9 最強の二人
ルシアとの出会いから二年が過ぎた。
俺はハイハイから二本足で堂々と歩けるようになり、声帯も成長して言葉を巧みに操るまで進化した。
赤子から最強の強さを誇っていたが、その強さにはさらに磨きかかっている。
久しぶりにステータスを開いたらこうなっていた。
名前 ルーク・ベルモント
体力 ∞ (制限あり)
魔力 ∞ (制限あり)
力 ∞ (制限あり)
知力 ∞ (制限あり)
素早さ ∞ (制限あり)
防御 ∞ (制限あり)
魔法攻撃 ∞ (制限あり)
称号 万物の頂点、最強の童 無限一刀流開祖
奥義 無限・一刀
スキル テレパシー
理の眼 (魔眼、見た技を完全にコピーする)
覇気 レベル1 (周囲の敵を威圧して震えあがらせる)
ステータス欄には、新たに魔法攻撃の項目が増えた。
たぶん、俺の奥義無限・一刀は、魔法攻撃でもあるから、新しく増えたのだろう。
もしかすると、他にも色々なことをすると、また新しい項目が増えるかな? 今後、試してみるのも悪くない。
スキルも会得して、まさに最強まっしぐらだ。
これは星を叩き割る力を得るのも近いかもしれないな。
そんな最強で、万物の覇者たる俺の、最近のモーニングルーティーンを紹介しようと思う。
まずベッドで寝ていると、お決まりの時間にリンリンと、家の呼び鈴が引っ張っられて、元気のいい幼女の声が響く。
「ルークあーそーぼー!」
「あら、ルシアちゃん今日も早いわね、いらっしゃい」
「はい、お邪魔します」
いつものように、恐ろしい悪魔と美しい天女の声に目を覚ます俺は、夢見心地なまま急かされるように飛び起きる。
箪笥から服を取り出して、急いでパジャマを脱ぎ、普段着に着替える。
パジャマをきちんと畳んでベッドに置いたら、部屋の窓を開けて新鮮な空気を吸い込む。
「すぅーーはぁ」
夏だというのに、冷たい空気が肺を満たしていく。
それもそのはずだ、外を見れば、太陽さんはまだ、山の裾を頑張って昇ろうとしている途中だった。
ぼー、とその景色を眺めていると、母上の声がリビングの方から聞こえてきた。
「ルーちゃん、ルシアちゃんが待っているわよ」
はっ、と現実に引き戻された俺は、急いで洗面台に向う。
桶に溜まっている水で寝癖を直して顔を洗い、歯ブラシで虫歯にならないように歯を磨く。
全ての準備を整え終わったら、リビングにいる忌まわしの幼女に挨拶をしにいく・・・・と、ここまでが最近の俺のモーニングルーティーンだ。
このルーティン、時間の経過とともに仕様は大きく変化してきたが、最初の幼女のくだりだけは、ずっと同じだ。
その期間、実に二年である。
二年・・・二年だぞ!?
あの幼女、アリさんと戯れていた幼気な赤子の俺を捕まえて、その後は一日も欠かさず、押しかけ女房のようにやってきた。
その間に俺は、マンマミルクを卒業して、大きく成長を遂げた。(母上のおっぱいを卒業したとは言っていない)
俺は家計を助けるために就職活動をしたいのに、太陽さんの陽射しがでている内は、常に幼女に監視され、日が沈めば、どこも営業時間外で働けないという負の連鎖に陥っていた。
そのせいで、家族のごはんは相変わらず痩せた魚二匹だし、パンも硬いままだ。
父上は時々ある貴族の集まりに行く度に、底辺貴族と馬鹿にされているみたい。
これ以上、家族が大変なのは我慢ならない。
俺はいままでルシアの目をどうにか掻い潜ろうとしていたが、作戦をかえる。
もうルシアは常に一緒にいるものとして積極的に懐柔してこちら側に引き込んでやる。
「るちあ、おはよう」
「おはようルーク。遅いよ、もう太陽が昇っちゃうよ?」
「るちあが早すぎるだけだよ」
「そんなことないよ。ルシアのおじいちゃんはもうとっくに起きて芝刈りにいってるよ?」
幼児はジジイじゃないんだ。同じにするな、比べるな。
朝早いとかのレベルじゃない。
「今日はなにして遊ぶ? また騎士ごっこ?」
「ううん、きょうはね、いきたいところがあるの」
「ふーん、どこ?」
「ははうえと、ちちうえには内緒にしてくれる?」
「うん、いいよ。二人の秘密だね」
俺はその言葉に頷き、周囲を窺い、誰もいないことを確認して言った。
「るちあと二人でパーティーを組んで、冒険者ぎるどにいこうとおもう」
史上最年少冒険者パーティーここにありっ
二人の冒険がついに幕を開ける!?
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