になってしまうほどに漫画みたいな寝言だった。


『マジで寝てて草』

『限界まで遊んで限界と同時に寝るとか子供かな?』

『現在25時間経過。延長戦入ります』

『何やってんだよ団長』

『いやでもすぐ起きるだろ……?』


 コメント欄のみんなもヒキー・ニッターが寝ていることに気付いたらしく、ゲーム終了後にも関わらずコメントは加速していた。それもそうだ。マラソン選手がゴールテープ直前で居眠りを始めたら驚きもする。あと一言終わりの挨拶をして、配信終了のボタンを押すだけでよかったのに。


とはいえ、だ。


『まぁゲーム自体は終わったから落ちるわノシ』

『おつあくま』

『次の配信も期待してる』


 そう、ゲーム実況自体は完了しているのだ。

 配信が切れていないというだけで、もうこれ以上の変化はない。この配信をつけていたとしても、あとはただひたすらにヒキー・ニッターが起きるまで「END」の文字を眺める以外にやることはない。世界で一番無駄な時間の過ごし方だろう。


「……無駄な時間、か」


 生産性のない時間が無駄な時間だというのなら、お前の配信を見続けていたこの時間そのものが無駄なのではないだろうか。

 なぁ、ヒキー・ニッターよ。

 

 俺の言葉に悪魔は一切反応せず、相も変わらず目を閉じたまま項垂れているのだった。




 頭の奥の方で「ふごっ」と音がして目が覚めた。いったい何が起きたのだと辺りをきょろきょろと見渡してから気付いたのだが、よくよく考えれば今のは自分のいびきの音だろう。しょうもない目覚め方をしてしまったものだ。

 

 あの後、俺は結局配信を閉じることはせず、配信のコメント欄で同じくそこに居座っていた視聴者たちとチャットで戯れていた。

 最初こそ「起きろ起きろ」とヒキー・ニッターに向けのコメントが投げかけられていたが、すぐに配信と関係のないコメントで溢れるようになった。

 秩序のないコメント欄は謎の盛り上がりを見せ、なんならゲームの実況プレイ中よりも視聴者数が多かった瞬間もあるくらいだ。配信者側からすればそんな無常なことがあるか、と言いたくもなりそうだが。

 

 俺が船を漕いでいたのはほんの一瞬のことだっただろう。

 「なんのラーメンが至高か」とかくだらない内容で盛り上がっていたはずだし、「塩バタコーンに決まってるだろjk」という鶴の一声で黙らせてやるとするか。

 しかし、俺の想定と反してコメントは別の賑わいを見せていた。


「……起きた!?」


 そう、コメントはとうとうヒキー・ニッターが起きたということで盛り上がっていたのだ。 

 詳しく見てみればどうやらさっき自分の頭の奥の方でなった「ふごっ」という音こそがヒキー・ニッターが起床した音だったという。

 言われてみれば俺はヘッドホンをしていた。そのせいで配信からの音を自分が発した音と錯覚してしまったようだ。


「ん……ん……」


 もぞもぞと蠢くような音がして、ヒキー・ニッターの立ち絵が動き始めた。八の字になった眉が寝起きの気だるさを表している。

 『おはよー』というコメントが流れたので、俺も一緒にコメントする。配信しっぱなしの状態で寝ていたことに気付いたこの悪魔がどういう反応をするのか、視聴者は固唾を飲んで見守っていた。

 のだが。


「朝かー……えー、みなさんおはようございます」


 なんだか思ったよりもあっさりとした反応だったので、肩透かしを食ってしまった。

 同じ気持ちを抱いている人は多いのか、『配信切り忘れて寝たのに、意外と落ち着いているな』というコメントが流れる、

 それに対してヒキー・ニッターが言う。


「確かに配信切り忘れたんですけど、夢の中でも配信してたんで、この現実もまた夢の続きみたいな感じになってますね」


 胡蝶の夢かな?

 かなり危険な領域に陥っていることに視聴者が『もう終わろう』と配信終了を促すが、この悪魔が悪魔としての本領を発揮をするのはここからだった。


「まぁせっかく寝て体力も回復したんで、続きやりますか。ラスボス倒した後に隠しダンジョンが出現してですね、そこに最強のパケモンがいるんですよ」


 鼻歌歌いながらゲームを再開するヒキー・ニッター。

 これにはようやく耐久配信から解放されると期待していた視聴者も、


『いい加減に寝させてくれ』

『許してくれ』

『助けて』

『配信に殺される』


 と悲痛な叫びを上げるばかりである。

 誰一人としてゲーム実況が再開されることを喜んでいない。


「じゃあ、張り切っていきましょー」

 

 弾んだ声と共に、また再びゲームがタイトル画面からリスタートされる。

 そんな時だった。


「……あ、電話ですかね」


 バイブのような音が鳴って、ヒキー・ニッターはそう言った。

 それと共にコメント欄が一気に加速し、


『あ』

『あ』

『きた』

『あ』


 と脊髄反射で書き込まれたような短い言葉が並べられる


「もしもし。はい、今配信中です。はい……はい……え? 今すぐにですか? えーっと、でも体力はまだまだ十分で……あ、はい。すみません。分かりました。今すぐ止めます……」


 恐らく机にスマホを置いたであろう音がして、次いで「戻りました」という声がする。その声は先程とまでと比べてると明らかに気落ちしているように聞こえた。


「あのー、大変申し訳ないんですが、いい加減に配信を止めろと言われ……てはないんですが……そうですね。今日の配信はここまでということで……えー、まぁ、はい。おつあくまー」


 そう言い残されて配信は突如終了した。

 コメント欄では、


『やはり運営は有能』

『またお叱りエンドやんけ』

『一回くらい普通の配信してくれ』

『配信モンスター討伐完了。33:05:41』


 などと好き勝手言われている。どうやら運営に配信を止められたようだ。おまけにコメントを見る限りでは初犯ではないらしい。流石悪魔と言うべきか。


「……あー、終わったかぁ」


 やがてなんの文字列も流れてこなくなり、もうこのコメント欄には俺しかいないんじゃないかと思うようになった頃、俺は手を組んだ状態で上に伸ばし、ゆっくりと伸びをする。運動不足の体は悲鳴を上げるようにぼきぼきと鳴った、


 たまたま見始めた放送をこうして最後までじっくりと見たのは始めてだ。妙な達成感がある。しかし、その一方で無駄な時間を過ごしたなぁという虚無感が押し寄せてくる。

 俺はニート。別に普段だって有意義な時間を過ごしてなんかいない。

 ただ、ゲーム内で記録されるプレイ時間だとか、読み終わった本の山だとか、そういうのすらないことが無駄な時間だと感じてしまう要因なのかもしれない。


「だけど、まぁ」


 無駄であることの何が悪い、とも思う。

 世界で一番無駄な時間の過ごし方ということは、世界で一番贅沢な時間を過ごしたということだ。


 俺もいつかは働き始めなければならない。

 現実問題としていつまでもこんな堕落した日々を過ごしてはいられない。

 だけど、そうして俺が働き始めて、世間から見て普通の人間になるときが来たとしても、今こうして過ごす日々より幸せと思える時間は来ないだろう。

 何故なら、俺は他の何よりも無駄を愛するダメ人間だから。


「ふわぁ……ねむ」


 今日はいつもよりも早く寝ることにする。社会人たちはこれから起床して会社に準備をするのだろうが、その一方で俺は眠りに就く。なんて甘美な行いなんだろう。


 そして、その前にヒキー・ニッターのコミュニティをお気に入り登録しておく。

 こんなダメ人間でも心の底から楽しいと思える時間をくれてありがとう、という感謝の意味も込めて。

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