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出会い
「未経験者歓迎!
他とは一味違ったホテルで、あなたも働いてみませんか?
興味のある方はぜひお電話下さい。
Byホテルザパスト」
そんな求人広告を見つけたのは、6月も半ばのある雨の日だった。
どんよりと暗い空、鬱陶しい雨、不快感を加速させるずぶ濡れのスーツに革靴……
就活に失敗して焦っていた俺にとって、それは天の啓示にも等しかった。
それに俺は、「他とは一味違う」という文章に、妙に惹かれてしまったのだ。
ホテルなんてただ宿泊するだけのサービス。
そう思ってはいたが、特別で、面白くて、退屈な自分を変えてくれる何かが、そのホテルにはある気がした。
幼い頃夢見た、ファンタジーのような世界にも似た「何か」が。
「ホテルザパスト……聞いた事ないホテルだけど、行ってみる価値はある、かな……」
ダメで元々、どうせ仕事も夢も無い。
それなら、少しでも興味の沸いた場所に行ってみるのも一興だ。
そうして、俺はその不思議なホテルと出会い、新たな世界を知って――
三島優子という、美しい女性と出会ったのだった。