8 最大の試練、ルシアおねえちゃん
異世界転生・転移の日間ランキング280位!(底辺)
でも嬉しいっ
アリさんと遊んでたら幼女に引っ捕えられた俺は、小脇に抱えられたまま運ばれている。
なんどか逃走を試みたが、この幼女、俺の可愛いわがままボディーをがっちりホールドして離さない。
家計を助けるための就職活動が、まさか幼女ごときに阻まれるとは思ってもみなかったぜ。
ふっ、これが社会の厳しさってやつか。
気持ちはまるで、輸送される犯罪者だ。着々と家に近づいていく。
心配になった俺は幼女に深刻な問題を相談する。
「ばぶばぶばぶ」
「なにどうしたの?」
幼女は自分の顔まで俺を持ち上げる。
「ばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶば?|」
「うんうん」
「ばぶばぶばぶばぶばぶばぶ」
「わかった、わかった、しょうがないなぁ~」
「ばぶばぶばばぶばぶ?」
「じゃいくよ、ばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶぅ!」
真似すんじゃねぇ!!
おい、なにもわかってねーじゃんか!!
誰も変顔してなんて頼んでない、こっちは真剣なんだよっ
でもちょっと面白いな。
「ばっぶばっぶばー」
「あ、笑った」
くっ、くそ、小癪な奴め。純真な赤子の心を撃ち抜くのは得意ってわけか。
いいだろう、受けて立ってやる。俺をそこらの赤子と同じにしてもらっちゃ困るぜ?
「ばぶばぶばぶばぶばぶ」
「ええーしかたないな。いくよ? ばぶばぶばぶばぶばぶーぅ」
「ばっ・・・ばっぶ・・・ばっぶばっぶばばぶーーー!!」
「めっちゃ笑うの我慢してる」
ふっ、ふっふーぅ、お。恐ろしい幼女だ。
かつてここまで、へんてこりんな変顔がうまい奴がいただろうか?
父上の百倍は面白いぞ。
「ふふ、ヘンなの。自分の顔のモノマネで笑うなんて」
「ぼっぶばぶば!?」
誰が面白い顔じゃ!
この最高にキュートな丸い顔が、そんなへんてこりんなわけないだろ!?
くそぉ、完全にペースを持ってかれている。最強の存在が、こんなところで躓くなんて誰が想像できようか。
そうこうしている内に、いつの間にか家の前まできてしまった。
俺は最後にもう一度だけ念を押しておく。
「ばぶばぶばぶばぶばぶばぶ?」
「はいはい」
幼女が愛しの我が家に立ち入り呼び鈴を鳴らす。
「ごめんくださーい」
「はーい、いまいきます」
がちゃ、と扉が開き、家の中から母上がでてくる。
おお、女神だ。
やはり、俺には母上しかいない。
幼女はだめだ。母上しか勝たん。母上しか勝たんのだ!
「あれ、ルーちゃんどうしたの?」
「ばぶばぶばぶばぶ」
母上に手を伸ばして抱きつく。
抱っこしてもらい、ふかふかおっぱいの感触を存分に味わい尽くさせてもらう。
「あぶぶぶぶー」
「おーよちよち、疲れたのかな?」
これよ、これ。分かる? 幼女よ。
この安心感こそ俺がもっとも求めていたものだ。お前のような貧相なちっぱいに神は宿らないのさ。
「ルシアちゃん、いらっしゃい。どうしてルーちゃんと一緒だったの?」
「向こうの道でハイハイしてたの拾いました」
「ばぶっばっばぶばぶばばぶぶ!」
なんて奴だ! 速攻でチクりやがった。
わざわざ母上がこないタイミングを見計らって外出したってのに!
「えっ、本当に!? ありがとうルシアちゃん。もー、ルーちゃん、勝手にお家をでたら、めっ、ですよ」
「ばぶぅ」
はじめて母上に怒られてしまう。
うう、ただ働いてみんなの生活を楽にしようとしただけなのに。
腹いせにジロリと幼女を睨むと、あろうことか変顔で待機してやがった。
「ばっ、ばっぶばっぶ!」
「あら、ルーちゃん凄いよろこんでいる。きっとルシアちゃんが大好きなのね」
「え、わたし?」
「普段はこんなに笑わないもの。そうだ、ルシアちゃん、よかったら時々ルーちゃんと遊んでくれる? 私も夫も忙しくてあまりこの子に構ってあげられなくて」
「いいですよ」
ええ!?
母上なんてことを!
勘違いです。ルークめは幼女を好いておりません!
こいつは危険です。考えなおして!
「ばぶばぶ」
「ほら、ルーちゃんもそうして欲しいって」
「そっか、じゃルシア毎日くるね、ルーちゃん」
そういって幼女は俺の頭をよちよちして帰っていった。
馬鹿な、毎・・・日・・・だと?
俺の就職活動は?
どうしよう。
とりあえず次もルシアちゃん登場します。
もうすぐ成長するので、タイトル回収に向けて前進です。
ただその前にいくつかのざまぁ展開と蹂躙パートはあるので期待してください!
それと、嬉しいことに異世界転生、転移の日間ランキングの片隅にのりました笑
みなさんのお陰です、ありがとうございます!
これからも是非おねがいします。
ブクマをした後に、↓のお星さまをキラッキラに輝かせてください!!